日本消費者協会 第12回「葬儀についてのアンケート調査」はここがおかしい




一般社団法人 日本消費者協会が行なっている第12回「葬儀についてのアンケート調査」が発表されました。

かつてはマスメディアが葬儀費用の平均値を語るときに、必ず引用されていた統計資料です。しかし、葬儀価格の下落が叫ばれていたさなかの2017年の第11回調査で、葬儀費用の平均値が前回より上昇するという誰が見てもおかしい結果に、マスコミ各社がスルー。

第11回「葬儀についてのアンケート調査」の結果が報道されない理由

今回の第12回調査も、2022年3月に発表されて3ヶ月たっているにもかかわらず、ネット上で取り上げているのは日本消費者協会のサイトのみ、というありさまです。

「葬儀についてのアンケート調査」の問題点

私はこのブログがスタートした2009年から、この数値はおかしいから参考にするべきではない、と言い続けてきました。

マスコミが報道する葬儀費用のウソ(日本消費者協会編) – 考える葬儀屋さんのブログ

現在「日本消費者協会 葬儀費用」で検索すると、日本消費者協会のサイトの次に、私が東洋経済オンラインに寄稿した記事
「葬儀の平均費用195万円」が怪しすぎる理由 | 東洋経済オンライン | 
がでてくるようになりました。

少なくとも、葬儀費用を語るときに日本消費者協会を引用している記事はガセ、という共通認識を作ることにはある程度、貢献できたと思っています。
達成感の一方で、その目標を達成してしまうと一抹の寂しさも感じます。

発表数値が実態より常に上ブレする原因は、要約すると以下の2点であると考えています。

○サンプル数が少ない(2003年のアンケートの近畿地方の葬儀一式費用の項目の回答者は1人!)

○葬儀費用を払っていない人にも答えさせている(「葬儀費用は○○円かかった」と誰かが言っていた、という伝え聞いた金額を回答した場合も有効にしている。つまり葬儀費用を払ったことが無い人にも回答させている。おそらく回答者の半数を占めているものと推定される。
喪主や施主は相続人が行うことが多い。そういう人は血縁者に葬儀費用を尋ねられると「相続はしたけど葬儀費用はかかった」と言いたがる傾向にある)

このため、現状より3~5割増しの金額がでてきてしまうのです。

第12回「葬儀についてのアンケート調査」の内容

12回の結果はどうだったでしょう。

実は今回からアンケートの形式が一部変わっています。

まず、葬儀費用は「葬儀をとりおこなった喪主のみ」に答えてください、となっています。
これは大きな進歩だと思います。

前述したように、私の寄稿した東洋経済オンラインの記事が、検索上位にでてくるようになりました。
さすがにエゴサーチくらいはしているはずなので、私の批判に、日本消費者協会も修正せざるをえなかったのではないでしょうか。

またもう一つに特徴は、前回から少し間が空いたことと、コロナ禍がお葬式の形態を変えたためでしょう、
「2017~2019年まで」と「2020~」と期間を分けて、統計をとっていること。

その結果、前回195万7千円だった葬儀費用(葬儀一式+飲食+御布施)は
2017~2019年まで・・・177万8千円
2020~・・・161万9千円
となりました。

たしかにコロナ禍をはさんで下がっているのは、実態に合っているのですが、それでも3~5割くらい上ブレしていると思います。
「ウチの葬儀費用の平均額はこれぐらいです」という葬儀屋さんはほとんどいないのではないでしょうか。

数値が上振れする原因

母集団が喪主のみになったにもかかわらず
数値が上振れする原因を、今回の発表資料から新たに2つ読みとることができます。
(注:本来葬儀費用を負担する人のことは喪主ではなく施主という。しかし資料内で喪主と呼んでいることと、約9割のケースで喪主と施主は同一人物であるため、文中でも喪主と呼ぶ)

火葬のみ(直葬)を反映していない。

現在経済的な事情などで、お葬式を行わず、病院→火葬場 という直葬(火葬のみ)の方が増えています。

葬儀の形式の回答(P30)をみると、直葬(火葬のみ)の比率は、全国で2.6%、東京でも12.1%に過ぎません。
おそらく火葬場の統計から、直葬の方は首都圏で3~4割くらいいるはずなので、直葬をしている方がかなり少ない母集団であることが分かります。

直葬は20~30万くらいの低価格でできますから、これが含まれていないことが平均費用を押し上げている1つめの原因です。

回答者が富裕層

この回答の母集団ですが、P5の記述によると

2.調査の方法と調査対象
(1)郵送調査(郵送による依頼と回収)
消費生活コンサルタント、全国消費者協会連合会加盟団体の会員、全日本葬祭業
協同組合連合会(以下、「全葬連」)加盟の会員社に葬儀を依頼した消費者
(2)インターネット調査(インターネット上の調査票を利用したWe b調査)
全国消費者団体連絡会の加盟団体の会員、一般の消費者

(中略)

5.回収結果
(1)郵送による調査:標本数4,393人
有効回答数 1,810人
有効回答率 41.2%
(2)インターネット調査:有効回答数 223人
(3)合計の回答者数 2,033人

インターネット回答者は全体の5%に過ぎません。また全葬蓮加盟葬儀社は、わざわざアンケートに協力するほどお人好しではないので(笑)、人数は限定的と思われます。
また全国消費者協会連合会加盟団体の会員数も、サイトを見ると「わすか10団体」と言っているくらいなので、多そうには見えません。

そうなるとこれまで3500人を輩出している消費生活コンサルタントが、母集団の中心である可能性が高いです。

(出典:消費生活コンサルタント養成講座 | 一般財団法人 日本消費者協会 | JCA

この消費生活コンサルタントの取得方法や活動内容から浮かび上がるペルソナ(人物像)は

  • インテリジェンスがあり(≒それなりの収入がある、あった)
  • 地域のボランティア的啓蒙活動に積極的(≒社会活動ができるくらいの十分な生活資産がある)
  • 交友関係が広い
  • 日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」の結果数値に、継続的に影響(刷り込み)を受けてきた

つまり、平均的日本人より、お葬式にお金をかける人達であり、そういう人達が、この「葬儀についてのアンケート調査」の母集団ということなのです。
そう考えると、前段の火葬のみ比率が極端に少ないという事実とも、整合します。

その結果、いつまでたっても「葬儀についてのアンケート調査」の葬儀費用は、上振れしているのではないでしょうか。

「葬儀についてのアンケート調査」は、役割を終えた

前回のアンケート後に、葬儀費用が消費者物価指数に登録されました。

葬儀費用が消費者物価指数に登録された本当の理由

普通に考えて、マスコミは今後、ブランド力のある消費者物価指数の数値を使うでしょう。

1983年にスタートした日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」は、もうその役割を終えました。

今回の調査冊子の中で、40年を総括する文章がみられることから、日本消費者協会自身も薄々そう思っているのかもしれません。

お疲れ様でした。











コメントを残す