葬儀社のオンラインサービスの賢い使い方




最近のコロナ禍の影響でZOOMなどのオンラインサービスが社会的に普及し、その影響は葬儀業界にも及んでいます。

私は葬儀社スタッフとして

  • オンライン事前相談
  • オンライン葬儀
  • オンラインセミナー

全てを提供した経験があります。

3つ全て経験している葬儀屋さんはほとんどいないのではないでしょうか。
そんな私が、葬儀社のオンラインサービスを利用しようとしている消費者の方に、賢い使い方をお教えします。

オンライン事前相談

おそらく一番需要があると思われる、オンラインサービスを使った事前相談の話からです。

肉親が亡くなってからあわてて葬儀屋さんをさがす、ということを行っていた時代は、悪い葬儀屋さんにだまされてしまったり、お葬式が終わってから後悔したり、ということがよくありました。最近は、万一の場合にそなえて事前に葬儀屋さんを選んで相談しておくという人が多くなりました。

オンライン事前相談の現状

葬儀屋さんに対し葬儀の相談をしたい場合、これまでは

  • 対面(葬儀社を訪問するか、葬儀屋さんに来てもらう)
  • 電話
  • メール

の3つのコミュニケーション手段がありました。

そこに現在は

  • オンラインツール(ZOOM 、ウェビナー、フェイスタイムなど)

が加わった状態です。

実際は
・普及していて使える人が比較的多い
・デバイス(スマホ・PC・タブレットなど)を選ばない
・資料を画面に出せる
という点からZOOMを使用するケースが多いです。

ZOOMって何?という方はZOOMのサイトをご覧ください・・・と言いたいところなのですが、初心者にはピンとこない内容なんですよね。

https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

ざっくり言うと、こんな感じで、スマホやPCの画面を使って離れた相手とテレビ電話のように話せるサービスです。
必要に応じて、画面上に資料を大写しにすることができます。

オンライン事前相談を利用すべき人

オンライン(ZOOM)、対面、電話、メール
それぞれの方法で事前相談をした場合の、一長一短を一覧にまとめてみました。

本来得られる情報量や、やりとりのスピードを考えると対面が一番です。
対話をしながら必要資料を卓上にどんどんひろげていけますし
葬儀会館の設備も含めて葬儀屋さんの印象も、より明確にわかります。

しかしコロナ禍のため、どうしても対面はしたくないという方もいらっしゃるでしょう。

オンライン事前相談をおすすめしたい人の条件は

  • コロナ予防や心理的ハードルなどの理由で葬儀屋さんと対面ができない
  • ZOOMが使えるくらいのIT知識がある

ということになります。

オンラインサービスを提供する側として悩ましいのは、
コロナ感染で重篤化しやすい高齢者こそオンラインサービスを利用すべきなのですが、高齢者はオンラインサービスを使いこなせないという点です。

現在生じているジレンマは、
ZOOMを使ったことがない方がオンライン事前相談を希望されて、葬儀社のコールセンターが電話で、ZOOMの使い方をアプリのダウンロードから始めて20分くらいかけて説明していることです。
「これで20分使うんなら、電話で葬儀の事前相談やった方が良くない?」
と葬儀屋さんは内心思っています。
おくびにも出しませんが。

一番強烈だったのは「ZOOMの事前相談をするにはどこに行けばいいんですか?」という質問。

考えようによっては、IT苦手だけどZOOMの使い方を覚えたい人は、葬儀社のコールセンターなら丁寧に教えてくれるということですね。

そのため現状、オンライン事前相談に申し込まれる方は、
「テレワークでZOOMを使っている方が、
仕事の合間の時間に、親御さんのお葬式の相談をする」
というケースが一番多いです。

優秀な葬儀社のオンライン事前相談とは

では優秀な葬儀社のオンライン事前相談はどんなものなのでしょうか。

モニター越しの相談というのは30分位を目安に終わらせるのが好ましいです。
特に高齢者の方は「モニター画面はテレビのように聞き流すもの」というクセがついているので、逆にモニターに集中させた状態では長時間保たないからです。

そのため

  • 葬儀の流れ
  • 葬儀費用
  • 他社より優れている点

以上の3点を整理した状態で簡潔に提示できたなら、その葬儀社は優秀です。

せっかくオンラインサービス使っているのに、葬儀の流れをビジュアル(写真やイラスト)無しに、しゃべりで説明しようとしたら、その葬儀社はダメなところです。
ただ葬儀費用の説明の際は、物品のビジュアルを都度切り替えると(例えば祭壇の金額を提示してから、複数の同じ価格帯の祭壇の写真を差し込むなど)お客様が混乱し疲れてしまいます。ある程度割り切って説明した方が良い、と経験上思います。

