葬儀社のM&Aは難しい




先日このようなプレスリリースがありました。

 

うーん、狙いはなんだろう、
というわけで葬儀屋のM&Aについて思ったことをつらつらと。

(以下、投資や経済に興味のある方はどうぞ)

 

こころネットさんは石屋さんと互助会さんが合併しJASDAQに上場した企業です。
冠婚葬祭、石材販売、生花、互助会、介護事業などの多角化経営が特徴。
上記の本文中にもあるとおり
「M&Aによるグループの規模拡大、及び企業価値の向上」を成長戦略の一つとしている。
ようです。

 

そこで投資家向けページを覗くとこんなリリースが

 

有価証券報告書の読み込みはまた後日として
・ざっくりと葬儀4割、石材3割、婚礼3割
・そして全ての事業が減収減益に陥っている
ようです。

 

買収された牛久葬儀社さんのデータはこちら
サイト情報が薄いのでよく分かりませんが
売上3億だから年間300件前後の施行を10人ほどでまわしている感じでしょうか。
失礼ながら典型的な先細りの地方の葬儀社に思えます。
葬儀件数の増加という外部環境下で売上を減らしているのは致命的。
件数が伸びてないとコストカットもファイナンスも
うまく効かすことができません。
ほっとくとこの先、赤字コースかと思われます。

 

ところで、牛久市ってどうなんだろう。
自分のイメージする牛久市って
平野にドーンと牛久大仏が立ってるイメージしかなくて。

(牛久市にお住まいの方、ホントすいません<(_ _)>)
事前にざっくりとリサーチ
死亡人口は650人くらい。
新興住宅地でかすかに人口流入している模様。
葬儀社の状況はこんな感じ
大手互助会が乗り込んできて地域一番店だった牛久葬儀社を
追い詰めているという構図でしょうか。

 

牛久大仏

さて葬儀社のM&Aって意外と難しいと思います。

M&Aを行なうのは基本的に相乗効果(シナジー)を狙ってのことだと思います。
M&Aの結果、ただ企業規模が大きくなったというだけではダメで
買った方にプラス要素が見込めないといけません。
たとえば売上100億 利益5億の会社が 売上3億 利益1千万の会社を買収して
売上103億 利益5億1千万になっても、これはシナジーと言いがたいわけですね。

上場企業のグループ下に入ったというハロー効果はあんまり機能しないでしょう。
買収された老舗を昔から知る地元の消費者はその辺りの評価はしないと思われます。

次にローカルルール(習慣やしきたり)が違ったりすると
スタッフのスキルや物品の共有化がうまく行かない場合があります。
この点、福島と茨城ではそれほど差はなさそうです。

それから密度の経済ドミナント戦略)が効く場合の
葬儀社の買収はとても有効だと思います。
たとえば従来の商圏内で別の葬儀社を買収するケースですね。
こういった場合、一番大きいのは商圏内でスタッフを流動的に回せること。
葬儀社は基本的にスタッフ数をミニマムに設定しているので
繁忙期をどう越えるか、が重要になります。
同一商圏であれば
葬儀50件を10人のスタッフで回すより、500件を100人で回すほうが
スタッフの動きを流動的にできる分、効率的なのですね。

また拠点数が多いと
受注時に最寄りのA会館に先約が入っている場合、空いているB会館に回すことで
機会損失を減らして、さらにB会館の固定比率を下げることができます。

ただし今回のような飛び地の買収の場合
密度の経済は効きません。
では規模の経済(スケールメリット)が効くかどうかなのですが
思われているほど機能しないことがほとんどなのです。

まず
ネット系の集客コストが浮くという観点ではどうでしょうか。
しかしネット系集客も地域を限定して行なうことが今や一般的なので
それほど(規模の経済上の)効果は期待できないでしょう。

