人口統計から10年後の葬儀社の労働環境を予測する!?




前回(お金がないから葬儀はできない、は本当か)から引き続き
人口統計と葬儀業界に関するお話しをします。

先日求人情報誌で互助会さんの求人広告を見つけました。
「40代の女性が中心となって活躍している職場です」
のリード文が載っています。

この互助会さんはいわゆるアラフォー(around40つまり40歳前後)の女性を
うまく活用されているのだと思います。

しかしその一方で
男性中心だったり
(この表現でお気を悪くされたら申し訳ないのですが)
やむを得ず40代女性を採用している
葬儀社は多いと思います。

葬儀の仕事は体力が重要と何度か述べていますが
(参照ページ:葬儀屋に必要な能力
であるならば女性よりも男性、お年を召した方よりも若い人
の方が向いているということになります。

葬儀の現場が比類無くやりがいのある職場であるといっても
精神的・肉体的な負担は相当のものです。
例えば20代女性が葬祭業に就職しても、世代別年代別労働階層の中で最も流動性が高いため、転職してしまうケースが多いのです。
(逆に20代女性が多い葬儀社は優れたところが多いと思います)

その結果
現実問題として職業選択の余地が他の階層より少ない40代前後の女性契約社員が残ることになり
(とはいえ長期的に葬儀の仕事を続けることが出来ず)
数年ごとのスパンで入れ替わりながら現場がなんとか稼働する
という葬儀社が多いのではないでしょうか。

お年を召した女性の方が落ち着きがあり、お客様に安心感を与える
というのは事実ですが、同時にその利点は、
葬儀の現場の圧倒的な負荷の前には吹っ飛びます。

誤解のないようにお願いしたいのですが
私は彼女らを過小評価しているわけではありません。
それどころか彼女らのがんばりには頭が下がります。
次第に目の下の隈(くま)が化粧で隠しきれなくなり
泣く泣くやめざるをえなくなってしまうという状況は
自分の無力さと相まって、何度経験しても胸が痛みます。

これが実態です。
しかし今後10年の間に葬儀社は
アラフォー女性社員の有効利用とそのための労働環境整備に
取り組まざるを得なくなる

というのが今回の私の主張です。
女性
葬儀屋さんなら人口問題研究所のサイトをのぞくことも多いでしょう。
そして
2038年に死亡人口は最多の170万になる
というような将来における葬儀の「需要」面ばかりを見がちです。

果たして「供給」面つまり葬儀業界の労働人口はどうでしょうか。

2010年における死亡人口は115万人としましょう。
そして2010年の生産年齢人口(つまり働ける人口、15才から64才まで)は
8129万人の予想です。

これが15年後の2025年になると死亡人口は160万人、
生産年齢人口は7096万になる予定です。
つまり少子化のつけ、そしてベビーブーマーのリタイアのつけが、効いてきて
生産年齢人口も大幅に減少してしまうのです。
(参照文献:デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) 136ページと人口問題研究所HP)

2025年には 死亡人口、つまりお葬式の件数は約1.4倍になるのに、
国内の働き手の人数は13%ダウンしてしまうのです。
生産年齢人口における葬祭業就労者比率は計算上、
現在の1.6倍にしないといけません。

2050年で計算すると 死亡人口は162万人、生産年齢人口は4930万人。
つまりお葬式の件数は1.4倍で、生産年齢人口は40%ダウンします。
葬祭業就労者比率は計算上現在の2.3倍です。

単純計算すると、
一人あたりの負担増加分を従業員の人数増加で補わなければなりません。
(15年後は、今の1.4倍分働けばいい?
ご冗談を(^_^;)

このグラフを併せて見てもらいたいのですが
今後、生産年齢人口内でも高齢化が進みます。

製造業であれば海外の労働力をあてにする事も可能です。
しかし文化・民族・宗教が密接に関係する葬祭業は、
働き手が日本人でないと難しいでしょう。
(その頃になると、直葬専門で海外の労働力を使う葬儀社も出現している可能性はありますが)

さて、果たして今後
若い男性だけで葬儀の現場を運営することができるでしょうか?

答えは・・・お分かりですよね

アラフォー世代の女性がちゃんと働ける労働環境の整備を
ここ10年で行えない葬儀社は淘汰されていくのではないでしょうか。

難しいですが業界全体で考えていかなければならない問題だと思います。











9 件のコメント

  • このシリーズの流れで行くと次の話題はアレですね。就労者比率が1.6倍になるのに市場全体の金額的規模が横ばいだと、今と同じ労働でも給与は単純計算で3分の2に落ちるから、さらになり手がいなくなる…(汗
    私としては、労働人口に算入されていながら学歴社会であるために実質機能していない、15~22歳の「計算上の7年」の労働力をいかに社会に取り込んでいくかが日本全体の課題ではないかと思っています。

