長年愛用していたキーボードが壊れてしまいました。
そこから修復までの長い道のりを、誰も興味を持たないだろうと思いつつ、日本で2,3人のお役に立てればと、綴(つづ)ってみました。
どうせこんな記事はマニアしか読まないでしょうから、専門用語に関しては詳細な説明は省き、一部単語にリンクを貼ったので各自しらべてください。
キーボードが壊れた
先日、長年愛用していたキーボードに不具合が発生してしまいました。
TK-UP04FPSV

↑ELECOM製でパンタグラフ構造です。買った時は、3,000円でした。
使用期間はおよそ13年。
このキーボードと同じ頃に買ったThinkPadとともにこのブログの記事やらいろんな執筆作業を行ってきました。
いわば戦友です。(ちなみにThinkPadは今でも現役です。)
不具合の箇所
不具合は以下の3点。
・「コントロールキー+C」が効かない(Cの入力はできる)
・「I」の入力ができない
・F2キーが効かない
最初の2点はキーボードとして致命的です。
ほこりが溜まっているせいかと思ってエアスプレーを使ってみましたが、改善されません。
全部キーを外して掃除を…と言いたいところですが、パンタグラフ式キーボードの取り外しは、キー裏の爪を折ってしまった経験があるので、怖くてできません。
なぜこのキーボードにこだわるのか
当然、同じものは販売されていません。
ここから2つの方針を立てました。
1つ目はこのキーボードの修理。
2つ目はできるだけ使用感が近いキーボードを新規購入することです。
2つ目はともかく、1つめの修理に関しては、もう寿命ではないか思われるかもしれません。しかし捨てるには忍びないのです。
このキーボードを使った13年間の執筆作業で、活躍してくれたこれまでの貢献に応えたい気持ちがあります。
直るものなら金に糸目をつけたくありません・・・と言いつつ必要経費で落とす予定です。すいません。
さらに大きな理由は、このキーボードのキータッチに私が完全に慣れてしまっているからです。
パンタグラフ式キーボードのタッチ感。レッツノートを併用している私にとって、このキーボードの浅いキーストローク(キーを押したときの沈み込む深さ)と底付き感があるタッチ感は最も疲れにくく、打ちやすいのです。
無接点方式はスカスカして気持ちが悪い。
メカニカル式は強いて言えば青軸がマシなのですが、やはりストロークが深すぎて今一つです。
メンブレン式は論外です。
会社でも全く同じキーボードを使っています。(会社のものはデリートキーが壊れてしまったので、キーアサインソフトを使ってナンバーロックキーに機能を設定しています。)
パンタグラフ式キーボードでこのキー配列なら他にも新品があるはず、と思われた方もいるでしょう。
手前が今回のキーボードです。
エンターキーの幅が広いことにお気づきでしょうか。US配列のキーボードならこの幅の広さのエンターキーは珍しくありません。ただしJIS配列でこの幅というのは現時点では存在しません。
エンターキーを押す私の小指がこの幅の広さを覚えてしまっているため、通常のキーボードだとエンターキーの外側を押してしまうのです。
修理編
まずメーカーであるエレコムに連絡しました。「3万円までなら出します」という条件をつけて。
「そのお気持ちは大変ありがたいのですが無理です」
という返答が来ました。
ここまでは想定内です。
次に修理してくれるところを探しました。
PC本体を修理してくれるところはいくらでもあるのですが、キーボードを修理してくれるところはほとんどありません。
キーボード専門店でも修理はしないところが多いです。ましてやELECOMの3,000円です。
いろんなところに問い合わせメールを送り、川崎市のPC修理店が手を挙げてくれました。自分の思い入れを書いたうっとしい長文メールと共に本体を送りました。
修理編後編に続きます。
新規購入編
まず価格.comで、
- パンタグラフ式
- JIS配列(マックじゃない方の配列)
- キーストロークは2ミリ前後
- キーピッチ(キーの幅)は19mm
の条件で検索をかけます。
有線/無線はどちらでもいいです。
そこで最終候補に残ったのは2機種。
とはいえキーボードはスペックが同じでもいろいろ癖があるので、実際に打ってみないことには判断できません。
新宿のビックカメラ、ヨドバシカメラを中心に回りました。
余談ですが、本命以外にも、もしやと思い念のためいろんなキーボードを試してみました。
無接点方式のリアルフォースはストローク30gが一番マシな感じですが、やっぱりこのスカスカ感がしっくりきません。(セブンイレブンのATMのキーは同じものが使われているそうです。)
耐久性が抜群なので、これが愛機なら故障を心配する必要は無くなるのですが、恋愛と一緒でなかなか完璧な出会いはないのです。