次に取引上買い手が大手の場合、大量仕入れによる値引きが期待できます。
しかし仏具系や返礼品の値引きは、
もとの単価が安いこともあり意外としれています。
(イオンが日頃言っている、イオンの葬儀はイオンから商品を購入するからコストダウンというのは
実際はほとんど効果が無いと思っています)
花材と棺は比較的価格交渉の余地が大きく有効に思われますが
今回のように飛び地の物件の場合、仮にロジスティックシステムを使って社内で二次流通させても
物流コストが下手にかかってペイできない可能性があります。

葬祭業のように箱(式場)を使ってサービスを提供するような
分散型事業はそもそも規模の経済は効きにくいのです。
レストランチェーンでも規模の経済が効きにくいのと一緒です。

前述した密度の経済と後述する範囲の経済を極めることなく
規模の経済を求めることは葬祭業の場合リスキーだと言えるでしょう。

次に範囲の経済のカテゴリと言えると思うのですが
顧客情報の有効利用ができる、という観点ではどうでしょうか。
葬儀顧客情報を起点に、仏壇や墓石等の販売を行えるというメリットはありますよね。
でも仏壇墓石は流通コストがあり、
墓石は霊園と関係をつくらないといけないという政治的なコストがかかってしまいます。
ということは牛久に進出しても旨味は無いはず・・・
と思って調べてみたらこころネットさん、牛久で墓石販売は以前からやっていたみたいですね。

ただ土地柄墓の新規購入って、戦前から人が住んでいる地域だと需要があまり無いでしょうし
300件程度の葬儀屋さんを買収しても、
顧客リストのボリューム考えるとあんまり効果的とは言えないと思います。
私が唯一知っている牛久市にまつわる情報(^^;)牛久大仏の需要はよく分かりません。
もし牛久大仏の認知度と大仏自体の霊園集客力があるのなら
ますます顧客リストの価値は下がることになります。
だったらまだ一から葬儀屋立ち上げたほうが・・・とも考えたのですが
牛久葬儀社のサイトを見ると葬儀会館を一つ持っていますね。

この会館持っているという買収メリットはあるかな。
会館を一から建てるのは
ちょうどいい物件が見つからないというリスクと住民の反対運動というコストを背負わなきゃいけないので。
それを考えると穏便に活動拠点を得られるメリットはあるかも。
牛久大仏

今回の買収は関東進出の足がかりとして、とのことらしいのですが
ここから南に下る(埼玉エリアに入っていく)のは結構厳しそう。
互助会とJAの帝国の牙城を崩す勝算はあるのでしょうか?
どうもこころネットさんは福島ではJAの下請けをやっているらしいので
埼玉でもそのパイプを使って下請けを主力として地盤を作っていくのでしょうか?

あとリスクとしては互助会は下手に活動エリアを広げると
経産省からの命令で弱った互助会を引き受けさせれるリスクがありそうな・・・
「そこに拠点有るんだからあそことくっつきなさい」とか(T_T)

あ、でもそれが株価にマイナスに働くとすると逆に経産省は命令しづらくなるのか?
って今ふと思いました。
てことは逆にマーケットの投資家保護を盾にとれるから
互助会さんは上場したほうが安全じゃね?
いや、財務諸表さらすリスクのほうがデカイか(^^;)

それから売上げの下がっている葬儀社は
スタッフレベルもそれなりのことが多いです。
(あくまで一般論であり牛久葬儀社さんのことではありません。)
人はいいけど、コスト意識が薄いとか。
そういう場合彼ら彼女らに上場企業としての意識を植え付けるのは結構難しいでしょう。
事実上の解雇という選択肢もありますが、
属人的な町会やら寺とのパイプも同時に切ってしまいかねないところなので
天秤にかけたときの判断が難しいと思います。
古参社員ほどこの傾向が強いので
この決断でも頭を悩ますところです。

私個人の意見としては今回の買収は
そんなに筋が良いとは思えません。
しかし買収先の企業規模から考えると
失敗してもそんなにダメージのない投資とも言えます。

多分今回の買収で狙ったのは
投資家に対するアピールではないかと私は思うのです。
上場するとどうしても大きくなり続けることを義務づけられます。
現状維持でそこそこのインカムゲインでは許してもらえないとすると
定期的に花火を打ち上げなければいけない。
それが関東進出と言うことではないかと思うのですが
いかがでしょうか?

