「家族葬は割安」はウソだった、という鵜飼秀徳の発言はウソだった。

お坊さんの資格を持つジャーナリスト鵜飼秀徳氏がプレジデントオンラインでまたデマを流していたので指摘しておきます。

昔はこんなトンデモ記事を見つけると「ブログ記事のネタになる。やった!」と思っていました。
しかし最近私も落ち着いてきて、できることなら人の悪口は言いたくないと思うようになりました。
とはいえ黙っているとこういうデマが拡散してしまうので、葬儀業界で働く人間の義務だと考えて取り上げています。

試算で判明「家族葬は割安」はウソだった (3/4) | プレジデントオンライン

鵜飼氏は家族葬より一般葬(参列者を呼ぶ葬儀)の方が割安とのたまっています。
その根拠はこちら

●家族葬【都内の葬儀会館で親族のみ30人程度を集めた場合】
祭壇、花、ドライアイス、枕飾り、棺、霊柩車、火葬場までのハイヤー代、霊安室代、遺体安置、葬儀会館利用料などで40~80万円+寺院などへの布施30万円
支出額70万円~110万円
(直葬の箇所は中略)
●一般葬【都内の寺院で会葬者150人程度を集めた場合】
祭壇、花、ドライアイス、枕飾り、棺、霊柩車、火葬場までのマイクロバス代、香典返しなどで計100~130万円+寺院などへの布施30万円
支出額130万~160万円

香典収入 参列者1人平均8000円×150人
収入額120万円

差し引き支出額10~40万円

わかりやすく補足します。
鵜飼氏は
家族葬の費用は70万円~110万円、
一般葬の費用は130万~160万だが一般葬は香典収入が一人あたり8,000円×150名分=120万円あるので差し引き10~40万円の支出で済むといっているのです。

鵜飼氏は家族葬の費用と一般葬の費用の差額を50万円~60万円と見積もっています。
その内訳をみると家族葬と一般葬の費用の違いは参列者の有無、言い換えるとほぼ香典返しの有無だけなので(後述しますが式場の違いは費用の違いをほとんど生みません)差額の根拠は
8,000円×50%(通常香典返しはいただいた金額の半額に相当する商品を返す)×150名分=60万円ということになりますね。
つまり香典で120万円の収入があり、その半分を香典返しに使っても、残りの60万円が黒字になる、という考え方を鵜飼氏はしているわけですね。

あのー鵜飼さん、都内では一般の参列者呼ぶと人数に比例して返礼品(参列してもらったことに対するお礼の品)と通夜料理の出費が発生するんですよ。
発生しない地方もあるという反論あるかもしれませんがちゃんと文中に「都内」って書いてますしね。

そもそも香典の一人平均が8,000円という設定が高過ぎです。
これでは5,000円持参する参列者より10,000円持参する参列者の方が多いということになりますが、一度でもお葬式を出したことのある人ならそんなに香典が高額ではないことがわかるはずです。
相場は平均6,000円くらいです。

というわけで実際は持参された香典は、香典返しと返礼品と通夜料理の費用と相殺されてほとんど残らないんですよ。
せめて「人を呼んでも呼ばなくても遺族の出費は同じ」くらいの表現にとどめておけば良かったんですけどね。

それから

地域の人や会社の同僚らに手伝いに来てもらった上で、レンタルスペース代がかからない菩提寺や自宅で葬式をやれば場合によっては「黒字」になることも十分ある。

って書いてますけど
あなたその前のページで「地縁と血縁を分断」って書いているじゃないですか。
加えて定年退職後の寿命も伸びて社縁も崩壊しているんですから、そもそも手伝いに呼べる人がいないでしょう。
それに菩提寺や自宅で一般葬やると受付テントや幕などの外装内装を準備しなければいけないので、葬儀会館借りるより高くつくことも多いのです。
(上記の見積もり例で一般葬の場所をあえて寺院に設定したのも寺院の葬儀は費用がかかからないという鵜飼氏の思い込みのせいでしょうか)

以上のことは現場の葬儀屋さんならだれでも分かっていることです。
鵜飼さん、あなただけが分かっていないのです。
唯一分かっていないあなたが、メディアで書き散らかして間違った情報を拡散させているのです。

そもそも家族葬より一般葬の方が割安なら多くの方がそうするはずですよね。
きっと消費者のことをバカだと思っているんでしょう。

以前の「火葬場は10日待ち」発言の件といい(「無葬社会」鵜飼秀徳氏が流すデマを批判する | 考える葬儀屋さんのブログ
あなたのデマは消費者に深刻な被害を与えます。

独立して仕事が欲しいのはわかりますが、よく分かってもいないことをしゃべるのはやめてもらっていいですか?
寺院ネタに専念されることを期待しています。
鵜飼秀徳氏の間違った発言にツッこんでみる | 考える葬儀屋さんのブログ
そろそろ鵜飼秀徳氏ネタは終わりたいのですが | 考える葬儀屋さんのブログ




2件のコメント

引用されているところしか拝見してませんが、ご自身の思い込みで、ここまでいい加減な数字をよく並べられたなと思いますね。 
家族葬では親族からお香典貰わないのでしょうか?
自宅で150人対応できる家にお住まいであれば、どっちが安く済むなんて発想にもならなそうですが…
そもそも、家族葬にするか一般葬にするかは金額の問題ではなく、どちらが故人や喪家に適しているかだと思います。

コメントを残す