葬儀業界にとって「マナー講師」というのは、ウソ葬儀マナーをまき散らすだけの害悪でしかありません。残念なことに奴らの存在を消すことができないのであれば、その中でも西出ひろこ氏を推すのが最善では?
という話です。
目次
マナー講師ワースト3
過去このブログでは、葬儀マナーについて語るマナー講師を批判してきました。
大きな理由は「そんなの誰もやってねぇよ」的なウソ葬儀マナーを言い続けているから。
三悪人を挙げるとすると岩下宣子・佐々木悦子・中山みゆきです。
(名前をクリックしてもらうと、言及している記事に飛びます。)
岩下宣子
岩下宣子氏は、「マナークリエイター」を自称していることからも分かるように、自分で考え出した妄想的マナーを、さも一般常識として発信しています。
こんなにデタラメを言い続けているのに、マナー業界の重鎮なのです。
彼女が重鎮であるということが、マナー講師業界の病理を象徴しています。
佐々木悦子
佐々木悦子氏は、葬儀知識の乏しさと、テレビでデタラメを平気で言える特殊なパーソナリティを有しているのが特徴です。この自己肯定感の100分の1でも自分にあったら、と思います。
彼女にもいいところがあって、それは最近見かけないということです。
中山みゆき
中山みゆき氏は、主にAll Aboutの冠婚葬祭ガイドです。何を以て冠婚葬祭について語る資格があるのか、プロフィールからうかがい知ることができません。
かつては冠婚のみについて語っていたのですが、ネタ切れになったせいか最近葬祭について語りだすようになりました。
もちろん専門家ではないので、間違いが多いです。
西出ひろ子氏との出会い
さて今回取り上げる西出ひろ子氏ですがプロフィールはこんな感じです。
(Amazon プロフィールから抜粋)
・大分県別府市生まれ。大妻女子大学 文学部国文学科(現日本文学学科)卒業後、参議院議員秘書などを経て、マナー講師として独立。
・テレビ番組をはじめメディア出演は800本以上のマナー界のカリスマと称されている。
・著書、監修本は国内外で100冊以上、著者累計100万部以上のベストセラー作家としても活動中。
(役職)・ヒロコマナーマナーグループ 代表 ウイズ株式会社 代表取締役会長 HIROKO ROSE株式会社 代表取締役社長
一般社団法人マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表理事
2013年頃、私は西出ひろ子氏をこのブログで批判しました。
彼女の著作に間違いが多く、さらにテレビに出て間違った葬儀マナーを言い出すに至り、放置しておけないと思ったからです。
その後、当人から長文の謝罪メールが届きました。
テレビでのトンデモマナーはプロデューサーの指示であることと、今後もっと精進したいという内容であったと記憶しています。
当時「西出ひろ子」でGoogle検索を行うと私の記事が5位くらいに来ていました。
確かにこれはダメージが大きいだろうということと、謝罪があったので、記事を削除しました。
西出ひろ子氏の葬儀本
現在のGoogle検索アルゴリズムでは、検索上位に上がることはないでしょうから、当時の記事を一部再掲します。
こちらが当時批判した文章です。彼女の著作の間違いを指摘しています。
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重箱の隅系の間違いはスルーして,
特にひどいところを指摘していきます。
葬儀の流れ 通夜(読経・焼香・喪主挨拶等)
通夜に喪主挨拶をするのは珍しく、ローカルルールなのでは?