以上のことができている葬儀社は、葬儀の実務能力も高いはずです。

余談ですが、少しでも印象良く映るように、カメラの前で自分はリングライトを使用しています。

スマホでも大丈夫か

PCやタブレットは持っていなくて、スマホしか持っていないという方でも大丈夫です。
私がオンライン事前相談のオペレーターを務めるときは、スマホにも対応した資料を使用します。
要は一画面に情報量を詰め込みすぎないようにしているということです。

当初葬儀の見積書の一覧を出すときに、高齢の方には文字が小さくて見えないのでは?と心配していました。
しかしA4の一枚ものなら、上下を2分割して、それぞれピンチアウト(画面を二本指で拡げるアクション)をしてもらえれば
問題ありませんでした。

とはいえお持ちならiPadなどのタブレットがベストですね。
大画面でさらにピンチアウトができるからです。

どこまで個人情報を渡さないといけないか

お葬式の事前相談を受ける方の中には、どこまで個人情報を渡さなければいけないのか気にする方、言い換えると匿名性を保持したい方がいらっしゃいます。
業務上お客様の電話番号を知ったからといって、許可なく葬儀社の方から連絡することはないのですが、確かに(プライバシーマークを取得しているところは除いて)個人情報管理が甘い葬儀社が多いのも事実。

電話なら電話番号の頭に184を付ければ、個人情報を渡さずに匿名性を保てますが、音声だけのやりとりのため相談者側が得られる情報も限られます。

ZOOMを使ったオンラインサービスを申し込む場合、メールは捨てアカウントで、偽名を使えば個人情報が流れることはありません。
ビデオ機能を最初からOFFにしておけば、顔出しは避けられます。
ただ葬儀社側から申し上げると、こちらの話が伝わっているかなど、お客様の表情から読み取れる情報は多いので、できることなら顔は見ながら話したいという気持ちはあります。

訪問した方がいいかどうか迷ったらまずはオンラインで

対面で話した方がいいかどうか迷ったら、まずはオンライン事前相談を申し込んでみて、15分だけでも話してみましょう。
それでちゃんとしていたら対面してはいかがでしょうか?

オンラインサービスがしっかりしている葬儀社は、現場でのコロナ感染対策もしっかりできているので、訪問しても大丈夫です。
オンラインサービスもコロナ対策も時代の変化に対応する能力が必要とされる点では同じです。

ちゃんとした葬儀社は、対面の事前相談の際
・設備の消毒
・スタッフの体温チェック
・アクリルボードの設置

を行なっています。

しっかりしている葬儀社は何事にも、しっかりしているということなのです。

もちろん葬儀屋さんを自宅に呼んで、事前相談を行っても構いません。

オンライン葬儀

オンライン葬儀の様子は

この本の中で描きました。

コロナ禍をきっかけとしたオンライン葬儀の黎明期の話でしたが、数ヶ月たった現在(2020年10月)も状況はそれほど変わっていません。

海外在住者の利用が多い

オンライン葬儀のニーズは少し増えてきたといっても、おそらく全体の1%くらいでしょうか。
親族が海外にいてコロナで帰国できない、というケースが多いです。(仮に訃報を受けて急いで帰国しても、2週間は拘束されるのでお葬式に間に合わない)
高齢の方がコロナ感染を避けるためのニーズもあるのですが、周りにIT系のサポートができる人がいないと、実行に移せないのが実情です。

オンライン葬儀と言ってもたいしたことをしているわけではない

オンライン葬儀をうたう葬儀社は増えていますが、たいしたことをしているわけではありません。
基本的には、葬儀に参列できない方に対して、式場からオンラインで中継するという仕組みです。

相手がiPhoneをお持ちの場合はフェイスタイム、それ以外のデバイスの場合はZOOMを使うことが多いです。参加者が多く、視聴者のIT知識が低い場合は、YouTubeを非公開状態でライブ配信を行なう場合もあります。

特殊な機材や技術を使っているわけではありません。最低限スマホが2台あればなんとかなります。

もし頼んだ葬儀屋さんがオンライン葬儀に対応していなくても大丈夫

もし頼んだ葬儀屋さんがオンライン葬儀に対応していなくても大丈夫です。元々たいしたことをしているわけではないので、親族に「普段ZOOMで会議をしている」という人がいたら、その人にオンライン中継を頼んでみましょう。

基本的にはスマホに三脚をつけて、式中はカメラを祭壇側もしくは棺に向けて置いてもらうだけでOKです。相手はスマホなどのデバイスで、式場の様子をリアルタイムで見ることができます。

