(PR)

福利厚生サービスさんの言ってることがちょっと分からない




葬儀業界周辺で、
私のレベルではちょっとよく分からないことをおっしゃっているサイトを発見。

以前ごじょクルのサイトの内容を指摘しましたが
(参考記事:互助会紹介ポータルサイト「ごじょクル」への疑問
今回は福利厚生サービス さんの提供する葬儀サービスについて。

こちらの会社文字通り福利厚生サービスを提供している会社らしく
万が一の時は葬儀を現物支給(!)するらしいです。

最近保険の支払いに葬儀の現物支給って話が出てきていますが
(参考記事:保険金のかわりに葬儀が提供される時代へ
それを先取りしているわけですね。

さて問題はこのPDFのチラシです。

www.fukuri-service.com/pdf/Inflation_leaflet.pdf

データが22MBって制作会社はちょっと考えてくれ とか
モデルのクオリティがビミョー(いやこれは主観的意見だが)
という問題は置いておきます。

このチラシの主旨は以下の通り。
これから毎年2%のインフレが起こると36年後は物価が2倍。
つまり現在150万円の葬儀費用は、全く同じ内容で300万円になる。
福利厚生サービスなら、契約時と全く同じ内容の財やサービスを提供するので、安心でお得、って内容です。
例えば、契約時に10万円の桐の棺で契約していれば、
36年後にその棺がインフレで値上がりして20万円になっていても、
契約時の10万円という価格で支給されるってことですね。

インフレ率2%なら36年後には150万円が300万円になるっていうのは
72の法則でたしかにそうなんでしょうけど

物価指数の変化と比較すると葬儀費用が相対的に安くなっている
(単価の下落傾向ってやつね)という話は今回置いておくとしても、
以下の問題があると思います。

・毎年2%のインフレは起きるのか?
私はまず起きないと思います。
ここはリフレ派の人と意見が分かれるところですが

私は野口悠紀雄氏や池田信夫氏の意見を支持したいと思います。

そもそも毎年2%の物価上昇が起きてたら
お坊さんにお布施払うどころじゃないでしょ(^^;)
・試算の前提条件がおかしい

(この段落はちょっと経済学に興味がないと難しいかも。すいません)

このチラシの試算表て、最下段の注意書きによると

インフレ率2%なのに、貯蓄の利率は0.1%って条件で計算してますよね。
こんな無茶な話ってリフレ派でも言い出さないでしょ。

フィッシャー方程式によると
名目金利=実質金利+予想インフレ率
が成り立ちます。
つまり
インフレ率2%なのに、貯蓄の利率は0.1%
ってことは
名目金利(つまり0.1%)=実質金利+インフレ率2%
ってことですよね。

こういったインフレ状況の場合(多少タイムラグがあるとしても)
普通は名目金利が連動して利息も通常2%前後付くはずですよね。
利率が0.1%って状況はないでしょう。

仮に百歩譲って一部リフレ派が主張しているような
「名目金利が一定で予想インフレ率が上がると実質金利が下がる」
ってことが起きたとしたら・・・
毎年実質金利が2%下がっていくってことになりますよね。

現在0%近くに張り付いているのに?
毎年2%のマイナス金利の世界って・・・
リフレ派でもこんな主張はしないでしょ。

やっぱり計算の前提条件がおかしいのでは・・・

わざと貯蓄が不利に見えるようにミスリードしてますよね?

まぁ多かれ少なかれ金融商品っていかに買い手をだますかが
勝負ってところはありますけど。
でも葬儀はお年を召した方中心に分母が大きいからね、これはちょっと・・・
グラフ

・長期間保証できる?

提供する財やサービスを福利厚生サービスさん自身が提供するのではなく、
葬儀屋に委託する訳だから、クオリティコントロール的にちょっとこの仕組み危なっかしくないですか?

この通りに長期にわたる契約を履行する能力が葬儀屋にあるなら、
葬儀業界は世間から叩かれてないと思うんですけどね。
葬儀屋のコンプライアンスの低さや、契約意識の希薄さを
甘く見ないでいただきたい!
(^^;)

そもそも何十年スパンで契約時の財やサービスをそのまま
提供するのって難しいと思います。
約款見てないんでなんとも言えないんですけど
免責条項をいろいろ盛ってるんじゃないかなぁ。

・もっとも根本的な疑問はこれ。

将来商品を半額で提供しなければいけない、
貯蓄の利率は0.1%のままである、
ともし福利厚生サービスさんが「本気で信じている」なら
なぜこんな不利なサービスを始めるのでしょうか?
社内にアクチュアリーがいなくてもわかるよね?

まさか毎年絶対に2%以上のリターンを得る運用ができるスタッフがいるとか?
もし本当にそんな能力を持っているなら、
ヘッジファンドのマネージャーやった方がいいですよ。
お金
以上いくつか疑問点を挙げてきましたが
これってつまり、自分達自身が全然「信じていない」予想で
顧客を煽(あお)ってるように私には思えます。

(追記)
それからこのチラシの説明の中で
全国800の葬儀社と提携とおっしゃってるんですが、
そんな大規模な話にもかかわらず私の耳には入ってきてないんですよね。
まさか葬儀紹介会社はさんで孫請けやらせているってことはないですよね。
まぁ36年後なら8割の葬儀社は潰れていると思いますけど(^^;)











コメントを残す