葬儀屋さんにいきなり葬儀費用を聞いても答えられません
お客様からの問合せのお電話で、第一声が
「お葬式っていくらかかるの?」
というケースが数年前は良くありました。
こういう場合
日本消費者協会が調査した葬儀費用の平均価格(2017年度の発表で195万円)を答える葬儀屋さんもいるようですが、
この数字をあてにしてはいけません。
実態よりも高い数字が出ています。
その理由はこのページ(マスコミが報道する葬儀費用のウソ)をご覧ください。
良心的な葬儀屋さんほど、この「お葬式っていくら?」という質問に即答は難しいのです。
なぜなら、不動産屋さんに電話して、いきなり
「家賃ていくらかかるの?」
と聞いたとしましょう。
おそらく即答してもらえないでしょう。
立地はどこで、広さはどれくらいで、駐車場必要か・築年数は・・・などなど
条件を話さないと、不動産屋さんは家賃がいくらか答えられないはずです。
人数を決めよう
葬儀費用も同じです。
何点か条件を決めないと回答ができません。
条件の中で一番重要なのは、親戚と(外部からの)参列者の人数です。
これが分かれば平均的な大体の葬儀費用を答えることができます。
参列者の人数により、適切な収容力を持つ式場が決まり、
お返し物や料理などの変動費が確定するからです。
![参列者](https://kangaerusougiyasan.com/wp-content/uploads/imgs/2/9/295e7709-s.jpg)
家族葬の場合は、人数の予測は難しくないと思います。
一方、参列者がいらっしゃる場合は、難しい事が多いです。
たまに「67人です」というように細かく予測する方がいるのですが、
その必要はありません。
というより、参列者の人数を正確に読むのは不可能です。
150人のところを100人と読み違えても、
ちゃんとした葬儀屋さんなら、うまく対応できるはずです。
大体の人数を予測するだけで大丈夫です。
最近はやりのエンディングノートを使うという方法もあります。
エンディングノートにはもしもの時の連絡先を書き留めておくページがあるからです。
ちなみに「先生」と呼ばれる職業の方は参列者が多くなります。
教師・教授・医者・弁護士・政治家などですね。
故人や遺族がそのような職業に就いている(就いていた)方は、
少し余裕をもって人数を見積もりましょう。
最近はみなさんインターネットなどで勉強されているせいか、
最初から「家族10人だけ」とか「参列者は約80名」とか
参列者の人数を事前に予想して連絡をいただける方が多くなりました。
消費者の皆さんの学習の成果だと思います。
葬儀費用の定義をはっきりさせよう
今日述べるポイントに関しては、いろいろな葬儀サイトでも述べられているので、目新しいところはあまりありませんが、一応基本事項として知っておいてください。
まず葬儀費用について語る前に
葬儀屋サイドと消費者サイドでは葬儀費用の「定義」が異なる場合があるので注意が必要です。
葬儀屋側は葬儀費用を「葬儀社が受け取る支払い」と考えがちです。
一方消費者側は、お葬式の際かかる費用のすべて、例えば葬儀社への支払いに加えて
- 寺への支払い
- 火葬場への支払い
- 香典返し
- 場合によってはお墓の購入費用もすべて
を「葬儀費用」と認識している場合があります。
消費者の方はまずその定義のずれを認識しましょう。
(ちなみにこのブログで何度か精度の低さを指摘している日本消費者協会の葬儀の平均費用には、火葬場への支払い・香典返し・お墓の購入費用は含まれていません。
第11回「葬儀についてのアンケート調査」の結果が報道されない理由 | 考える葬儀屋さんのブログ)
![財布](https://kangaerusougiyasan.com/wp-content/uploads/imgs/a/2/a2d27e00.jpg)
葬儀費用の内訳
ではまず、葬儀費用の内訳について述べてみましょう。
事前相談の時でも、お葬式の打ち合わせでも、葬儀社が見積もりを作成した段階で、消費者の方は葬儀の金額を知ることになります。
(まれに、見積もりを作成しない葬儀社がいるそうですが、論外です。
そんなところに依頼するのは絶対にやめてください)
葬儀費用の項目は葬儀業者の価格体系によって異なりますが、大きく分けると
固定費(見積書作成後変化しない費用)
変動費(参列者の数や、車両の走行距離など、見積もり作成後変化する要素を持つ費用)
に分けられます。
(管理会計をご存じの方へ。固定費と変動費の定義が管理会計で使われる場合と異なっています。ご認識ください)
固定費・変動費をある程度細分化すると下記のようになります。
<アンカーテキスト(カーソルを当てると青く色が変わる文字)の項目は、既にその項目についての詳しい解説ページがあります。これから増やしていきます。
クリックしてお読みください。>
固定費
祭壇費用
棺
遺影写真
式場使用料
ドライアイス
安置料
その他(イメージビデオ・生演奏)
お布施
火葬費用(お骨の容器も含む)
変動費
寝台車
霊柩車
マイクロバス
ハイヤー
御礼状
返礼品
香典返し
通夜料理
告別式料理
飲み物代
内装費(式場内の装飾など)
外装費(看板類、テント、音響設備)
供花
果物籠缶詰籠
などでしょうか。
葬儀社によっては上記の葬儀費用項目をいくつか組み合わせて、セット(パック)費用にしているところもあります。
セット費用の問題点に関してはこちらを参照してください。
見積もり書確認時の最大のポイント
今後、先ほど挙げた葬儀費用の各項目の解説を行っていきます。
ただ各項目の細かいところまで踏み込むつもりなので、時間のない方のために
見積もり書確認時の最大のポイントを最初に言っておきます。
結局葬儀費用を知る上で一番大切なのは
見積書作成が終わったときに
参列者数が予想人数を超えない場合、
(言い換えると変動費の部分が予想通りだった場合)
自分が用意すべき総額はいくらなのか
を葬儀屋に説明させることです。
「参列者数が予想人数を超えてしまわない限り、見積額以上のお金は払いません」
と宣言してください。
(見積書に一筆書かせてもいいですね)
これに同意する葬儀屋さんなら、葬儀社の支払い以外の
・寺への支払い
・火葬場への支払い
・香典返し
の費用に関しても丁寧に説明してくれるはずです。
見積書作成が「終わったときに」がポイントです。
最初に宣言すると、金額の上乗せなどの「ずる」をする葬儀屋がいるかもしれませんから。
そして時間に余裕があるなら事前相談は複数社まわってください。
残念ながら時間のない方はこちらの記事を参考にしてください。
実際に両親を見送って分かった身内が亡くなったらすぐにやるべき3つのポイント 3葬儀社選び編 | 考える葬儀屋さんのブログ
上記の点を押さえておけば、大きく失敗することはありません。
より詳しくお知りになりたい方は、私の書いたこちらの本を参考にしてください。
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