私はNHKで「お葬式のマナー」ついて解説したこともある、ファッションにくわしい葬儀屋さんです。
今回は、お葬式のハンカチについて語ります。
ポケットチーフは世界的にはOKだが日本ではダメ
まれにお客様から、
「男性はお葬式にポケットチーフしてもOK?」
と聞かれます。
ポケットチーフとは、上着の胸ポケットに指すハンカチのことですね。
ちなみに先日「MENs EX」という男性向けファッション誌を読んでいたら、お葬式にポケットチーフはダメと書かれていました。
日本のメンズファッション自体に、ポケットチーフがなじんでおらず、あえて葬儀の時にポケットチーフをさすと華美であるととらえられるからでしょう。
しかしプロトコル(マナーの世界基準)上はOKなのです。
洋装の「歩く世界基準」ことチャールズ皇太子が、ダイアナ妃の葬儀でポケットチーフを指していました。
ルール通り、白のハンカチを四角に折ったTVフォールドというさし方でした。
↑この画像のさし方ですね。
海外のお葬式では、TVフォールドで参列している方をよく見かけます。
一方、スリーピークス(ハンカチの角が三つの山になっているもの)やパフ(自然な山形)というさし方は華美なため、お葬式ではしません。
判断が難しいのは世界基準に従うか、日本独自のマナー感覚に従うか、という点でしょう。
お葬式の服装は見た人がどう受け取るかが重要なので、国内ではどうしても日本独自のドレスコードが優先されます。
やっぱり、日本人にとってポケットチーフはまだなじみのあるものではありません。
結論としてはお葬式でのポケットチーフはやめておいた方が無難です。
同様のお葬式の服装の問題は他にもあります。
例えばモーニング。これは名前の通り昼間着る服なので、お通夜には着てはいけません。
しかし、内閣発足時の閣僚の記念撮影が夜に行われても、みんなモーニング着てますよね。
これも日本独自のドレスコードです。
また、本来日本人男性の最もフォーマルな葬儀の服装は
黒の紋付き袴
が正解なのです。
でも実際この格好でお葬式に参列したら、ヤクザみたいで、まわりは引いちゃいますよね。
以前、私が担当したお葬式の参列者の方で、すごくナチュラルにポケットチーフを指している方がいました。
黒のスーツってサイズが合っているかどうかが、はっきりと分かってしまうのですが、ジャストサイズでした。
要するにナチュラルでカッコイイ。
来賓席に座られたので名簿を確認してみると、銀座にある有名なWで始まる店名の社員の方でした。
このレベルの方なら例外的にOKということなんでしょうが
一般の方の場合、ポケットチーフはあえてささない
のが無難かと思います。
礼服・喪服のハンカチは白か黒か
さて、男女問わず、お葬式に持参するハンカチの色や素材に決まり事はあるのか、という話です。
色
原則決まり事はありませんが、男性は無地の白か黒、女性は黒にしておいた方が無難でしょう。
先程述べたとおり、男性のポケットチーフを除いて、ハンカチが人目につくケースはまれであるものの
急に涙を流すシーンが多いのが、お葬式の特徴です。
涙を拭こうと思って出した急に取り出したハンカチが、派手な色やデザインだとちょっと興ざめです。
また女性の場合は、化粧が付く場合も多いので、汚れが目立たないよう白よりも黒が良いでしょう。
ブランドロゴは、小さくワンポイントでついている程度なら気にしなくても良いです。
素材
ハンカチの素材は、吸水性を考えるとコットン(木綿)が良いです。
ただし場所や状況を考えると、シルク(絹)やリネン(麻)がよりフォーマルです。
ただしシルクは吸水性が悪く、ものによって光沢が強すぎるのが欠点。
これから購入されるのであれば、男性は白の麻のハンカチをおすすめします。
女性は、これまで述べてきたことから、黒の麻のハンカチが理想的です。
しかし以外とネット上の品数が少ないので、コットン素材でも良いでしょう。
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