  • 高見様、コメントありがとうございます。
    > さらになり手がいなくなる…(汗
    それ以上に日本全体で若者の就職難が進むので、相対的に意外と葬儀業界の人材供給が落ちない
    という希望的観測?を無理矢理考えてみる(^^;)

  • こちらも私の得意分野ですので。
    日本の将来は大変厳しいです。
    日本に限らずに韓国、中国、台湾、ロシア等も非常に厳しい状態であり、移民なくして国の存在は不可能です。
    一方、インドとアメリカは人口増加が続き、(アメリカは移民の増加等の白人以外の増加が顕著)、これからはインドの時代となります。(アフリカも増加するが)

    特に日本は超高齢化と超少子化が同時に進んでおり、生産年齢の減少と国民年齢層ピラミットの崩壊が顕著であり(2050年)、すべての常識が通じない時代が訪れます。
    少なくとも、2025年までには退職年齢を65歳まで引き上げ、年金支給年齢を70歳にする必要があります。
    この施策により、税収増加、年金掛金増収と年金支給減額が同時に行え、財政破綻を先延ばしに出来ます。

    我々の試算では年間死亡者数は150万人を越えることはなく、135~140万人レベルと考えており、政府機関とは少々異なりますが、年齢分布については統一の見解を持っています。
    死亡者は増加しますが、単身者や引き取り手のないご遺体が増加し、病院(病院で死亡するにもベットが足りないが)から火葬場、遺骨は行政預かりとなるケースが30%近くを占めると思います。

  • その意味では葬儀社の業務は簡素化される部分が多くなり、韓国スタイルの病院の増加から葬儀社業務の増加はほとんど起こらないと考えています。
    国内の火葬場も政府の死亡者予測を参考に新設や増設を行っていますが、今行われている議場仕分けと同様に「政府の予測に踊らされる部分」が多いと思います。

    韓国の大学とも共同で研究や教育を行いますが、今年の韓国の研究報告に面白いものがありました。
    2009年、韓国の合計特殊出生率は1.15人であり、日本は1.37人でした。
    そのために、韓国・三星研究所の2010年調査報告では、2010年の人口は4,887万人(100%)、2100年は2,468万人(50.5%)、2500年には33万人(0.7%)とされており、「民族消滅状態」に至ると予測されています。

    日本は韓国よりも遅れますが、合計特殊出生率では最下位グループであり、韓国と同じ道を歩みます。
    こうなると、葬儀どころの話ではありません。
    墓を造っても承継する者も墓参する者もなく、現在の慣習も存在しないのでしょう。

  • prof様、いつも「圧倒的な」コメントありがとうございます。
    感謝しております。
    それにしてもここ最近、人口問題に関する記事を頻繁に目にするようになりました。
    問題の存在が分かってるのに、有効な解決策が見つからないのが辛いところですが。

  • 実は韓国の統計には「裏」があります。
    この統計予測は「南北統一がない場合は民族消滅」を意味しており、統一をしなければとの危機を匂わせ、10年以内の統一をスムースに進めるための布石とも言えます。
    そのために、統一が行われれば「危機回避(先延ばし)」が可能であり、日本の方が民族消滅が早まる可能性があります。

    200年に1度の洪水のために、400年かかるスーパー堤防を造ろうとしていますが、完成する2400年頃には日本国内の人口は僅かであり、意味がないでしょう。
    まさに「国滅びて堤防あり」であり、重要なことは少子化対策なのですが。(すでに手遅れの感はあるが)

  • 中国も独子政策(1人っ子政策)を行った関係から現時点では人口増加がありますが、後数十年で人口減少が始まり人口減少に拍車が掛かります。
    現在の人口増は、単に「平均寿命の延びた」ためだけであり、死亡者が一時的に減少しているだけです。

    特に、一人っ子政策を行ったために産児調整(男の子なら産むが女の子は中絶する)が増加し、男女比率が大きく狂い、生涯未婚者が増加しています。
    また、社会主義国家の特徴ですが女性の就業率が非常に高く、男女の給与等格差が少なく出世格差も無いことから、結婚後も女性は仕事をする事が通常であり、女性の自立率が日本よりも遙かに高い事から、「生涯未婚の女性」も増加しています。

    一人っ子のために大卒が標準であり、上海あたりの女性は結婚相手は、女性よりも良い大学(出来れば修士か博士の高学歴)、公務員か一流企業で高給、高身長、マンションと自家用車を所持し、親と同居しない事が条件です。(昔の日本と同様)
    そのために、政府としては「独子政策を廃止」しましたが、すでに手遅れ状態で中国の人口減少は進みます。

  • prof 様、丁寧な解説ありがとうございます。
    > 上海あたりの女性は結婚相手は、女性よりも良い大学(出来れば修士か博士の高学歴)、公務員か一流企業で高給、高身長、マンションと自家用車を所持し、親と同居しない事が条件

    うーん、男には厳しい世界ですね(^^;)

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