それは言わない方が・・・

先週から今週にかけて、

名古屋の葬儀社ティアの社長冨安徳久氏のインタビュー記事が
あるサイトに掲載されました。

仕事をしたら“葬儀を安く”できた(前編):葬儀代を明朗会計にした会社――すぐに“嫌がらせ”をされた (1/6) – Business Media 誠

仕事をしたら“葬儀を安く”できた(後編):どんな人が向いているの? 葬儀会社で働く人が感じる壁 (1/5) – Business Media 誠

後編は一般読者向けとしては良い内容だと思いました。

 

一方、前編のインタビューを読んだときに
ちょっとこれは言わない方が良いのではないか
と感じた箇所がありました。

 

それは

という話です。

 

(以下記事本文から一部引用)
土肥: これまで業界が隠してきたことをオープンにしたわけですから、いろいろな嫌がらせがあったのではないでしょうか?
冨安: ありました、ありました(笑)。ある団体の人が「ウチの組織に加盟しろ」と言ってきたんですよ。なぜ、加盟しなければいけないのかと聞いたところ「このままだと、葬儀代金が値崩れしてしまうから」と言うんです。
土肥: また、えらく正直に(笑)。
冨安: 業界が結託して、高価格の葬儀を維持しようと動いていたんですよ。「消費者は気にしていないから、いや、そもそも知らないんだから、この価格でやろうよ」といった感じ。でも、私がなぜ会社を立ち上げたかというと、高価格の葬儀に疑問を感じたから。値崩れさせたいためにやっているのだから、そんな団体には加盟しませんでした。そうしたら、その後大変なことに……。
土肥: どうしたんですか冨安: 嫌がらせが始まったんですよ。
土肥: どんな嫌がらせですか?
冨安: 葬儀を行うとき、場所を示すために看板を立てます。見たことがある人も多いと思いますが、その看板には「→」「←」といった感じで、矢印を記しているのですが、その方向を変えられたんですよ。そんなことされると、困りますよね。お葬式に参列しようと思っている人たちが、道に迷ってしまう。
 誰だこんなイタズラをしたのは……と思って他の看板を調べたところ、それも向きが変わっていた。気になったのですべての看板を確認したところ、すべて矢印の向きが変えられていました。
土肥: それはイカンですねえ。ティアを困らせるだけでなく、参列しようと思っている人も困らせようとしている。
冨安: 看板は動かないようにゴムでとめているのですが、そのゴムの一部を切られたことがありました。そうすると、看板がブラブラしてしまう。近くを歩いている人やクルマを運転している人たちからクレームが入るようになりました。また、朝になって看板を確認したところ、すべてなくなっていることがありました。夜中に撤去して、処分したのでしょう。
土肥: 嫌がらせはまだまだあるような。
冨安: 夜中の1時30分、会社の当直室に電話がかかってきました。「価格なんか出すな!」「安い金額でやるな!」などと言って、電話が切れる。毎晩1時30分にですよ。あまりにもしつこくかかってくるので、「オレは代表の冨安だ。オレの自宅にかけてこい」と言って、切ったんですよ。まさか自宅にまではかけてこないだろうと思っていたら、当時はNTTが配っていた電話帳に自宅の電話番号を掲載していたんですよ。というわけで、自宅に電話がかかってくることに(涙)。
 また、当時の名刺には携帯電話の番号も明記していたので、携帯電話にもイタズラ電話がかかってくるようになりました。しばらく続いていたのですが、ある日「お前をぶっ殺す!」と脅されました。さすがにこれは行き過ぎだと思って、先輩に警察関係の人がいたので、その人に相談したんですよ。
 「警察は事件が起こらないと動かないことは分かっているのですが、もし私になにかあったら同業他社を調べてください。実は、夜中にイタズラ電話がかってきているんですよ」と。すると、先輩は「『ぶっ殺す!』と言っているうちは、殺さないよ。本気で殺そうと思っている奴は、そんなこと言わないから」と話してくれました。その言葉を聞いたときには、それまでのモヤモヤした気分が晴れましたね。
犯罪
これは読者に対し
「間接証拠だけを根拠に(≒決定的な証拠がないのに)葬儀屋ってヒドイ奴らと思わせる」
というミスリードを起こしていると思います。

