葬儀社評価機関を評価する 

葬儀業界にも国債と同じように「格付け」機関のようなものがあります。
今回はそのお話しです。

全葬連編

葬儀社の格付けには
全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会、葬儀屋さんの業界団体)
の行っている
「葬祭業安心度調査」
というものがあります。

葬儀業界紙フューネラルビジネスのサイト
http://www.funeral-biz.com/news/log_news.php?ym=200810
より引用します。
(あんまり詳しく読まなくてもいいです)

2008/10/22
総合評価AAA葬儀社は増加の一方、「情報公開」Aランクは依然5割未満
全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)は、所属組合員の情報公開度やサービス内容について評価した「第4回葬祭業安心度調査」の結果を発表した。同調査は、2000年、01年、05年に続き4回目で、全葬連所属員1,450事業者を対象に質問表を郵送、977事業者から回答を得た。回答率は、第1回71.8%、第2回69.4%、第3回50.7%であったが、今回は前回を16.7ポイント上回る67.4%と、所属員の関心の高さをうかがわせた。
同調査では、葬祭事業者の消費者に対する「情報公開」「サービス内容」「契約・消費者保護」の3つの項目について質問項目を設定、アンケート回答内容に基づいて配点・評価している。評価方法は、3項目についてそれぞれ基準点(計139点)とプラス点(計84点)を設けて合計223点満点とし、また、基準点とプラス点を踏まえた総合評価を「AAA」「AA」「A」「B」「C」の5段階で評価する。
今回は、AAA評価事業者は150社で全体の15.4%と、前回の05年(102社)より2.2ポイントの増加となった。しかし、Aランク以上の事業者は80.6%と全体の8割以上であったものの、前回(89.0%)より8.4ポイントの減少となった。
項目別基準点もA~Cの3段階で評価されており、Aランクは、「契約・消費者保護」は前回より5.2ポイントアップの92.9%であったが、「サービス内容」については8.8ポイント減少の80.1%であったほか、「情報公開」も43.5%(前回46.0%)と、依然として5割を切っており、引き続き大きな課題と指摘している。

調査1

「67.4%と、所属員の関心の高さをうかがわせた。」って、
逆に言えば
所属団体の3割に相手にされていない
わけですよね、このアンケート。
第3回の回答率50.7%って(^^;)

「このクソ忙しいときに、アンケートなんかやってらんねぇ」

という葬儀屋さんの声が聞こえてきそうです(^^;)

この葬祭業安心度調査は評価基準がくわしく公開されていないので、正直、判断のしようがありません。
それに調査っていうより、自己申告のアンケートみたいなものではないでしょうか。
葬儀社のサイトを見る限り、高格付けであることをアピールしている葬儀社も一握りしかありません。

この調査は今後、別にやらなくても良いのでは・・・

ああ、でもCランクの葬儀社がどこか気になりますね
これ公表してくれるんなら、続けてもイイかも
(^^;)

JECIA編

前回お話しした全葬連の「葬祭業安心度調査」とは別に
もう一つJECIAという葬儀社格付け機関があります。
http://www.jecia.co.jp/

ここ(JECIA)はどうでしょうか?

調査2

格付け機関で一番肝心なのは
評価基準が正しいのか
正しく調査されているか
という点だと思います。

評価基準はこちら
http://www.jecia.co.jp/kizyun/kizyun.html

まず審査項目それ自体は正しいと思います。
(得点配分が正しいのかどうかは議論の余地有りですが)

しかし審査項目通り、審査を正しく行えているか
という点においては、まず行えていないと思います。

いちいち検査員がその葬儀社に乗り込んでいって
「経営者や従業員」の「資質・評判」を評価したのでしょうか?
いきなり赤の他人にあなたは葬儀屋の資質無しって言われるんでしょうか?

やだな(^^;)

本当に審査項目通りに審査を行おうと思ったら、会社の帳簿やら書類を全部オープンにして、検査員が会社にある程度の期間、乗り込まないといけないと思います。

で、一番の問題はコレ。

JECIAのサイトには以下のように書かれています。

「JECIA-ジェシアの格付方法の特徴は、厳しく中立性・公平性を保つため、外部の幅広い分野から選任された委員により構成される[評価格付認定委員会]において審査・格付される点にあります。」

しかしこのJECIA自体が、葬儀社のS社が中心になって立ち上げたものです。
そして、S社自身がJECIAの五つ星(最高評価)葬儀社に選ばれています。
まさに自画自賛状態ですね。

本来ならこの点が???なんですが・・・

上記の疑問点を2年ほど前にJECIAに電話で聞いてみたことがあります。
回答の主旨は
「我々もこの審査方法が不十分なことは認識している。
しかし業界発の形でなんらかの判断基準を消費者に示したかった。」
というものでした。

うーん、まぁそう言われるとねぇ。
志としてはそんなに間違ってはいないような・・・

それからS社とは、自分の勤める葬儀社と営業エリアが被っているので、
何人か社員を存じ上げています。

で、みんないい人なんですよね。

だから非難の矛先も鈍ってしまうんですよ(^^;)

結論として
JECIAの打ち出す評価に関しては、
参考程度にとどめておく
というスタンスでよいと思います。