NTTの弔電を頼んでみたけど、おすすめしない理由

私は在籍25年の葬儀屋さんです。
これまで数千通の弔電を受け取ってきましたが、NTTの弔電は、おすすめしないという話です。

弔電のお申込みでお急ぎの方は私の記事
弔電の安くて効果的な送り方を葬儀屋さんが教えます
をご参考ください。

以前
スマホで弔電(お悔やみ電報)を申し込んでみた<VERYCARD編>
という記事の中で、格安のネット弔電会社を使って実際に、1,650円で弔電を申し込んだ体験を披露しました。

今回、知名度のあるNTTにスマホで弔電を注文してみたのですが、あまり良くありませんでした。

NTTの弔電サイトはスマホ用画面を用意していない

まずは、ネットからの申込のため、スマホで検索してタップ。
そこで目を疑いました。
NTTトップ画面
スマホなのに画面がとても細かい。
PCと同じ画面をスマホの小さい画面で見せている?
高齢の方にとって、この細かい画面を見ろというのは無理でしょう。

ちなみにこの画面はNTT東日本。
同様の弔電サービスはNTT西日本もやっているのでそちらはどうかと思い調べてみたら
やっぱり同じくPCと共通画面。

これはいったい・・・

ネットから申し込まないでおとなしく電話で申し込め、ってことなのでしょうか。
しかしNTTの弔電の電話申込みは2017年から8時から19時までの受付になっていて、24時間申し込めるネットと比べてすごく不便なのです。

NTTトップ画面その2
次の階層に進んでも相変わらず細かい画面です。

線香やプリザーブドフラワーなどの商品付き弔電は迷惑なのでいらない

(より詳しい解説を記事を↓こちらに書きました。
お花(造花)や線香などの商品付の弔電は、迷惑なので選んではいけない )

NTTは単価アップのために高いプリザーブドフラワー(薬品を使って長持ちさせた花)と線香などの商品付きの弔電を、最初に勧めようとします。
プリザーブドフラワー付き弔電
弔電付き線香

私はおすすめしません。

葬儀式場に届いたプリザーブドフラワーや線香などの商品付きの弔電は、
商品と弔電を別々にして飾られることが多いのです。
なぜならお葬式での司会者が弔電披露する弔電を、遺族に何通か選んでもらうときに、弔電だけでまとめておいた方が遺族が選びやすいからです。

そして弔電と別々に置かれたプリザーブドフラワーと線香には送り主の名前は入っていないので、誰からの送りものか分からなくなってしまうのです。
せっかく高額な費用を払ったのにこれはもったいないです。
おまけに最終的に遺族が葬儀式場から帰るときに持ち帰ろうとすると、荷物になってしまいます。
それでなくても遺影、位牌、遺骨をそれぞれ持たなければいけない遺族は、荷物を持つ余裕はないのですから、はっきり申し上げて迷惑です。

以上の理由で私はプリザーブドフラワーや線香付きの弔電はおすすめしません。

押し花と七宝焼きの弔電を選んでみた

今回は、そこそこ高価な(台紙の)弔電を2通購入するというコンセプトだったので、まずこの写真の「悲愁」という3,300円(税込)の弔電を選びました。
押し花 悲愁 商品画面
押し花が付いているというのがアピールポイントです。

次に
七宝 百合 商品画面
この写真の百合という3,300円(税込)の弔電を選びました。
七宝焼きが付いていて高級感がある、というのがアピールポイントです。
七宝焼きとはウィキペディアによると

七宝焼き(しっぽうやき、英語: enamel)とは、金属工芸の一種で伝統工芸技法のひとつ。金属を素地にした焼物ともいえる。

とのことです。

NTTの弔電の料金は高い

NTTの弔電の料金体系は
文字代+台紙代
になっています。

文字代は文字数に比例した金額になっており
例えば61~65文字なら1,518円(税込)ということになります。
つまりこの場合
文字代1,380円+台紙代3,000円+消費税438円=4,818円
が総額ということになります。

3日前に申し込むと早割で文字代が1,353円(税込)で150円安くなるのですが
結婚式の祝電ならともかく、お葬式に送る弔電でこれは無理でしょう。
弔電で早割設定なんかにしておくとブラックジョークのネタにされそうな気がしますが・・・

現在ネットの電報会社の最安値が1,650円なので、NTTは約3倍の値段ということです。

国内で弔電を扱う企業の中で、最も高額なのがNTTなのです。
消費者の中では「電報といえばNTT」という刷り込みがされているので、格安のネット電報会社がいろいろ登場していても、強気の価格設定が許されているのでしょう。

ちなみにどの弔電会社から弔電が届いたのか、ということは、お葬式の現場の遺族の間では、一切意識されません。そのためNTTのような有名な弔電会社から送る、というのはあまり意味のない行為です。

またNTTの弔電サービスは電話で申し込んでもネットから申し込んでも料金はほとんど変わりません。
おそらくオペレーターの人件費とコールセンターシステムのコストで高額になってしまう電話申込みの弔電価格に、ネットの弔電価格を合わせているせいだと思われます。

NTTの高い弔電を選んでも誰かとかぶる

では届いた弔電のレビューです。

まず押し花が付いている弔電「悲愁」から。
NTT弔電 悲愁 押し花

広げると
開く NTT弔電 悲愁 押し花 

その下に押し花の全貌が。
さらにその下に弔文を印刷した文章を挟み込んでいるわけですね。
ちなみに(当然と言えば当然ですが)弔文を印刷した紙は、500円の台紙だろうが5,000円の台紙だろうが同じものです。
つまり弔電の価格差は台紙の価格差なのです。

次に
七宝焼きが台紙に付いている百合から。
NTT弔電 七宝焼き 百合

七宝焼きはセンターの部分に貼り付けられていてそのまわりは紺色のベルベット(別珍)で囲まれています。
NTT弔電 百合 アップ

七宝焼きの部分を拡大したところ。

弔電会社のサイトによっては
「高級な台紙で弔電を送れば遺族はずっと持っておいてくれる」
とのたまうところもあるのですが、葬儀屋さんとしての私の経験上それはないです。
NTT弔電 百合 紙を取ったところ

↑こんなふうに弔文を印刷した紙の部分だけを抜き取り、葬儀屋さんに
「台紙はそちらで処分しておいてもらえる?」とおっしゃる遺族が多いのです。

たしかに3,000円クラスの台紙の弔電はそれなりに単体では見栄えがします。
しかし葬儀式場には同じ台紙の電報がたくさん届くのです。
その中で知名度が高い、つまり最も利用者が多いと思われるNTTの弔電が一番他と被りやすいのです。
そのため高級な台紙によるアピールは、ほとんど効果がありません
弔電会社の、少しでも高い物を買ってもらいたいという気持ちはよく分かるのですが、葬儀現場の実態はこんなものです。

おすすめの電報会社

ちなみに私のおすすめの電報会社は、インターネット専門電報会社の
VERY_CARD(https://www.verycard.net/)
です。
佐川急便の子会社が運営しており、同程度の台紙ならNTTのおよそ半額から三分の一の値段です。

弔電で大事なのは、文章です。
くわしい話は↓下記の記事で書いています。

弔電の安くて効果的な送り方を葬儀屋さんが教えます

以上が私の
NTTの弔電をおすすめしない理由
です。