さて今回釣り気味のタイトルでご紹介するのは新聞の書評等でも話題のこの本。
「寺院消滅」
![]() | 寺院消滅 鵜飼 秀徳 日経BP社 2015-05-21
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これまで断片的にいろいろ行なわれており類書はいくつかありました。
「寺院消滅」の原因には歴史的背景(過去的要素)と、昨今の社会構造の変化(現在・未来的要素)の二つがある。歴史的には江戸初期の檀家制度で勢力を伸ばす→明治時代に廃仏毀釈によって寺院が破壊される→同時に「肉食・妻帯の許可」が仏教を俗化させる→「信教の自由」が宗教間の布教競争を誘う→日本政府の植民地化政策に乗る形で、大陸への布教を強化。
教義をねじ曲げてまで戦争に加担→戦後GHQが農地改革を断行。寺院の経済基盤だった農地が取り上げられ弱体化→しかし到来した高度経済成長・バブル景気で延命
社会構造の変化としては地方から都市への人口の流出、住職の高齢化と後継者不在、檀家の高齢化、布施の「見える化」、葬儀・埋葬の簡素化など、問題が次々に浮上。
以上の結果全国では空き寺が急増し、寺院の整理・統合の時代を迎えようとしている宗教年鑑 平成26年版によると、現在全国に仏教系寺院77,329寺存在し、僧侶は377,898人いる。今後その寺院のうち三割から四割が消滅する可能性がある
日本人が住む領域を広げていったわけで
やむを得ないと考えています。
同様にやむを得ないと考えています。
この本の中で
少子高齢化、過疎化が影響して、寺や神社が存続できなくなるなんてことは、30~40年前から予想されていたことです。宗教家のほうが、目や耳を塞いでいただけです。厳しい言い方をすれば、存立を脅かす重大な問題であったのに、強い関心を払ってこなかったツケが今、回ってきているのです。(中略)日本の宗教団体が、戦後の都市化、過疎化、高齢化、少子化、核家族化、単身世帯化などの社会構造の変化に全く対応できなかったことです。(中略)地縁を復活しましょうとか、血縁を元に戻しましょうと言ったって、そんなことは宗教団体には難しいということです。(中略)今度は地方の疲弊と同時に神社、寺、新宗教の支部等が消えていくことは確実だと思います。しかし、それはある意味、日本人が総意として望んだことなのです。高度経済成長は日本人が望んだこと。その結果、都市に人が集まるということを政府は奨励し、われわれも享受した。その結果、過疎化が起こって既に五〇年です。そうした中で、地域の寺や神社は大切だから、存続させなければいけないという考えは成立しない。
おそらく立場上多くの僧侶の意見を代弁している、
言い替えると現状の僧侶の多くがこう考えているとすると
暗澹たる気持ちです。

(良く言われることだが寺院はコンビニより多い)
(参考記事:葬儀業界と葬式仏教界の競争原理の違い )
我々葬儀屋はほぼ完全な競争原理の中で戦っています。
これまで競争してこなかった仏教界が「取り戻す」とは笑止です。
「仏教好きの坊主嫌い」のお客様は増えています。
発声トレーニングをやるでしょうから。
「寺院」が完全に「消滅」することは無い
と思っています。
だと私は思っています。
ご高齢の方はもう無理かもしれませんが
この本の中でも取り上げられているように
若い僧侶を中心に改革に兆しはあります。
と最後に断言しておきましょう。
現役僧侶です。
「葬儀を取り戻す」とは傲慢であり、仏教者としての資質を疑う発言として恥ずかしく思います。
葬儀屋さんの陰日向の努力あって葬送の場が支えられているのだと。。。
私も含め若い世代の僧侶は「仏教好きの坊主嫌い」の風にあたりながら今日まで参りました。
僧侶が原点に立ち返る機会を得た良い時代だと思います。
いつもblog有難く読ませて戴いています。合掌。
田舎の小坊主 様
今回の記事は仏教界の方から少なからず叱責をいただくかも
と覚悟していたのですが
このようなコメントを頂き大変うれしいです。
ありがとうございます。
ご尤も。まさしくおっしゃる通りかと。
ピッコロ様
コメントありがとうございます!