いやローカルルールも載せるんです、って方針ならいいけど、それなら
席順 祭壇に向かって右側が遺族や親族。
って関東ルールで言い切っているのはおかしいよね。左になっている地域も結構あるんだけど。
神道 遷霊祭り 葬儀祭
こんな言い方は普通しない。
遷霊祭(せんれいさい) 葬場祭(そうじょうさい) が正解。
(故人との)対面の方法
対面が終わったら(中略)遺族に一礼をし、「安らかなお顔で」と言葉をかけます。
やかましいわ!こんなマニュアルには「心」がどこにもない。
(故人に)大声で泣いて抱きついたりしないこと
これ、マナーか?それ以前の問題だと思うんだが。
ワンポイントアドバイス
葬儀のときのしゃべり方は語尾まではっきりと言わず、
語尾は声をださないようにいうのがマナーです。
日本語は語尾言わなかったら文意が伝わらないんですけど。
このしゃべり方だとふざけているようにしか見えないので
むしろ無礼。
故人の宗旨が分らない場合は
「謹んで哀悼の意を表します」(中略)などのあいさつをしましょう。
「謹んで哀悼の意を表します」は弔電の中で使う文語。
会話の中で使うとかなり不自然。
浮かばれない・迷うなどは宗教上の忌み言葉なので
使わないように心がける。
マナー以前に使わねぇよ。
お別れ会、しのぶ会に呼ばれたら
服装は黒いスーツにおしゃれ感を加えても問題ありません。
少し華やかさを出すことで故人も喜んでくれることでしょう。
これもリスキーだよね。故人が喜ぶかどうかも知らないし。
焼香作法
(抹香を)香炉に落とすときは高い位置で行なうと
焼香台に散らばるおそれがあるので
できるだけ香炉に近づけて静かに落とす。
あんた読者をバカだと思ってるだろ
(供物として)仏式の場合は肉や魚、(中略)は用いません。
注意しなくても肉供える奴はいないだろ。
供花について
花束のリボンの色は白と黒、あるいは、ブルー、白、グレーと決まっていますので
決まってねぇじゃねぇか。
何色が正解だよ。
香典について
(通夜と葬式)どちらにも参列する場合
両方に持参するのは不幸が重なるという意味になりますので
必ずどちらかにだけにします。
不幸が重なる以前に出費がかさむのが問題じゃなかろうか。
(香典袋に紙幣を入れる際)肖像は上でも下でも構いません。
下にするときは「このような不幸は何かの間違いではないか」
という気持ちを表します。
うん、そんな気持ち表されてもは100%伝わんないから。
亡くなったのが「間違い」だと本気で思ってたらそもそも葬式に行かないと思うし。
お悔やみ電報の宛名敬称について
故人(奥様)の御主人の場合 「ご令室様」「令夫人様」
故人(父親)のお子様の場合 「ご尊父様」「お父上様」
一読すると一瞬???ってなるよね。
故人が奥様の時の敬称は「ご令室様」 って言えばいいのに。
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今、読み返すとなかなか激しくツッコんでるなと思います(笑)
『突然「失礼クリエイター」と呼ばれて』の内容
その後、テレビ番組に出演する直前に、メールで報告をもらいました。また彼女が葬儀マナーに関する本を出版する時は、内容をチェックしてもらえないかという依頼がきました。
その余裕はないので断りましたが、その後出版された書籍の内容を一読したところ、特に修正する箇所はありませんでした。
勉強されたのでしょう。
そんな彼女が2023年に出したのがこの本。
冒頭に、マナー本を出す直前、書いていないことがネットデマとして広まり、炎上した騒動について書かれています。そして「マナー講師」が叩かれる構造について分析しています。
炎上した件など、そっとしておきたいはずと思いきや、逆にド派手な装丁の本を出してしまうところが、西出氏のメンタルの強さを表しています。
今回の炎上は濡れ衣だったかもしれませんが、以前メールのマナーでプチ炎上していましたし、少なくとも葬儀マナーについて誤った情報を発信していたのは、前述した通り。
時には今の現場を知らずに、以前のマナーをお伝えすることもあります。そういう場合は、葬儀会社のかたや結婚式の
スタッフのかたから、お叱りをいただくこともあります。
というわけで、残念ながらこの本の中でも誤った記述があるので、叱ってみます(笑)
メールの文章に句読点を付けてはいけないというトンデモマナーを批判的に紹介する流れで、以下のように述べています。
句読点が区切りをつけるものだから、切れる、終わる、を連想させるため、縁起が悪いということで、使わないほうがよいとされています
結婚式の招待状や後日の御礼状、もしくは喪中ハガキなどは、
専門の結婚式サービス会社や葬儀社がつくる際には、句読点が入っていないことがほとんどのは
ずです。
確かに葬儀の礼状には句読点が使われていません。しかしそれは縁起かつぎではなく、筆で文章をしたためていた時代は句読点を使わなかった名残りとするほうが自然でしょう。(ちなみに公的に句読点を使うようになったのは明治の「句読法案」以降)
結婚式なら縁起担ぎ説が成立する余地がありますが、葬儀の場合不幸事は起こってしまっているわけなので、縁起担ぎはしていないでしょう。
