母が亡くなったときも父が亡くなったときも、とても寒い季節でした。
私の実家では、通夜の翌朝、つまり葬儀の直前に火葬するという習慣のため、
お葬式の日はまだ真っ暗な時間に起床します。
目覚めた瞬間に、寒さと、逃げられない現実に引き戻されたせいで、
もう本当に指一本動かしたくないのだけど、
最期のお別れをしなければならないという気持ちだけで、
重いからだを動かしました。
真夏のうだるような暑さは死をどこか幻想的にしてしまうのかもしれませんが
真冬の死は、冷然としたむき出しの現実を突きつける残酷さを持っています。
多少エコを無視して、遺族の控え室を早い時間から暖めておくのも
女性スタッフを探しだして頼む時間が惜しくて、
つい無骨な男の手で、熱いお茶をいれてしまうのもそんな理由です。
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