今回はオンライン葬儀に参列される方向けに、参列マナーの解説をいたします。
ご遺族から
「お葬式はオンライン葬儀でやります。式場にお越し頂かなくてもよいので、もしよろしかったらオンライン配信でご参列ください」
と言われた方が対象です。
オンライン葬儀とは
オンライン葬儀とは
葬儀に参列できない方に対して、式場にカメラを設置して、式場からオンラインで中継するという仕組み
です。
コロナ禍で参列したくてもできない方のために、オンライン葬儀を導入する葬儀屋さんがポツポツ増え始めています。
と言っても、葬儀参列者の中心がITに詳しくない高齢者という障壁もあって、今ひとつ定着していません。
そのためオンライン葬儀に参列するマナーについて、述べられた情報がほとんどありません。
そのうちトンデモマナー講師がトンデモ参列マナーを言い出して、それが定着する危険性もあり、
その前に私が、オンライン葬儀の参列マナーを解説すべきと考えました。
葬儀社のオンラインサービスの賢い使い方 | 考える葬儀屋さんのブログ
↑このようにオンライン葬儀サービスの解説記事を書いていることからも分かるように、私はオンライン葬儀の経験が豊富です。
大手葬儀社に勤めているため、葬儀件数が多いことに加えて、葬儀屋さんの中ではIT系に強いので、優先的にオンライン葬儀の担当をすることが多いせいです。
参加する前の準備
まずはオンライン葬儀に参加する前に用意するものです。
- インターネット環境(インターネットがちゃんと見られるならOKです)
- ノートPC タブレット スマホの いずれか(使用人口がおおいせいか、スマホを使う人が多いですね)
- スマホケースなど機材を固定できる器具(固定できるものがあればなんでもいいのですが、とにかく見やすいように)
さて式場からの中継を見る方法ですが、
通信相手がiPhoneやiPadをお持ちの場合は、appleのアプリであるフェイスタイム、
それ以外のデバイス(アンドロイドスマホ、PC)の場合はZOOMを使うことが多いです。
フェイスタイムなら、相手にIT知識が全く無くても、式場の人がフェイスタイムで電話をかけるだけで、つながります。
この手軽さがメリットですが、参加者全員がiPhoneかiPadを持っている必要があります。
その点TV会議アプリ「ZOOM」は、相手のデバイスを問わないので、汎用性があります。
ただし、アプリのダウンロードなど、参加者側で少し準備が必要です。
ZOOMの具体的な使い方に関しては、優れた記事がネット記事や動画がたくさんあるので
「初心者 スマホ ZOOMの使い方」で検索してみてください。
それから、ZOOMをプラベートでしか使わないために、ふざけた名前や背景に設定している方は、修正しておきましょう。
服装とビデオ機能ONOFF問題
次は何を着て、参加したらいいか、です。
ZOOMなどのアプリなら
ビデオ機能をONにする(式場の遺族に姿を見せる)か、OFFにする(姿を見せない)かを
参加者が選べます。
(フェイスタイムなら強制的に姿を見せざるをえません。)
ビデオ機能がOFFなら、どんな格好でも良いとも言えますが、それでもやはりちゃんとした格好をしましょう。
まだ定着していないオンラインサービスを使用してまで参列するわけですから、当然故人を悼む気持ちを持って参列しているはずです。
それであれば当然、遺族が見る見ないにかかわらず、自分の気持ちの上で、弔意をちゃんと表す格好をすべきでしょう。
経験上、ビデオ機能をONにして参列される方は大体半分くらいです。
そしてONにしている人は、ほとんどがお葬式に参列するときと同じ格好をしています。
上下黒の礼服や、黒のアンサンブルなどです。詳しくはこちらの記事(お葬式の服装 | 考える葬儀屋さんのブログ)を参考にしてください。
もちろんこれで、全く問題ありません。
ただ、以下は私の意見ですが、
オンライン参列の場合はお葬式と同じ服装でなくてもよいでしょう。華美では無いグレー系やネイビー系中心の色使いで、男性の場合はジャケットとネクタイ着用、女性はパンツスタイルかワンピースでも、特に問題無いと考えています。
当たり前ですが、1人で参加する場合は、マスクは不要です。
それから、式場の御遺族は、ビデオ機能をONにして参列者が姿を見せてくれた方が、喜びます。