最近はメカニカル方式も種類がたくさん出ています。
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色々打ってみて一番マシなのはジャスミン軸だとわかりました。聞いたことがないという人も多いでしょうが、青軸っぽい軽いキータッチで、浅いストロークで反応するのが気に入りました。デザインがちょっとアレなんですけれども。
LEDライトが光るので、会社で使うのは無理だなと思いながらゲーミングキーボードもいくつか試してみましたが、タッチがしっくりこないです。
さて、価格.comで絞り込んだ本命の2機種ですが、結局店舗在庫がありませんでした。金額もそれほど高いものではないので、ダメ元でネット注文しました。
まずはバッファローのBSKBU14BK。
キーストロークはいい感じです。
しばらくタッチタイピングを続けてみたのですが、ミスタッチがかなり頻繁に起こるのです。
おかしいと思ってメジャーで測ってみると、スペック表ではキーピッチ19mmと記載されていますが、実際のキーピッチは18.5mmであることが判明しました。
キーピッチの0.5ミリは結構違和感あるはずです。左奥歯が0.5ミリ高くなったくらいの違和感です。わかりにくい例えですみません。
バッファローに問い合わせたところ18.5ミリであることを認めました。メーカーによっては、ちゃんと18.5ミリって書いてあるところもあるので、キーボードの一大メーカーとしてのこの姿勢は問題かと思います。交換しますと言われたのですが、2,000円程度のものをわざわざ交換するのはマイナスの機会損失なので、泣き寝入りすることにしました。
さらに、接地面から計測してキーの位置自体が、エレコムに比べて低いということに気づきました。いろんな厚さの文庫本を下に敷いて試してみると、8ミリくらい持ち上げるのがベストだという結論に。
ある程度重みがあり、厚さ8ミリの板状のもの・・・って意外にないのですね。いろいろ探した結果、天然ゴムの板をヨドバシドットコムで発見。
ただし10ミリ、5ミリ、3ミリしかありませんでした。そこで5ミリと3ミリを接着剤でくっつけてキーボードの底に貼り付けてみました。
結果は非常に良好です。エレコムのキーボードを100点とすると80点くらいは行っています。
エレコムが修理不能だった場合や、この商品も将来的に発売中止になってしまう可能性を考えて、3台購入しました。
5ミリと3ミリのゴム板もまとめ買いしたのですが、次に使うときにおそらく加水分解されていそうな気が…
ついでにこのSANWAのマウスが手にぴったりだったので、3台購入しました。
今回の件で、修理用にもう1台余計に購入するクラシックカー好きの、金持ちの気持ちが分かりました。
修理編後編
修理に出したPC店からはなかなか連絡が来ませんでした。おそらくいろんな修理を引き受けているのでしょう。パンタグラフキーボードの修理を引き受けているくらいですからね。
修理に出しておよそ1ヶ月。
メールが来ました。1度ばらして掃除をしたことで「I」キーは回復したようです。ただしCTRL+CとF2は摩耗により接触が効かなくなっているので、もう少し時間がほしいとのこと。
ええ、待ちますとも。あなたしか、もう頼る人はいないのです。
そこから更に2ヶ月!
新規購入で代替品のめどが立ったこともあり、もうほとんどあきらめかけていたころに連絡が来ました!
あれ以降、エレコムに基盤が余ってないか問い合わせたようです。ただしこれも当然というか入手することができませんでした。
最終手段として手作業で接触箇所を改造してもらったようです。これが功を奏したと。
修理に出してから3ヶ月後、やっと自宅に帰ってきました。
保証期間は1ヵ月間と言われましたが、あれから快調です。
今回の修理費用は16,500円でした。
3,000円のキーボードを16,500円で修理すると言うのは多くの方には理解できないかもしれませんが、3万円までなら出してもいいと思っていました。
だから安いくらいです。
ごく一部のキーボード愛好家には共感してもらえるんじゃないかと思います。
ただし、パンタグラフ式のキーボードにこだわる人は少ないかもしれませんが。
さて、ここまでお付き合いいただきましてありがとうございました…
ところで実はこの文章、ほとんど音声入力で作成しています。
どういうことだ、この文章こそ直ったキーボード打てや、と思われるかもしれませんが、
このようなエッセイ風の文章は、音声入力してからchatGPTで修正するのが、一番クオリティが高くなるということを、
文章の師と仰ぐ野口悠紀雄氏の最近の↓著作で知りました。
世の中は不条理ですね、って不条理なのは俺自身か。
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