これから「お葬式」に参列するという方のために、葬儀屋さんがマナーや注意点をお教えします。
 (お通夜のことを知りたい方はこちらの記事をどうぞ→参列者が知っておくべき通夜のマナーを葬儀屋さんが教えます | 考える葬儀屋さんのブログ)
まず基本となる仏教形式の場合です。
 (他の宗派との違いは最後に説明しています。)
目次
お葬式の流れ
まずお葬式全体の流れです。
 参列者から見たお葬式のタイムスケジュールの一例をあげます。
10:40到着・受付
 10:45案内→着席
 11:00開式
 11:20焼香
 11:40お寺が退席
 11:45棺のお花入れ
 11:50遺族代表挨拶
 12:00出棺
くわしく見ていきましょう。
出発
出発の前に
 お葬式・お葬式に持っていくものリスト
 で持参品の確認をしてください。
到着
お葬式の開式時間ですが、大体お昼前後11時から13時にかけてのスタートとなります。
 お葬式の時間は1時間であることが一番多いです。
 宗教儀式が長かったり、参列者が多かったりすると1時間半くらいのお葬式になることもあります。
お葬式は何時に到着すればいい?
さて、マナーとしてお葬式の場合、何時頃到着するのが良いでしょうか。
 基本的には開式20分前くらいがよいでしょう。
 この時間帯は遺族親族が式場に着席した頃で、次に参列者が誘導されるというタイミングだからです。
開式してしまうと、遺族と話す機会はほとんどなくなります。
 もし遺族と少しでもいいから話したいという方は開式30分くらい前に到着しておきましょう。
 おそらく遺族の方は、控室か式場の入口付近にいるはずなので、話しかけましょう。
 大体遺族は開式1時間前には式場にいるはずです。
ただし参列者側の事情で長時間引き留めてしまうのはマナー違反です。
 遺族は他の参列者の対応もしなくてはいけないからです。
お葬式の時間に遅れそうなら
 遅刻のリミットは開式後30分くらいまででしょう。
遅刻のリミットは開式後30分くらいまででしょう。
 お坊さんのお経が終わって退席すると、式場内はお別れの準備に入りますので焼香することはほぼ不可能です。
 お経の早いお坊さんは30分くらいで終わってしまう可能性があるので、30分以上遅刻してしまうと焼香するのは難しくなります。
それでも遅れてしまった場合
焼香は無理なので、最後のお別れのお花入れに参加して、故人への弔意(故人を弔う気持ち)を表しましょう。
 まれに一般参列者のお別れを希望しない遺族もいます。
 その場合は、あきらめるしかありません。
 受付で記帳だけは行って、参列はしたという記録だけは残しておきましょう。
受付→案内→着席
 ほとんどの参列者の方はこの受付から始まるでしょう。
ほとんどの参列者の方はこの受付から始まるでしょう。
 こちらの記事を参考にしてください。
 お葬式・お葬式の参列のマナーを葬儀屋さんが教えます
 昨日のお通夜も参列して記帳した、という方も両日参列したことが分かるように、昨日と同じように記帳は行ってください。
焼香
お葬式の焼香は開式後どれくらいから、始まる?
 お葬式の焼香が始まるタイミングですが、お寺の普段の作法や参列者の人数で決まることが多いです。
お葬式の焼香が始まるタイミングですが、お寺の普段の作法や参列者の人数で決まることが多いです。
特に参列者がたくさんではないときは、開式してから大体15分~20分で始まります。
 宗派にもよりますが、お坊さんが立ち上がって、お経をとなえて、着席してお経をまた唱え始めて、遺族から焼香スタート、ということが多いです。
参列者がたくさん来た場合、お経の時間の間に焼香を終わらせないといけないので前倒しで焼香が始まります。
 中にはお経が始まると同時に焼香というケースもあります。
 こういう場合は焼香のタイミングを葬儀屋さんに任せてしまうお坊さんも多いですね。
焼香は、遺族の焼香→一般の参列者の焼香→葬儀のお手伝いの焼香
 の順番です。
葬儀のお経のあと初七日の法事がはじまることもある
また最近都市部ではお葬式のお経のあと、引き続き初七日法要のお経を読み始めることがあります。
 大体15分間くらいです。
 昔は火葬場に行って戻ってきてから初七日の法事を行うことが多かったのですが、最近合理性を優先して、もしくはお坊様が葬儀の後別の檀家のお通夜の予定が入っていたりすることもあって、お葬式の最中に行うことがよくあります。
 この場合、焼香するのは遺族だけと言うケースが多いです。
 焼香をするしないは葬儀社のスタッフが遺族と一般の参列者を識別して誘導しますので、ご安心ください。
焼香のマナーはこちらの記事を参考にしてください。
 焼香のマナーを葬儀屋さんが教えます
もらった返礼品が多すぎる場合
 退席する際に、お返しものを渡されると思います。
退席する際に、お返しものを渡されると思います。
会社の同僚の分の御香典をたくさん預かった人は、たくさんのお返し物を受け取るかもしれません。
その場合はこちらの記事(もらった返礼品が多すぎるときは宅配便で)を参考にしてください。
焼香が終わったら
焼香が終わったら、そのまま残って出棺まで立ち会うか、すぐに帰ってしまうかという選択肢があります。
 私の意見としてはせっかくお葬式に参列したのですから、最後の出棺まで見送っていただきたいと思います。
 ちなみに焼香を終えた後、式場の外(ロビー)に出されるパターンと、自分が座っていた席に戻されるパターンがあります。
この判断は、葬儀屋さんが行いますが、基本的には人が多い場合は式場の外に一旦出されます。
