普段はあまり映画館で映画を見ないのですが、吉野耕平監督の作品だけは別です。
この記事に書いたように「エンドローラーズ」という映画がきっかけで、吉野監督を知ることになり、その後のメジャーデビューの作品は毎回見に行くようにしています。
今回あの「沈黙の艦隊」を撮られたということで公開後、早速観に行きました。
私は長編の漫画をまるまる読み切ると言う事は少ないのですが、「沈黙の艦隊」は数少ない例外です。
学生の頃熱心に読みふけっていたのですが、 当時これを日本で映画化するのは無理だろうなと思っていました。
だから吉野耕平監督がTwitterで「沈黙の艦隊を撮る」と発表したときには本当にびっくりして、公開を心待ちにしていました。
私が行ったのは日曜日の21時からの上映でしたが、予想以上にお客さんが多かったです。
その日はファーストデーというやつで、入場料が割引になっていました。
さらに今月中に使い切らなければいけない楽天ポイントが数千円残っていたので、楽天ポイントでチケット購入することに。
なんだかとても吉野監督に申し訳ない気持ちです。
さてネタバレ無しの感想です。
今回の映像化でまず感じたのは、海中の立体感?が感覚的にすごく上手く表現されているということです。
例えば「下げ舵」の指示を出して、潜水艦が潜航する際、少し部屋(発令所)が前に傾くところに映画ならではの表現を感じました。
あと、漫画では、戦闘や政治の駆け引きが中心でしたが、若い隊員が戦闘を怖がるところとか、年相応の他愛のない会話とか
映画では個々の乗組員のバックグラウンドが垣間見える演出がなされています。
今回、核武装がテーマの一つにもかかわらず、自衛隊が撮影協力をしています。そのせいか計器類やその操作方法などとても細部にリアリティーを感じました。
吉野監督は、誠実かつ徹底的に対象を調べあげて、なおかつ、エンターテイメント性とのバランスを取るのがうまいのです。
かつて岡田斗司夫氏が「ハケンアニメ」を絶賛していたのですが、
その際「アニメの現場では、現実にはこういうことをしないけれども、エンターテイメントとしてこういう撮り方をするのは理解できる。」という主旨のことを言っていました。
エンドローラーズの準備段階でお葬式のことを私に尋ねた際も、ちゃんとお葬式の現場を理解しようという姿勢でした。
できあがってから「実際の現場とは違うかもしれませんが」とお詫びの言葉がありました。今にして思うといかにも吉野監督らしい誠実な姿勢だと思います。
もしかすると、当時私がこのブログで他の映画の葬儀のシーンを「リアリティーがない」と叩いていたからかもしれません。(笑)
この映画の潜水艦の描写もどこまでリアルなのかは分りませんが、同様に、潜水艦乗りの人が観ても、好意的な感想を漏らすのではないでしょうか。
21時からの上映観てきました。「エンドローラーズ」から監督の作品を観てきましたが、第7艦隊の戦闘の映像を撮るまでになられるとは…
吉野監督の創造力とエネルギーも、恐るべしです。— 考える葬儀屋さん 著書「子供に迷惑をかけないお葬式の教科書」扶桑社から絶賛発売中 (@kangaerusougiya) October 1, 2023
吉野監督も、X(Twitter)でこういう風におっしゃっていますが、 エンドローラーズでお葬式のシーンを撮っていた監督が、その9年後に日本の潜水艦とアメリカ第7艦隊が戦う映画を取るなんて、スケール感の違いに頭がクラクラします。
今回Amazonスタジオが製作しており、おそらく何十億という予算がついているはず。ちゃんとヒットさせなきゃいけないというプレッシャーの中で映画を撮るのは想像を絶します。
比べるのはおこがましいですが、自分の葬儀屋さんとしての経験の範囲で言うと、参列者が1,000人超えて予算が2,000万円を超える社葬でもプレッシャーでガチガチになってしまうのに…自分には全く想像できない世界です。
吉野監督のメンタルってどうなっているんでしょうか。
見た目とても優しそうな人なのに。本当に尊敬します。
ハケンアニメの時もそうでしたが、今回もエンドロールを見てため息が出てしまいました。
これだけたくさんのスタッフを使って、外国人にも演技指導したりしてるのかと思うと。
こんな映画撮れるんだったら、これからはどんな映画でも撮れちゃうんじゃないかな。
今回、話の途中で終わってしまったという意見もありました。漫画を読んでいた私はどう考えても2時間で終わるはずがないと思っていましたので、これは予想通りでした。
これは絶対次回作が作られる流れだと思います。
これからも頑張ってください!吉野監督。
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