郵便局のレタックスは弔電や電報の代わりに使えるのか

郵便局にはレタックスというNTTの電報サービスに相当するものがあります。
電報と同様に、お祝いとお悔やみの両方に対応しています。

訃報を受け取った方のために、電報とレタックス、どちらがすぐれているのか解説します。

結論

お急ぎの方のために、まず結論から。

レタックスをすすめない理由

弔事(不幸ごと)の場合はレタックスよりも電報をおすすめします。

なぜならレタックスは

  • 最低価格は電報より安いこともあり、見た目が安っぽい
  • 必須の会員登録が面倒
  • 電報の標準配達サービスと同じ早さで届くが、電報の最速サービスに比べて遅い
  • 弔電ほどレタックスが世間で認知されていない。そのためレタックスで申し込む人が少なく、お葬式の現場でほとんど見ない

からです。

レタックスが向いている人

ただし下記の条件を満たす方は電報よりレタックスを使ってもよいでしょう。

  • とにかく安く済ませたい
  • ある程度時間に余裕がある
  • 事前の会員登録の手間を厭(いと)わない

ちなみにこれから弔電をお送りになる方は、
↓この記事を参考にしてください。

弔電の安くて効果的な送り方を葬儀屋さんが教えます

レタックスとは

レタックスとは、日本郵便のサービスの一つで郵政省が1981年にスタートさせました。

「レター(letter)」と「ファクス(fax)」を合成した造語です。もともとは
郵便局Aで、紙を渡す→郵便局Aから郵便局Bへファクスする→郵便局Bが印刷した紙を配達する
という仕組みだったためです。

消費者から見た機能は、とても電報に似ています。

電報との違いは、直筆のメッセージやイラストを送れることです。
Webレタックスに限り、カラー原稿を送ることができます。

レタックスの送り方

申込方法としては、Web、窓口、FAX、電話、ポスト投函の4種類がありますが、手間と時間を考えるとWEB申込が現実的です。

  1. サイトで会員登録をする
  2. 台紙を選ぶ
    現在(2024年6月時点)のラインナップです。

    商品名価格特徴
    うるし風(菊)5,234円~菊と流水を描き、哀愁を表現。
    織物(唐草)3,144円~唐草花の文様、凛とした風合い。
    刺しゅう(菊)2,094円~菊花を薄墨と銀で表現。
    おし花(白)1,574円~白菊で上品な旅立ちを表現。
    ゆり944円~白百合を控えめな銀箔で描く。
    604円~厳かな色合いの無地台紙。
  3. 文面を選ぶ
    文章を作るのが大変だと思う方は、弔文の文例が用意されているので、そちらから選んでください。
  4. 申し込む
    15:30までの申込なら当日の配達が可能です。翌日以降なら配達日時の指定も可能です。
    送り先は葬儀式場を指定しましょう。
  5. 支払い
    支払い 現金、郵便切手、クレジットカードが選べますが、WEBの場合はクレジットカード払いが現実的でしょう。

 

〇良いところ

ここからは、具体的にレタックスの良いところ、悪いところ、微妙なところを解説します。
まずレタックスの良いところです。

安い


例えば弔電の最安値は現在(2023年11月)VERY_CARDの1,650円なのですが
レタックスなら524円の商品があります。

レタックスの申込み方法は、電報と同じく「電話申込み」と「WEB申込み」があるのですが
申込にWEBを使っても割安感がない(電話申込より80円安いだけ)のは、残念なところです。

×悪いところ

次に悪いところです。

会員登録が面倒

WEB申込みの場合、申込前に会員登録が必要なのですが

  • 面倒
  • 個人情報の登録が不安
  • 頻繁に使うものではないので、次回使用時にはIDとパスワード忘れている可能性

という問題があります。

さらに、スマホで登録しようとすると
スマホでもPCの画面が表示される仕様になっていました。

レタックススマホ画面

スマホの画面でこれはムリかと思います。

△微妙なところ

最後に微妙なところを解説、と言いたいのですが、どちらかと言えば悪いところです。

目立てる

レタックスを送る人は少数派なので、良くも悪くも目立てます。

電報はほとんどが二つ折りの台紙に文章を印刷した紙をはさむ形式のものなのですが
レタックスには封筒タイプのものがあります。

一風変わっているため、電報と比べて目立てます。

ただし私は電報というのは文章で勝負すべきという考え方なので、見てくれで勝負するのを良しとしません。

そもそも封筒に入っている見た目が変わってるというだけで、見た目は一番安い電報よりも貧相です。
おすすめはしません。
弔意用封筒
<https://webyubin.jpi.post.japanpost.jp/webyubin/elx/DYFR210.do >

それほど早く届かない

弔電の申込みの場合
「お通夜の日に訃報を知った、さぁ今から間に合うか?」
というシチュエーションが結構あります。

レタックスの場合
概ね平均的なお悔やみ電報と同じくらいの締切りの余裕度ですが、(15時半までなら当日中に届く)
最速のお悔やみ電報ほどのスピード感(3時間後に届ける)は無いです。

相手に「何これ?」と思われる

20年以上葬儀屋さんをやってきましたが、お葬式の現場でレタックスを見たのは数えるほどしかありません。
ほとんどの方が電報(弔電)を利用します。

そのため受け取った相手に
「何これ?」
と思われるリスクがあります。

アップロードして好きな画像を入れることができる

細かい装飾機能があり、好きな画像を入れることができます。
しかし慶事(お祝いごと)なら効果的に使えるかもしれませんが、弔事(不幸ごと)では使わないほうがいいでしょう。

直筆を送れる

WEB申し込みなら、直筆で書いた紙をスキャナーで読み込んで、画像をアップロードすることで、直筆で送れます。
WEB申込を使わないなら、直筆を書いた紙を郵便局へ持ち込むことも可能です。

碓かにタイプした文章よりも心がこもっている印象を与えますが、

  • 受け取った遺族は、そのレタックスを捨てづらい
  • そこまでやるのなら、後日手紙を送ったほうが効果的

ということも考えたほうがよいです。

サイト上で文字やアップした画像をいじれる

これも細かい装飾機能の一つです。

しかし祝事ならともかく弔事で細かい編集作業をやる人はいないでしょう。
おそらくその苦労は先方には伝わらないです。

また画像に関しては先にスマホ機能や専用ソフトで修正してからアップした方が良さそうです。

履歴や送り先情報などを登録しておける

法人でもない限り、そんなに訃報のレタックスをひんぱんに送ると思えないので、これもメリットとは言えないでしょう。

規定のイラスト入りのフォーマットを選べる

これもお悔やみ電報の場合は、必要ないと思います。
あくまで文章の内容で勝負すべきです。

フォントサイズが選べる

弔電でも縦横、書体が選べるところが多いですが
フォントサイズを選べるのはおそらくレタックスだけでしょう。

ただし大きくしすぎると画面からはみ出る警告がでるというのと
そもそもフォントサイズを変える必要があるかどうかという問題は残ります。

一方で文字数制限がないので、できるだけ極小フォントを使って
大量の文字を入力したいひとにはいいかもしれません。

追跡調査ができる

追跡番号が発行されるされるので、自分の送ったレタックスが受け取られたか確認可能です。しかし宅配便がいつ届くかなどを調べる時は便利ですが、自分が送ったレタックスの受取りをわざわざ調べる人は珍しいと思います。

以上の理由から、私は弔電の方が良いと考えています。

レタックスの解説でした。