 人が少ないとき(参列者も含めて式場に座れる場合)は式場内の自分の席に戻されるでしょう。
 自分の席に戻されてしまうと、すぐに帰りたい場合、すくっと立ち上がって退席すると言うのはなかなか目立ってやりづらいでしょう。
 出棺まで立ち会うか、もしくはお坊さんが退席して全員がロビーに出されたタイミングで帰りましょう。
最期のお別れ(お花入れ)
式場の外に一旦出されてしまって出棺まで立ち会うなら、ロビーでしばらくお待ちください。
 お坊さんが退席した後、(場合によっては弔電の代読が行われて)式場内はお別れの準備が始まるはずです。
ロビーで待っている間、式場内では葬儀屋さんが棺を式場の中央に安置し、祭壇のお花をもいでいるはずです。
 そしてお別れの準備ができたら最初に遺族が式場内に呼ばれます。
 その際にもいだ花を受け取って、亡くなった人の体を覆うように棺の中へお花を手向けてお別れをします。
この後一般の参列者も「お別れをご希望の方は式場内にお入りください」と案内されることが多くなりました。
 式場の入口でお花を受け取って、故人の体の上に手向(たむ)けましょう。
 そうやってお別れが済んだら、次にお別れを待っている方のために場所を空けて(御棺を離れて)ください。
しかしたまに遺族の希望で、一般の参列者が呼ばれない場合があります。
 故人の状態があまり思わしくないときなどです。
 この場合は残念ながらお花を入れての別れはできませんので、そのままロビーでお待ちください
遺族代表挨拶
お花入が終わって、お別れが済むと棺のふたを閉めます。
 一般の参列者がいる場合は、遺族の代表の方(喪主が多い)が遺族代表の挨拶を行います。
 その際、再度式場内に一般の参列者が招かれるので、葬儀社スタッフの指示に従ってください。
出棺
挨拶が終わると、出棺です。
 火葬場に向かうのは、遺族親族が中心です。一般の参列者は遺族から要望がない限りは火葬場に行くことはありません。
一般の参列者は、霊柩車やマイクロバスなどを火葬場に向かう車両の近く、もしくは建物の出口付近で待機することが多いです。
 霊柩車に棺を乗せる際、男性の方を中心に棺を持ち上げて霊柩車に運び入れます。
 基本的には遺族親族の人が優先して棺を持ちますが、もし遺族から頼まれた場合は参列者の方が棺を持っても構いません。
棺を霊柩車に乗せると、霊柩車には喪主が同乗します。
 乗り込む際、皆さんに向かって一礼をしたらこちらも深々と頭を下げましょう。
 その後霊柩車が出発します。
解散
霊柩車が見えなくなったら解散です。
 一緒に見送った、周りの参列者に一礼をしてから帰路についてください。
解散の際は忘れものに気を付けてください。
 ハンカチ・数珠・傘・中にはイヤリングを忘れていく方もいます。
またバタバタしてしまって、みんなが受け取っているお返しの品物を受け取っていないと気づいた場合は葬儀社のスタッフの方に声をかけましょう。
 言いづらいかもしれませんが恥ずかしがる必要はありません。
 遺族や葬儀社にとっては、せっかく参列していただいたのに、手ぶらで帰してしまう方が問題なのです。
その他宗派別のお葬式の注意
禅宗の場合
注意事項、というほどのことでもないのですが、曹洞宗や臨済宗などの禅宗系の宗派の場合、
 焼香前の引導作法と呼ばれる儀式の際、「カーッ!」とお坊さんが大声を出します。
 ウトウトしているとビクッとなりますので心の準備をしておいてください。
神道の場合
 神道の場合、「お葬式」と呼ばず、葬場祭と呼びます。
 神道の場合、「お葬式」と呼ばず、葬場祭と呼びます。
 宗教作法が仏教と異なる、という理解だけで構いません。
 仏教は焼香を行いますが、神道では玉串奉典を行います。
キリスト教の場合
 キリスト教の場合、「お葬式」と呼ばず、「告別式」と呼ばれることが多いようです。
キリスト教の場合、「お葬式」と呼ばず、「告別式」と呼ばれることが多いようです。
 宗教作法が仏教と異なる、という理解だけで構いません。
 仏教は焼香を行いますが、キリスト教では献花を行います。
無宗教葬の場合
 無宗教葬の場合、参列者に分かりやすくするためにお葬式と呼ぶ場合もありますし、告別式やお別れ会と呼ぶ場合もあります。
無宗教葬の場合、参列者に分かりやすくするためにお葬式と呼ぶ場合もありますし、告別式やお別れ会と呼ぶ場合もあります。
 制約がないので焼香を行う可能性もゼロではありませんが(実際私も無宗教葬で焼香をやった経験があります)、献花のケースが圧倒的に多いです。
お葬式とは「葬儀」と「告別式」をあわせたもの
まず簡単にお葬式とは何かという話です。
お葬式とは「葬儀」と「告別式」をあわせた言い方です。
葬儀・・・葬送儀礼の略です。葬送儀礼とは亡くなった人を葬(ほうむ)る宗教的な一連の作法のことです。
 告別式・・・参列者が故人とお別れをする儀式のことです。1901年の中江兆民のお別れ会が最初の「告別式」という説が有力です。
その後一般に告別式が定着しました。
 つまり戦前までは宗教者(お坊さん)と遺族が参加する葬儀パートと、一般参加者が参加する告別式パートが別の儀式としてちゃんと区別されていたらしいのです。
 しかし戦後の儀式の簡略化により、ほとんど区別されなくなって「お葬式」とひとくくりでとり行われるようになりました。







 
 









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