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お葬式には珠数(じゅず)よりも袱紗(ふくさ)を持っていくべき理由




葬儀屋さんである私が今回、珠数よりも袱紗(ふくさ)を持っておくべき理由について語ります。
そしてどんな袱紗を買えばいいか、どのようにお葬式で使うかというマナーについてもご説明いたします。
さらに実際に袱紗(ふくさ)をAmazonで買ってみたので、そのレポートも掲載します。

袱紗って葬儀アイテムの中では数珠(じゅず)などと比べるとあまり知られていないようです.
実際珠数と比べると持っていない人も多いです。
でも実はどちらかといえば珠数ではなく袱紗の方を持っておくべきなのです。

袱紗とは

袱紗とは、御香典袋など金品を納めた袋を包む小さな風呂敷(ふろしき)だと考えてもらえば良いでしょう。
香典袋サイズのお盆が付属しており、それに香典袋を乗せて包みます。
より小さい袱紗を帛紗(ふくさ)と表記する場合もあります。

袱紗には慶事(祝い事)と弔事(不幸事)それぞれのタイプがあります。
今回取り扱うのは、私の専門分野である弔事、つまりお葬式や法事での使い方についてです。

なぜ袱紗をもっておくべきなのか

なぜ袱紗を勧めるかというと、お葬式に参列したときに「分かっている」感を出せるからです。
若い方でも、香典を受付で渡すときに袱紗を使うととてもしっかりした印象を与えます。

基本的に葬儀の場でアピール感を出すのは御法度ですが、袱紗は簡単に、やり過ぎ感なく適度にアピールができる、まれな葬儀アイテムなのです。
記帳を求められたときに胸元からシルバーの万年筆を取り出すような感じ、と言えば伝わるでしょうか。

一番避けたいのは、香典袋の販売時に入っていたビニールパッケージに香典を入れて参列して、受付前でバリバリ音を立てながら取り出してしまうことです。

統計を取ったわけではないですが、数珠は8割くらいの方が使っていらっしゃいます。
一方、袱紗は3割くらいの使用率です。
その意味でも、上品に差別化ができます。

後述するように数千円で購入できて、一生使えますから、買っておいて損はないです。

数珠よりも袱紗、の理由

もっておくべき葬儀アイテムとしては数珠(じゅず)が有名です。しかし数珠は元々念仏を何回唱えたかをカウントする道具でした。そのため現代のお葬式では本来の機能において、持っていても意味のないアイテムなのです。

しかし袱紗は香典袋が汚れたり折曲がったりするのを防ぐ実用性があります。以上のことからも、私は数珠よりも袱紗を持つべきだと考えます。(世間一般の人は袱紗のことをあまり御存じなく、一方で数珠を持つべきと思っているので、数珠も持っているに越したことはないのですが。)

また数珠は、葬儀屋さんが運営する葬儀式場や火葬場に併設された式場などで販売されているケースが多いです。
そのためいざとなれば現地で調達できます。
しかし袱紗は珠数に比べて販売しているところが少なく、それから到着してすぐに使うため(到着したらまず受付で香典を渡すので)事前に購入しておくべきなのです。

Amazonで袱紗を注文してみた

袱紗はAmazonでも販売されています。
今や棺もAmazonで販売される時代ですから、当然ですね。
(参考記事:amazonで安く棺を買う

今回の記事を書くにあたり、袱紗を一つ購入しました。

まずAmazonで「袱紗」というワードで検索してみました。
たくさんの袱紗が検索結果に表示されるので迷ってしまうかもしれません。

初めて袱紗を買うときのポイントは2つ。

・色は紫
・安い素材(化学繊維)でよい

色は紫

色が紫をおすすめするのは、慶事(祝い事)と弔事(不幸事)の両方に使えるからです。
黒の袱紗は慶事でも使えるという意見もありますが、紫にしておいた方が無難でしょう。

ただし後述しますが、付属しているお盆はリバーシブル(裏表で機能が異なる)になっていて、朱色の方が慶事用で、落ち着いた色(灰色など)の方が弔事用です。
間違えないようにしてください。

