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競合他社と仕事を取り合ったときどうすべきか




ここ数年、身内が亡くなられてから、
複数の葬儀屋さんを選ぶ方が増えてきましたね。
事前に葬儀屋さんを決めておくのがベストですが
急逝される場合などもありますから、
亡くなってから葬儀屋さんを選ぶのも当然ありえます。

そうなると、葬儀屋さんは故人をご安置している自宅で
競合他社とプレゼンを行うケースも多いわけです。
以前は病院からご自宅へお送りする業務を依頼されれば、
ほぼ葬儀の施行依頼をちょうだいできましたが、
今は、そんなに甘くない。

会話

心構えとスキル

さて、そんな時の、自分の心構えとスキルの話です。

確かになんとか自分のところに依頼してほしいと思うのは当然なのですが、
そのときに、他の葬儀屋に仕事を取られるのがイヤだ とか
上司に怒られるのがイヤだ
っていう気持ちだと、経験上、なかなかうまくいかないと思います。

私は
自分の提供する商品が一番だから、自分に葬儀を依頼してもらうのが、
一番お客様のためになる

という気持ちで、プレゼンするようにしています。
(ある意味思い上がっているのですが・・・(^^;))

そしてその際、必要なスキルは
他社にはない自社の強みを一言で言えること。」
だと思います。
たとえば
「私どもは、「信用できる葬儀社である」ことを客観的に証明できます。
なぜなら(以下、そのときの状況やお客様のニーズで多少変更します)」
というように。
肉親が亡くなられているような状況では
複雑なロジックや、あいまいな表現は、ほとんどお客様の心に届かないと思います。

以上のことができれば、他社と競合したときでも、
自分に依頼してもらえるはずです・・・
って言いたいところなんですが、
数万円安かったから、なんていう理由で(あんまり評判の良くない)他社に
持って行かれることも多いんですよね(>_<)

低価格競争につきあわない

質を理由に競合他社に負けることはないのですが、
金額を理由に負ける(他社の方が安い)ことは最近増えてきました。

他社に金額で負けそうなとき、お客様にとって優先順位の低い項目を外したり
商品ランクを下げたりすることはあります。
(例えば10万円の棺をやめて5万円の棺にしてもらうとか)
でも商品自体の値引きをすることはありません。
そもそも一社員である自分に値引きの権限は与えられていません。

適正な原価計算に基づいたプライシング(値付け)をしているので
値引きはしないし、そもそもできない
という考え方です。

一担当者が、その場で「じゃ、祭壇価格を半額にします」
という葬儀社もいます。
しかし、もし値引きできるんなら最初から安く提示すればいい、
という話ですし、
もし目の前の仕事が欲しくて無謀な値引きをしているのであれば、
その時は良くても長期的に見れば、自分の首を絞めていると思います。

金

以前 下落し続ける葬儀費用の構造分析
葬儀費用の高価格戦略
という記事を書きました。

自分の勤めている葬儀社はとにかく安くというレベルの価格競争にはつきあわず、
品質をアピールする方針にシフトしました。

当社のサイトではかなり詳細に情報公開をしています。
そして、多分サイト上で他社と金額を比較された段階で、
最安値を探している直葬のお客様には結構逃げられていると思います。

(念のために申し上げると直葬も質で勝負しています。
というより、宗教儀式を行わない直葬の方が、
葬儀社の質が強く反映されると思います。
それが消費者の方に伝わっているかどうかは、若干、心許ないのですが・・・)

サイト上で最安値を探す人に選ばれないということは、
私の目線で逆の言い方をすると
サイトの入口の段階で、顧客を選ぶためにフィルタリングをかけている
ということです。

とにかく誰からのどんな仕事でも受ける、という文化が葬儀業界にはあります。
そして時としてそれが美徳ととらえられることもあります。

しかし
戦略的に顧客セグメント(区分)を絞るのが
成熟した業界のあるべき姿なのではないでしょうか?
例えばホテル業界も顧客セグメントを分けていますよね。
そろそろ葬儀業界もその段階に入りつつあるのではないでしょうか・・・
ってちょっとフライング気味?

もしかすると
いままでさんざん不透明で悪いことしておきながら
急にもっともらしいこと言ってんじゃねぇ
と、業界をひとくくりで見ている方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに今の段階で業界全体のみそぎがすんでいるかは微妙なのですが。

でも
値段だけ安くしとけば・・・
って言う方法論は

「どうせ何を説明しても、値札しか見ないんだろ」
というように、消費者を見下している行為とは言えないでしょうか。

逆に質で選ぶ選択肢を提示するということは
「逃げられるかもしれないリスクを負いながら、消費者を信じる行為」
とは言えないでしょうか。

現状の方向転換に自信満々というわけではもちろんありませんが、
この試みを続けようと思っています。

品質をアピールする方針にシフトするタイミング

では「とにかく安くというレベルの価格競争にはつきあわず、
品質をアピールする方針にシフト」するタイミングはいつがベストなのでしょうか。

確かにタイミングの見極めは難しいです。
葬儀費用の高価格戦略 で述べたように消費者側が
葬儀費用に関するリファレンスポイント(参照点)を持ってくれれば良いのですが
まだそこまではいっていません。
というより、状況は悪化しているような・・・
(参照ページ:「葬式は、要らない」島田 裕巳 の誤りを指摘する

最終的に低価格競争にはまりこんだ段階での方向転換は難しいと思います。
葬儀屋の実力と賃金は比例するので
(参照ページ:葬儀屋の給料ってどれくらい? 2/2
低価格競争→賃金低下→従業員の質の低下
となった段階でもう舵を「質」の方向に切るのは難しいのではないでしょうか。

方向転換するなら今?

まぁ、たとえ早い段階でも
・質を上げる
・高品質であることが消費者に伝わるようにする
ことが難しいことに変わりはないんですけど(^^;)

アドボカシーマーケティング的アプローチ

補足です。

競合他社と争っているときは、ご遺族に対して
「当社にご依頼いただけなくても良いので、分からないこと
不安なことはなんでも聞いてください」
というアドボカシーマーケティング的アプローチを行っています。

そして結果的に他社に仕事を取られたときは
「今後の参考にさせていただきたいので、
当社が至らなかったと思われる点について
正直な感想をお聞かせいただけませんか?」
と確認するようにしています。

トライアルアンドエラーが大切ですね。











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