今回ご紹介するのはこの本。
「仏教、本当の教え」
仏教、本当の教え インド、中国、日本の理解と誤解 (中公新書)[Kindle版] 植木雅俊 中央公論新社 2014-07-11
|
紀元前五世紀のインドで生まれた仏教。中国では布教に漢訳の経典が用いられたのに対し、日本は漢文のまま経典を輸入した。両国においてサンスクリットの原典は、ほとんど顧みられていない。中国は漢訳ならではの解釈を生み出し、日本では特権的知識階級である僧が、意図的に読み替えた例もある。ブッダの本来の教えをサンスクリット原典から読み解き、日中両国における仏教受容の思惑・計算・誤解を明らかにする。
著者はサンスクリット語が読める仏教研究家。
あの仏教研究の大家、中村元氏のお弟子さんです。
この本の主題を一言で言うと、
日本人のお経の翻訳間違ってるよ
ということです。
お経がインドから中国に伝わった時点で
・意訳するパターン(例:ヘヴィメタルは重金属楽)と
・音だけを当てるパターン(例:化粧品のマックスファクターはなんと「密絲仏陀」と表記する)
が混在したようです。
そして日本人はそれを取り違えてしまった、ということです。
分かりやすく例えるとヤンキー(同じ金髪だが英語をしゃべる方ではなく、特攻服着てる方)の
落書きの
「夜露死苦(よろしく)」を挨拶ではなく
「寒々としてのたうちまわる様」って解釈してしまうような話ですな。
全然分かりやすく例えてねぇわ。
すいません。
そこで著者は中国を経由する前のサンスクリット語の教典を解読して
それをまとめたのがこの本というわけです。
確かに著者の熱意も言っていることもよく分かるのですが
そもそもサンスクリットの原典も仏陀の死後、弟子達がまとめたもんだからなぁ・・・
それがどこまで仏陀の言ったことに近いのかというと、疑問符がつくのですが。
ちなみに「法要」はそもそも「真理の教えのエッセンス」という意味で
葬式仏教の儀式とは関係無い言葉だったらしい。
さてこの本で一番衝撃的だったのは
あの中村元が自分で戒名をつけていたというエピソード。
それも2つ。
「向学院釋創元」と「自誓院向学創元居士」
ちなみに中村氏の奥様は無宗教葬だったらしい。
確かに中村氏の思想の方向性をよくよく考えると別にヘンじゃないんだけど
このことを、葬式仏教界は秘密にしておきたいんじゃないかな。
コメントを残す