安い素材(化学繊維)でよい

袱紗の価格帯は、絹でできたものは1万円以上で、ポリエステルなどの化学繊維でできているものは1,500円くらいからあります。
もちろん絹と化学繊維のものを並べてみれば違いは分かるのですが、実際はそういうシチュエーションはないので、それほど素材にこだわる必要はないと思います。

そして私が選んだのはこの袱紗。

選んだ理由は上記の2つに加えて
東レが開発したシルックという洗える着物に使われている素材でできており、化学繊維の中でも(少しだけ)高級感がある素材だったためです。

その他の袱紗

予算があって、他とは違うものが欲しい方は、家紋が入れられるタイプはいかがでしょうか。

自分の家の家紋が分かっていて、その家紋がラインナップの中にある方(当然ですが全ての家紋を網羅しているわけではありません)ならおすすめです。
一度だけ家紋入りの袱紗を出された方をお見かけしましたが、さりげない「良家」感がありました。

また袱紗を買う際に、ネットではなく実物が見たいという方は、デパートの仏具コーナーがもっとも品揃えが良いと思います。

香典の納め方

では実際の使い方を画像で説明します。

私がAmazonで購入した袱紗は慶弔兼用です。付属のお盆の色で使い分けるわけですが、この朱色を上にするのは慶事のとき。


弔事、つまりお葬式の時にはこの地味な色の方を上にします。
上の慶事の時の写真と比較していただければ分かると思いますが、弔事の時にはお盆は右側寄せになります。
留め具が付いている場合は左側にきます。


この上に香典を載せます。
(香典袋のマナーについてはこちらの記事を参考にしてください:香典のマナーを葬儀屋さんが教えます


まず右側を内側に折りたたみます。


次に下を内側に折り込んだ後、上を内側に折り込みます。
香典袋の上下を折り込むとき、頭を垂れて悲しみを表すために上側をかぶせるようにしますが、それと同じ理由です。
正直なところ、ここを間違えても、恥をかくことは無いと思いますが。


左側を内側に折り込みます。
左側の布の面積が大きいので、当然右側にはみ出ます。


はみ出た部分をさらに裏側にまわして、留め具を輪っかの部分に差し入れます。
これで完了です。
カバンや内ポケットに入れて参列してください。

受付でのマナーについてはこちらの記事を参考にしてください。
(参考記事:通夜・お葬式の受付のマナーを葬儀屋さんが教えます

香典の取り出し方

受付での袱紗に入れてある香典の出し方についてです。
マナー本によっては、「香典を取り出した後、袱紗のお盆に載せて差し出す」と書いているものもあります。
現金を手渡しで行うのは不作法といわれていますから、確かにこの所作はスマートです。

しかしこれは、畳の上での作法であり、実践的ではないと思います。
なぜなら香典の受付はたいてい狭いテーブルの上で行われますので、お盆を抜いた袱紗の布そのものを置いておくスペースがないからです。
袱紗だけを折りたたんでカバンや内ポケットにねじ込むのはスマートではありません。

一度袱紗から香典を取り出したら、一旦お盆を中に収納したまま袱紗を包んで、袱紗の上に香典を置いて差し出しましょう。

差し出すときは当然相手(受付の係)から名前が読める方向で差し出します。

受付の方が御香典袋を受け取ったら、そのまま袱紗をしまってください。

以上、袱紗のお話でした。











2 件のコメント

  • 袱紗で差を見せるというのは納得です。
    しかし、「一生使えます」から、もう少し品質にこだわってもいいと思います。
    特に一部の層や会社関係では、自宅に持参するケースも多いですから、恥ずかしくない物を持ちたいですね。

    >香典を取り出した後、袱紗のお盆に載せて差し出す
    これは京都と西日本の一部地域の文化だと聞いたことがあります。
    昨今、恵方巻のように極一部の風習を日本全体の文化として流行らせようとする向きがあり、マナーについても同様の押し付けを感じて不愉快ですね。
    尚更、こちらのブログは意義深いです。

    • 七八 様
      コメントありがとうございます。
      >もう少し品質にこだわってもいいと思います。
      はい、確かにおっしゃるとおりだと思います。
      ただ私のブログのマナー系記事にアクセスされている方は結構若い方が多いので、入門編としてはまず使ってみて、というところから入ってみました。

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