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お葬式がいやだから直葬、のときほどよく考えよう




お葬式がいやだから直葬、のときほどよく考えよう
という話です。

冒頭誤解のないように申し上げますが、
私自身は
お葬式をしたくないから直葬(お葬式を行わず火葬のみ)を選択するという考えは
全然構わないと思いますし、
むしろ直葬の担当をするのが好きな葬儀屋さんであることを断っておきます。

(参照ページ:直葬をするときのコツと注意
「葬儀秘録」を読むと名古屋でティアさんが躍進する理由が分かる

それを前提に
今日ご紹介する本はこちら

臨終力 (ベスト新書)
臨終力 (ベスト新書) 林 望

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アマゾンのページから抜粋
<内容紹介>
高齢化や大災害により、身近になった死。
そんな時代だからこそ、笑顔で最期の時を迎えるにはどうすれば良いか、
送る人も送られる人にも役に立つ6つの心得を、作家林望氏が説く。
<内容(「BOOK」データベースより)>
急激な高齢化社会や未曽有の大災害により、
かつてないほど「死」が日本人にとっても身近な問題となってきた。
しかし戦後我々は、「死」「老い」「病い」といった人生に降りかかる当たり前のことを、
直視しようとしない文化を作り上げてきた。
それは「生きること」についてもしっかり考えてこなかったことだ。
悔やんだり、恐れたりせず、安らかな気持ちで最期を迎えるための6つの心得とは、
人生を直視し、応戦する、心に北極星を持って生きる、世間への恩返しを考える、
最期の瞬間まで健康に生きる、六十歳を過ぎたら「貯蓄」よりも「減蓄」、
自分の終末をイメージしておく。

団塊世代の高齢化にあわせて
いわゆる「終活」系の本がどんどん出版されています。

出版不況時に、マーケティングを考えるなら
「本を読む」購買層である団塊世代向けに
いわゆる「終活」系書籍を販売するのは
なかなか有効だと思います。

そんなわけで最近その手の本がどんどん出版されていて
この本もそのうちの一冊と言えるでしょう。

さてこの本「臨終力」の感想ですが
林望氏は、
実は自分の「臨終」をちゃんと考えていない
と思うのです。

なぜそう思ったか、というと
葬儀に関して述べている最後の部分。

「葬儀屋の立ち入り無用」だけど
病院から直接火葬場に運んで火葬して欲しい
のだそうです。

どうもいわゆる直葬を希望されているようなのですが
しかしちょっと調べれば、
この希望を実現することが難しいことに気づくはずです。

筆者は小金井市に住んでいるとのこと。
ということは
亡くなったときは
近隣の民間の火葬場を使う可能性が高そうです。

この火葬場は葬儀屋さんを通さないと申込みを受け付けてもらえません。
また法定伝染病でもない限り、亡くなったその日に火葬することはできません。
そして病院で丸一日安置してもらえる可能性は低いです。
だとしたら火葬場の霊安室を利用しないといけません。
でもこの火葬場は納棺しないとご遺体を預かってもらえないし、
さらに夜間の安置はできません。
深夜に亡くなったら、葬儀屋のサポート無しでどうやって・・・

それに筆者は著名人です。
亡くなったという情報が漏洩したら・・・
火葬後、弔問客が毎日のように訪れたら・・・

というように
本当に「自分の最期」について真剣に考えて調べたなら、
こういう問題に関していろいろ気付くはずです。
それに思い及んでいないということは
なんとなく「普通の葬式はイヤ」というレベルで、
思考を停止させている

のだと思います。

飲み屋の与太話ならこのレベルで仕方ないと思うのです。
しかし「死」を直視しろとか終末をイメージとか宣(のたま)って
「臨終力」というタイトルまで付けた本を出しておきながら、
この詰めの甘さは、ちょっと残念です。

この世代の直葬をしたいと生前公言している方の中には、
たまに同様の方がいらっしゃるようです。
(とくに男性!)

終末についていろいろ語ることはするけれど、
実際に自分が死んでしまったときのことについては、
リアリティ(その時には本人がいないから想像力と言うべきかな)を持って語る事が苦手。
自分の死と向き合うときの臆病さ、弱さは誰にでもあるので
そのこと自体は別に悪いことではないとは思います。
しかし自分の最期について語った以上、
将来のリスクをほったらかしでもOK
というわけでもないと思います。

○○がいやだから、○○しない
という「から~しない」論理をもって否定形の根拠から入る場合は
肯定するとき以上に
ちゃんと「考える」責任がある
ように思うのですが
いかがでしょうか?