スマホ用三脚はAmazonで購入しておいてください。時間が無くてもAmazonプライムなら翌日届きます。葬儀社を受取人にして式場に直接届けてもらっても良いでしょう。

オンライン葬儀は定着するのか

ごく一部の大手互助会や、葬儀社をターゲットにしているITベンダーが、付加価値を付けたオンライン葬儀サービスを提案しています。
例えばネット上で訃報を出したり記帳したり、クレジットカード決済で香典や供花や弔電を受け付けたりする方法です。
しかしこのオーバースペックのオンラインサービスは、普及しないと思います。

なぜなら主な使用対象者は高齢者であり、サービスを運用するのは葬儀屋さんという、どちらもIT知識に乏しい人達です。
売り込んでいるITベンダー側は、この点を理解していないか、ITに疎い葬儀社経営者を口車に乗せて買わせてしまえばいいと思っているのではないでしょうか。訃報や記帳のサービスは、従来のメールやSNSでも代用可能です。
要は、葬儀を記号として見ているだけで、遺族というエンドユーザーの顔が見えていないのです。

というわけでオーバースペックのオンライン葬儀サービスは定着しないでしょう。

一方で前述した、葬儀中継レベルのオンライン葬儀は定着するでしょうか。

私は「ある程度」定着すると思います。

コロナ禍以前にも似たようなサービスはあって、当時は定着しないと思っていました。

しかしテクノロジーが一般的に普及することで、人々の意識や許容度も変わります。

20年間くらい前は、棺に収められた故人の顔を撮影するのはとんでもない事でした。
例えば30年ほど前、写真家の荒木経惟氏が、棺に納められた自分の奥さんの死に顔の写真を発表した時は、衝撃をもって迎えられました。(参考記事:お葬式の写真の撮り方 | 考える葬儀屋さんのブログ

しかし現在ではスマートフォンを使って、棺に収められた故人の顔を撮影する遺族は、珍しくありません。それをとがめる空気も生まれません。

これは一部の故人がエンバーミングによって死に顔が美しくなったこともあるでしょう。ただそれに加えて、スマートフォンが普及して写真を撮ったり撮られたりすることが日常に行われるようになったため、被写体になることにみんなが慣れたから、と考えられます。

そのため、今後さらにオンラインサービスが普及すれば、高齢者も使いこなせるようになり、人々の意識も変化し、オンライン葬儀のサービスもある程度受け入れられるのではないでしょうか。

もちろん一方で、音楽再生技術がどんなに発達してもライブに行くことが廃れないように、故人を見送る人が同じ時間と空間を共有するというライブとしての葬儀も廃れないと思います。

オンラインセミナー

オンライン葬儀セミナーは、会場に聴衆を集めてセミナー講師が行っていた葬儀のセミナーを、オンラインで行うサービスです。

オンラインセミナーはほとんど行われていない

現在(2020年10月)のところ、このサービスはほとんど行われていません。そのため「オンライン セミナー 葬儀」のワードでネットで検索しても、ほとんどヒットしません。「オンライン葬儀を行いたい葬儀社に対してコンサルがノウハウを教えるセミナー」がヒットするケースがほとんどです。

正直なところ、オンラインセミナー以前の問題として、葬儀屋さんの主催する葬儀セミナーというのは、葬儀屋さんがセミナー講師を務めており、自社売り込みのポジショントーク全開で、説明下手なケースが多いです。葬儀という商品は売り手と買い手の情報格差が大きかったため、これまで説明下手でもお客様に指摘されないことが多く、プレゼンスキルを磨く機会がなかったからでしょう。

オンライン事前相談を利用すべき

従来の対面型の、事前相談とセミナーを比較すると、葬儀屋さんを訪問して対面で話す事前相談は敷居が高く、セミナーは入門編として参加しやすいというメリットがありました。
しかしどちらもオンラインサービスが登場した今となっては、オンラインセミナーではなく、オンライン事前相談を利用すべきでしょう。

なぜなら

  • どちらも訪問しなくていいのなら、敷居の低さは同じ
  • オンライン事前相談なら、相談者の個々の状況にカスタマイズして最短の時間で最大の情報を提供してくれる。(例えば葬儀をせずに火葬だけをしたいのに、家族葬の話をセミナーで延々聞かされるのは時間のムダでしょう)
  • 前述したようにオンラインセミナーよりオンライン事前相談を行っている葬儀社が圧倒的に多い。

という理由です。

よってオンライン事前相談を利用しましょう。

以上
葬儀社のオンラインサービスの賢い使い方でした。
まだどれもスタートしたばかりのサービスなので、今後もいろいろ加筆していきます。











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