当たり前ですよね。
年配の参列者の場合、自分の姿が遺族側に見られているというのは緊張するかもしれません。しかし実際はPCやスマホの画面で、参加者が多い場合は何分割にされた一画面のワイプに映っているに過ぎないので、必要以上に緊張する必要はありません。
参加時間は余裕をもって
告知された開式時間の、遅くとも10分くらい前には、参加しましょう。
10分くらい前には、既に葬儀屋さんの開式前の説明が行われているということもありますし、
あまりギリギリだとうまく回線がつながらない場合、あせってしまいます。
式場側のスタッフも、機材トラブルが怖いので、通常は開式時間の30分前には回線をオープンにしていることが多いです。
ZOOMなどに慣れていない方は、30分前くらいから、回線を繋いでいたほうが安心でしょう。
スムースに繋がったら、とりあえず開式10分前くらいまでは、ビデオ機能とマイク機能をOFFにしておけばよいでしょう。
ビデオ機能をOFFにするのは大体みなさん行うのですが、マイク機能をOFFにするのを忘れる人が多いので要注意です。
ビデオ機能をONにして参加することを先ほど勧めましたが、マイク機能は式中もずっとOFFにしておきましょう。
式中の振る舞い
通夜・葬儀を問わず、参列すると、通常式中に行うのは焼香です。
私は遺族のご希望で、式場のカメラを片手に、実際に焼香台の前に立ち、「参列者ビュー」で中継したことがあります。
とはいえ基本的にオンライン葬儀で焼香は無理なので、一般の焼香が始まったら、画面に向かって好きなタイミングで、30秒ほど手を合わせましょう。
またお坊さんの入退場の時に司会が「礼」や「合掌」の指示をだすことがあるかもしれません。
そのときは式場の人と同じことをしてください。
通夜閉式後のあいさつ例
通夜のお経が終わって、お坊さんが退席したら・・・
私の経験では、音声機能をONにして、カメラの向こう側の参列者と話したがる御遺族がほとんどです。
久しぶりに会った人もいるでしょうし、故人の想い出、参加してもらったことに対する御礼、話したいことがたくさんあるはずです。
とはいえ実際のところ、オンライン葬儀の参列者の、リアクションは良くありません。
これも無理はありません。
他の参加者の目もありますし、ZOOMの経験も少ない場合は、なかなか喋りづらいものです。
状況が状況なので、ちょっと式場側の空気にそぐわない発言をしてしまったら・・・という不安もあるでしょう。
私は、そんな双方の不安な気持ちを、お見合いの立会人よろしく解説しつながら、アイスブレイクのためのMCをやったことがあります。
できれば、
「こんばんは○○さん。故人の会社の同僚だった○○です。この度ご愁傷様です。こういった形式に慣れていないのでなんと申し上げてよいか分からないのですが、○○さんのご冥福を祈らせていただきました。このような機会をいただいて、ありがとうございます。」
ぐらいのことは、おっしゃってみてはいかがでしょうか。
葬儀告別式の場合
葬儀告別式に参加した場合、式中の振る舞いは先程述べました。
お経を終えたお坊さんが退席したあとの流れは
祭壇のお花を葬儀屋さんがもぐ→そのお花を遺族が棺に入れてお別れ→遺族代表の挨拶→棺を霊柩車に収める→遺族が車に乗って火葬場に向かう
です。(参考記事:「葬儀の流れ」を葬儀屋さんが解説します 【完全版4/4】 | 考える葬儀屋さんのブログ)
どの段階まで中継するかは、遺族の希望によって、まちまちです。
お坊さんが退席したら中継を終える場合もあります。
私はカメラ代わりのiPadを片手に、棺と一緒に移動し、霊柩車の出棺を映してからカメラに向かって「最期までのお見送りありがとうございます。」と述べてから、回線を終えたことがあります。
現地で参列する場合は、焼香を終えて帰っても無作法ではありませんが、
オンライン葬儀の場合、どこで終わるにしろ、用事が無い場合は途中退席せずに最後まで参加するのがよいと思います。
以上、オンライン葬儀の参列マナーでした。
まだオンライン葬儀は始まったばかりなので、今後の状況に合わせて記事を加筆修正していきます。
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