(上記の記事は、こころネットさんの記事をきっかけにして
述べている一般論に過ぎません。
全て私の想像で書いておりますので
投資判断には使わぬようお願いいたします)











6 件のコメント

  • 週末は「八重勝」にクシを食べに行ってきましたが、客の60%が中国人と台湾人。
    ホテル内も広東語だらけ。(標準語ではないので訳が分からない)
    外向人患者さんへの対応と外国人患者さんの死亡時の行為について、
    政府の思惑もあり構築を担当していますが、「早急に必要」と実感しました。

    実は、10日ほど前から「中堅専門業者のM&A情報」が来ています。
    裏が取れ次第にUpします。

  • prof様
    >客の60%が中国人と台湾人。
    串カツ屋さんでしたっけ?
    二度漬け禁止って理解してるんですかね?

  • これは「集団心理」に関する部分があります。

    中国や台湾からの観光客でもバスの団体旅行客と、個人や小グループ客では
    「客層やモラル(主にコンプライアンス意識)」が大きく異なります。
    団体行動では「小さな違法行為や違反行為は抑制意識を上回る」ことが多く、
    団体として、団体に所属または帰属する者は禁止行為と知りながらも行います。
    一方で、個人や小グループでは「事前情報の収集とコンプライアンス意識」が高く、
    「郷に入らば郷に従え」との同化または保護意識が高まります。

    そのために、バスツアーでは訪れない「串カツ屋」等を音連れる客は、事前に
    ガイド本を読んでおり「2度漬け禁忌」を習熟しています。
    その意味で、この様な「マナー違反はほとんど見たことはありません」。

    問題点への対策として「分散化」は重要です。(教育や医療では用いる)
    問題のあるグループは分散させて、徒党を組めないようにすると解決も多いです。

  • prof様
    >「2度漬け禁忌」を習熟しています。
    てことは、お好み焼きとご飯を注文とか
    喫茶店でやたらミックスジュースを飲んだりとか
    し始める可能性があると・・・

  • 「葬儀屋さんのブログ」サイト運営者様

    「後悔しない「終活」のやり方~よい「終わり」を迎えるために」というサイトの運営しております、
    新井と申します。
    突然のメールで失礼いたします。
    本日は、貴サイトと相互リンクをさせて頂ければと思い、
    ご連絡をさせていただきました。

    お願いに先立ちまして、
    すでに私のサイトからリンクを掲載させて頂いております。
    下記URLの144番目になります。
    (相互リンクのサイトページを整理した場合、掲載順位が変動する場合もあります。)
    koukaishinai-shuukatu.com/link/link1/
    「葬儀屋さんのブログ」というサイト名で掲載しております。

    相互リンクして頂けるのであれば
    以下の当サイト情報をご参考にリンクをお願いいたします。

    ―――――――――――――――
    サイト名:遺言の種類についてわかりやすく解説します!
    サイトURL:http://koukaishinai-shuukatu.com/type/
    サイト説明:お好きな紹介文を掲載してください。宜しくお願いいたします。
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    (加筆修正して頂いて構いません。)

    誠に恐れいりますが、相互リンクして頂けましたら
    一言、ご一報頂けますと助かります。

    サイトデザインは未熟ですが記事の内容はしっかりと書きました。
    何卒、ご検討のほど宜しくお願いいたします。

    ━-━-━-━-━-━-━-━-━-━-━-━-━
    サイト管理人:新井
    サイト:http://koukaishinai-shuukatu.com/
    メール:goldmail0904@gmail.com

  • 新井 様
    相互リンクの申し出ありがとうございます。
    せっかくのお申し出はありがたいのですが
    リンクは自発的に私個人の判断でおもしろいと思ったサイトに
    貼らせて頂いております。
    そのため相互リンクの申し出は現在全てお断りさせて頂いております。
    何卒ご理解の程、よろしくお願いいたします。

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