あと
本当に正確なマナーを知りたいなら、葬儀でのマナーは仏式なら僧侶、神式なら神主や葬儀会社に聞くのがいちばんだし
とありますが、仏式も葬儀社に聞いてください。僧侶は意外と他宗派のマナーを知らないので。
次に第5章の内容を一部抜粋します。
冠婚葬祭などの一般的な常識に関する話題についても、番組からの出演依頼があります。その場合、番組側としてはすでに企画の具体的なマナーの内容が決まっていて、それをマナー講師のコメントとして伝える形になります。
もちろん、その内容に関する確認はありますが、番組が情報として視聴者に伝えたいことを代弁する役割になるわけです。
マナー講師という肩書を使って、ある種の信葱性を出したいのかもしれませんが、それは時に「番組ではなくこのマナー講師がそう言っているんですよ」としたい制作側の雰囲気を感じなくもないこともあります。
ただし、これもよいとか悪いではなく、マナー講師がその要請を受けるかどうかの間題。受けたからには、その仕事を全うすればいいと思います。
プロデューサーやディレクターから専門家として出演を求められたマナー講師といえ
ども、その番組の企画構成などの方向性はすでに決められていることもあり、それに合
わせてコメントをするのを求められることもあります。
これまでありがたいことに多くのテレビ番組に出演させていただきました。そのなか
で私が語るコメントがすでに台本に記されていることもあります。
ほかのマナー講師が、メディアの出演がきっかけで炎上するときは、おそらくそうした交渉もできないまま、メディア側が求める通りに話すしかなくなってしまったのではないかと想像しています。
視聴者からすると、マナー講師が番組にしやしやり出てきて、上から目線で「あれは失礼」「これはダメ」と話す姿を見て、ふだんからこの人はこういう態度で人に接したり生活したりしているのだろう、と見るでしょう。
でも実際は、番組側の意向に従っているケースも少なくないはずです。
問題は、その内容が炎上したり、クレームが発生したりした場合。そのときに矢面に立たされるのは、番組ではなく、出演したマナー講師となります。
マナー講師としては、依頼された内容を話したわけですが、結果的に自らの評判を落とす場合もあります。そうなったとき、テレビ局側は、あくまでマナー講師の発言であるとして、自らの責任を認めたり、謝罪したりすることはほぼありませんでした。
ですからマナー識師の発言が問題になった場合、100%マナー講師の責任だとは言い切れません。
このようにメディアに出るマナー講師を擁護しているのですが、この話には乗れません。
意にそぐわないことを強要されたら、降りればいいのです。
実際私は民放の依頼を断ったことが何度かあります。
要は、一般の人々に正しいことを伝えたいということよりも、自分の顔を売りたいだけでしょう。
この本の中で西出ひろ子氏は自分のことを
『サラリーマン生態100年史ニッポンの社長、社員、職場』(パォロ・マッッァリーノ著)では「ビジネスマナー御三家」と紹介されてもいます。
さらりと自画自賛しています。しかし原典を確認すると、ただマナー講師の著作数のベスト3という意味で御三家と言及されているだけでした。
西出氏はもちろん抜かり無く謙遜の言葉でごまかしたつもりなのでしょうが、それでも隠しきれない自己肯定感と自己顕示欲が溢れ出しています。
自己肯定感と自己顕示欲が服を来て歩いているのがマナー講師なのです。
だって想像してみてください。
「あなたの行動や発言が、世の中のルールになります」
って言われたら普通の人は、そんな重荷は背負えません、って思うはずです。
マナー講師というのはその障害を無いが如く乗り越えられる人たちなのです。
そりゃどれだけ批判しても、注目を浴びるためにトンデモマナーを言い続けるわけです。
なぜ西出ひろ子を推すしかないのか
これまで述べたような「マナー講師の病理」自体をどうしようもないのであれば、葬儀業界側が打てる方法はなんでしょうか。
ワースト3のトップを走る岩下宣子氏は2024年現在79才です。数年前から年齢的にそろそろ筆を折るだろうと期待していましたが、いろんな媒体で未だにお見かけします。内容について時事ネタ風のものも混じっているので、もしかしたらゴーストライターがいるのでは?と疑っています。
これからしばらく岩下宣子が幅を効かせる世界を想定するなら、カウンターとして今後西出ひろ子氏を推しかないのでは?と私は考えています。
問題の多いマナー講師の中でも、批判を受けいれて修正してくるので、彼女が一番マトモだという判断です。彼女の本質がどうであれ、その姿勢と、マナー講師業界での影響力を勘案すれば、彼女を推すのがベターな選択ではないかと考えます。
というわけで、このまま西出ひろ子氏は、岩下宣子氏亡き後マナー分野のトップを取ってください。
(追記)
この記事を書き終えてみて、葬儀業界のうるさ型である私が結果的に懐柔されてしまっていることを考えると、やはりマナー講師は恐ろしいということを再認識させられた次第です。
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