直葬だから深く考えなくてもいい、と思っているとしたら
それは違います。
直葬だからこそ事前の準備が大事、くらいの認識でちょうどいいのではないでしょうか。

例えば直葬ではないけれど、
入川保則氏みたいなのが、理想かと。

結局は

It’s your funeral!

(それはあなたのお葬式、という意味じゃなくって
「それはあなたの責任(どうなっても知らないよ)」って意味です。











7 件のコメント

  • 重苦しい空気の中、

    先週、厚労省で「ある有識者会議」があり、医療従事者の守秘義務強化(個人情報に関する罰則強化)について話し合いが行われました。
    これは、葬儀従事者に対しての関係にも大きな部分があり、「韓国方式」への移行も検討せざる得ません。
    特に、施設死亡や在宅死亡でも「韓国方式」であれば葬儀社抜きが可能であり、今の日本では「有り」かも知れません。

    また、公営火葬場では表向きは「葬儀社経由が前提」ですが、行政や社協、社福や団体組織等からの依頼は「断れない立場」(法や条例)であり、医療機関から火葬場へも増える要因はあると思います。
    特に、国内では著名な医療機関が葬儀業者とタイアップし、「院内施設での葬儀(お別れ会的)」を行い、そのまま火葬をしている実績から考えると、過渡期に差し掛かっているのも事実です。

    「ご遺体処置の保険点数化」が認められると、少なからずも葬儀業界に影響がありますが、直葬希望者にとっては、「韓国方式」の方が大きな影響があると思われます。
    葬儀でも「韓流」が大きな部分を占めるのかも知れません。(私は推奨しています)

  • prof様、
    貴重な情報ありがとうございます。
    >「韓国方式」
    病院と斎場が併設されている、という認識でよろしいでしょうか。

    > 葬儀でも「韓流」
    たいして良くないものでも勢いで成立している、
    という意味なら今もそうですね・・・って韓流ファンの方すいません。
    でも BIG BANG ってあれはちょっと

  • 先日のNHKでのクローズアップ現代で放送されていたように再び「病院死」から「自宅死」に移行する、なんて予測も確かにありますねえ

    神奈川県においては安置専門の所謂フューネラルアパートメント施設もチラホラでてきてますね。

    う~ん…エンバーマーにとっては複雑ですな

  • >>病院と斎場が併設されている、という認識でよろしいでしょうか。

    その通りです。
    韓国国内の大都市の大学病院や総合病院、ある程度の規模の病院には葬祭棟が完備しており、葬祭部があり専属スタッフがいます。(病院職員)
    全施工の数十パーセントは自病院の死亡ですが、それ以外の多くが「院外からの搬送ご遺体」です。
    院内(多くは病院地下ですが同じ敷地内の葬祭棟の場合もある)でご遺体管理と葬儀を行い、ここから火葬場へ直行します。

    ソウルではサムソン・メディカルセンターも有名ですが、カトリック大学付属病院は大規模に行っている施設です。
    哨戒船爆破事件で死亡した多くの海軍兵も、仁川から搬送されてご遺体管理と大規模な葬儀(軍葬)を行い、日本でも有名だった韓流スターが自宅で自殺した時も、警察署に搬送し検視と検死を行い、その後はこちらの施設に搬送してご遺体管理と葬儀を行い、火葬場に運ばれています。

    その意味では、大都市では「病院での葬儀」が主流になりつつあり、これに対しては違和感もなく国民にも受け入れられています。
    私としても、「これ以上の合理性はない」と感じており、ご遺体管理としては最善策(アメリカに近い方法)でもあります。

    韓国の大都市はカトリック等のキリスト教信者が多いこともありますが、「仏教葬儀の日本」では直ちに受け入れられる方法ではありませんが、国内でも大都市や個人経営病院(老健系?)では普及する可能性が高いと思います。

  • prof様、
    > 国内でも大都市や個人経営病院(老健系?)では普及する可能性が高いと思います。

    最近公休介護施設では、施設内共有スペースを使用してお別れ会をする機会が増えています。
    定着しそうですね。

  • 物理教師様
    今でもトラックにエンバーミングに必要な装置を組み込み、出張を行っている方はいますよ。企業というには小規模ではありますが…

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