(2009年に書いた記事です。Yahoo!にも取り上げられていきなりアクセスが集まった思い出が(笑)2020年現在、この傾向は続いています。)
以前インターネットを使った葬儀社の選び方について述べました。
インターネットによって売り手と買い手の情報の格差は急激に是正されています。
今後は馬鹿高い金額を要求する葬儀社や、サイトを持っていない葬儀社は、消費者に見向きもされない時代がくるでしょう。
いいことです。
ただし(我々葬儀社サイドから見ての)問題は、インターネット上では
実際の商品価値を下回る状態で、葬儀価格の下落が起きている
ということです。
たしかにインターネットの登場で商品価格が下落する現象は葬儀業界に限ったことではありません。
ただその下落ぶりは極端で、「これ、利益出てんのか?」という見積もりを掲載している葬儀社のサイトもあります。
葬儀業界はいままで価格に関してはぬるま湯につかっていたこともあり、インターネットのインパクトはかなり大きいようです。
確かにかつて葬儀費用はその商品のバリュー(価値)に比べて割高であったと思います。
ただその原因は情報格差が全てではなく、元々葬儀がもつ商品特性に依る部分もあったはずですが。
(参照ページ:葬儀は高いという問題と葬儀屋は嫌われるという問題を深く考えてみる3/3)
その適正価格を下回って、インターネット上の葬儀費用の下落は続いています。
かつてのファーストフード業界を例に出すまでもなく、価格のみの勝負をやってしまっては、未来がないというのは葬儀業界もわかっているはずです。
しかしこうなってしまった原因は葬儀業界側にあります。
葬儀業界が葬儀価格以外での、良い葬儀社の見分け方を消費者に提示しなかったからです。
この状態に至るまでの過去の流れは以下の通りです。
①消費者の情報が不足している状態で、マスコミから「葬儀屋は悪い奴で葬儀費用が高い」という情報が提供されました。
→②マスコミの報道により葬儀の売り手と買い手の間に情報格差があるという自覚が消費者に生まれます。
→④消費者にコスト意識が芽生えます。
→⑤消費者はインターネットから葬儀価格に関する情報を得ます。
→⑥情報格差によるゆがみが修整され、葬儀費用は下落します。
ここまではいいのです。
ただこの段階で、
葬儀業界は価格以外の葬儀社の選び方を提示すべきでした。
しかしそれは行われなかったのです。
または提示された方法は実際に役に立ちませんでした。
(参照ページ:こんな葬儀社の選び方はやめましょう。)
多分各葬儀社が自社の強みを育ててこなかったのか、それを伝えなくても良いと思ってたのか、理由はいろいろあると思います。
価格以外に、葬儀社の比較方法が提示されなければ、消費者は価格のみを判断基準として葬儀社を選び続けます。
また検索技術の発達と葬儀社のホームページ増加が
価格要素のみの追求という幻想を、消費者の中に生み出しました。
なぜ幻想と言うのかというと価格コムの問題点のページを参照して欲しいのですが、ハードもソフトも異なる商品を、価格要素のみでバリューを比較するというのは不可能だからです。
たしかに、消費者が
「葬儀屋に質など求めていない、葬儀費用が安けりゃ何だっていいんだ」っていうのなら仕方がないです。
売り手が買い手の判断の是非をとやかく言うのは思い上がりだと思います。
ただ価格以外にも判断基準を求めるお客さんにも情報が提供されなかったのです。
その結果、葬儀費用という数字だけをネット上で飛び交わせながら、リアルな葬儀費用はどんどん低下していきました。
現在ではインターネット上の葬儀費用の最安値はほぼ限界近くまで来ているようです。
多分、一部の葬儀業者の低価格ぶりは業界全体に波及するでしょう。
たしかにこの結果、暴利をむさぼる葬儀社が市場から退場してくれるのは歓迎です。
しかし価格の低下が行き過ぎるとそれが賃金の低下につながり、業界に良い人材が集まらなくなるのではないかと心配です。
私の周りには金ではなく、やりがいで働いている人がたくさんいます。
でもあまりにも労働内容と賃金がみあわなくなってくると介護業務におけるホームヘルパーのようなことになりかねません。
この現象が行き過ぎた結果、せっかく向上し始めた葬儀業界の質がまた低下することがないか、と心配しています。
そんなわけで価格以外の判断基準を消費者側に示さなきゃってことで、このブログを書いています。
葬儀社をお探しの方は「葬儀社の選び方」のカテゴリーをご覧ください。
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