今回ご紹介する本はこちらです。
松下幸之助「商売心得帖」
今から40年ほど前に書かれた本ですが、
商売に関する本質的なことが
わかりやすい言葉で(とくに日本人に響く言葉で)
語られています。
結局、現代において巷(ちまた)にあふれるビジネス本が言っていることは、
もうすでにこの本で全て語られていました。
現在の葬儀業界に当てはまる事例が、どんどん出てきます。
考えてみればこの本が出版された当時、
電化製品は主に量販店ではなく
町の家族経営の電気屋さんで取り扱われていたわけで、
現在の葬儀業界の産業構造に近かったのではないかと推察されます。
そうであるならこの本で述べられていることが
現在の葬儀業界に当てはまるのも納得がいきます。
御紹介したいところはたくさんあるのですが、
強いて選ぶとしたら、この部分。
全文を引用させていただきます(太字の強調は私が入れました)
「業界の安定は共同の責任」
どんな商売でもそうでしょうが、
お互いのお店が力づよく発展、繁栄していくためには、
そのお店の属している業界全体が常に健全で、
世間の人びとから信用されているということが大事だと思います。
「あの業界は信頼できる業界だ。
どこの店へ行っても、良い品を適正な値段で売っているし、
お客に対するサービスもいい。だから安心して買物ができる」
と言われるような業界であってこそ、
お客さまにも喜ばれつつ個々のお店の商売もほんとうに繁昌するのだ
と言えましょう。
そのためには、その業界に属する店がそれぞれに健全で、
お客さんに信用されるものでなければなりません。
もしそうではなく、業界の中に不健全な店が多ければ、
「あの業界はダメだ。信用できない」ということになって
、業界全体としても共同の大きな損害を受けることになってしまうと思うのです。
そういうことを考えてみますと、お互い商売を進めていく上で、自分の店を
健全なものにしていくことがまず第一に大切なのは言うまでもありませんが
それと同時に、他のお店ともうまく協調して、
業界全体の共通の信用を高めるということも配慮していかなければならない
と思います。
もちろんそうは言っても、他のお店と仲良くすることのみにとらわれて
互いに競争するという姿が生まれてこないということではいけません。
そういう競争のない状態からは、
業界の進歩発展というものはやはり生まれてこないでしょう。
ですから、お互い、正しい意味での競争、秩序のある対立というものは
大いに行なわねばなりませんが、その対立、競争の中に
調和を見出してゆく。
つまり対立しつつ調和することによって、自他ともの健全化を考え、
同時に業界全体の信用を高めることを考えていくことが肝要だと思います。
そのように業界全体が世の人びとから頼りにされることが、新しい時代
における業界のあるべき姿である。
またそういう姿をお互いが協力して実
現していくところに、商売人としての一つの尊い務めもあると思うのです。
における業界のあるべき姿である。
またそういう姿をお互いが協力して実
現していくところに、商売人としての一つの尊い務めもあると思うのです。
うーん、耳が痛いですね。
前述したように、現在のビジネス本がこの本に書かれていることと
同じ事を言い続けているってことは
ほとんどの読者が
「ええこと言うなぁ」で終わってしまって
実行に移せていないからだと思います。
もちろんたいしたことはできませんが、
日々の仕事とこのブログを通して、
自分なりのやり方で「共同の責任」を果たしていきたいですね。
(今回はちょっと優等生的な記事でしたね((^^;))
私の立場的には法制化を行い、公的資格化と登録・認可を実施し、スタンダードを作るのがが最も早く確実な方法と思うのですが、業界では我田引水状態が続いているので、業界自体ではスタンダードは出来ないと思います。
国民の信頼を得るためには、ペナルティーも必要です。
少なくとも、登録制度や認可制度は効果が覿面です。
prof 様、コメントありがとうございます。
あとはその基準をどう作るか、ですね。
役人の方に作らせるのはちょっと不安です。
さりとて、JECIAや全葬連の基準を見る限り
業界内では無理でしょうし。
ISOとかPマークの取得でしょうか。
組織が人を育てるのか?、人が組織を育てるのか?は難しい問題ですが、業界は人や企業の考えや対応が明確に現れるものです。
そのために成熟しない業界は、明らかに人的問題、企業的問題、組織的問題があるのだと思います。
企業毎や組織毎のスタンダードはある様ですが、業界全体としてのスタンダードは出来ていません。
日本では難しいのかと思いますが、振り回されるのは消費者である国民であることは間違いがない事実です。
葬儀業界に限らず、色々な意味で未成熟な業界には優秀な人材が集まりません(残りません)。優秀な人材が集まらない(残らない)と、業界の成長は遅々として進みません。そうすると、結局、それなりの人材しか集まりません(残りません)。
負のスパイラル。
私自身は葬儀そのものにやりがいを感じるので、業界体質に関わらず顧客満足を追求していきますが、こんなおめでたい人間は少数派でしょう。
重責で激務で薄給、社会的地位も低い現状では、まともなビジネスマンはやりたがらないですよ。
仮に公的な規制を掛けて優良業者を選別しても、葬儀スタッフ一人一人に『心』が無ければ、絵に書いた餅です。
都内葬儀社員様、コメントありがとうございます。
> 仮に公的な規制を掛けて優良業者を選別しても、葬儀スタッフ一人一人に『心』が無ければ、絵に書いた餅です。
おっしゃるとおりだと思います。
ところで聞いた話によると、近年フランスでは葬送における法改正が次々に行われ、
業界の体質改善と葬儀屋さんの待遇の向上が行われているとか。
これはいい!と、思ったのですが、
じゃ、なんで法改正が次々に行われたかというと、
葬儀屋出身の議員が当選したからだそうです。
日本じゃ・・・無理ですね。