 

確かに私も新規出店時の嫌がらせを経験しています。
冨安氏と同じように
案内看板をボコボコにされて捨てられたり、深夜嫌がらせの電話を受けたりしました。
あと電話で自宅に来てくださいと言われ、行ってみたら誰も呼んでませんと言われたり。

 

ただこれって、
本当に同じ葬儀屋の仕業と言い切ってしまっていいのでしょうか・・・

 

なぜそう考えるかというと、
嫌がらせをする葬儀屋の立場に立つと
労力の割にメリットがほとんど無いからです。

 

看板の件に関して言うと
そもそも式場までの動線を表示する案内看板は
徒歩や車の参列者が道に迷わないようにするため
できるだけ分りやすい、人通りの多い表通りに設置されます。

そのためもしいやがらせをやろうとするなら、

人通りの絶えた真夜中にやらなきゃいけません。
葬儀屋って毎日の激務で疲れて果てているのに、
わざわざそんなことするでしょうか?
そこまでやって相手に与えるダメージって
たかが知れてますよね。
案内看板とはいえ壊したら器物破損、盗んだら窃盗です。
万一犯行現場を見つかりでもしたら、
前科がつくかもしれないし、自社の評判はガタ落ち。
おまけに相手は事業を立ち上げたばかりの葬儀社で
脅威になるかどうかもわからない。

 

全然割に合わないと思いませんか?

 

そんなことするなら、
自社のレベルをアップする、
とそこまで健全でなくても
相手のネガティブな噂を流したりする方が
まだ有効で楽だと思うのですが・・・

 

確かに合理性のないバカ葬儀屋もいないではないだろうけど(^^;)
近所に葬儀会館ができたことを
非常に憤慨している反対派の中の特別にイタイ人の嫌がらせ
という可能性もゼロではないですよね?

 

電話の件もわざわざライバル葬儀屋って分るような
足の付く言い方するって言うのも不自然。
下手すりゃ火葬場や公営式場で話し声聞かれてバレかねないし。

 

もちろん、上記の話は全て私の推測です。
でも冨安さんの、「葬儀屋の」いやがらせを受けたっていう話も全て推測ですよね。
犯人の葬儀屋とっつかまえたわけじゃないですよね。

 

きっと葬儀屋がやったに違いない・・・
これって、冤罪の可能性は無いですかね。
ワルそうな奴だからきっとやったに違いない、みたいな。

 

公式な場にもかかわらず推測で、こういう発言をすることで
結果的に葬儀業界全体をおとしめるようなことになっていませんか?

 

あと冨安さんて
(同じ話を何度もしている人に多い現象なんだけど)
ちょっと話をふくらました結果なのか、
たまに理屈の通らないストーリーを話すことがありますよね。
警察が動かないっていうくだりも、「殺す」と言ったケースは脅迫罪が適用されるから
NTTの通信記録を調べるくらいはしてくれると思うんだがなぁ・・・
犯罪2
新規参入の葬儀社は、
「葬儀業界に嫌がらせを受けた」と
お約束のように喧伝します。
(参考記事:大前研一氏の葬儀業界の分析が非常にいい加減な件(おまけ)

そういう「やり口」をずっと見てきているので、

仮に百歩譲って冨安さんの件の真犯人が葬儀屋だったとしても
冨安さんにはそういう手法は採ってほしくないのです。
「他の葬儀屋はチンピラだけどウチは違うもんね」
ということをことさら強調するのは
所詮2流3流の葬儀屋だと思うのです。

 

冨安さんが日頃おっしゃっているように
葬祭業は働く人の心が大切な仕事なのだから
まっとうな商売をやっていけば消費者は評価してくれます。
この点は冨安さんが誰よりも分っていらっしゃるでしょう。

 

いまやティアさんは率先して葬儀業界を変えていく存在であり
私は冨安さんのことを
ティアさんだけでなく葬儀業界全体の広告塔であると
思っています。

 

そういうわけなので個人的には
「嫌がらせを受けた」ネタは今後は封印していただいて
これからは一層、葬祭業のすばらしさを世間に訴えて欲しいのです。

 

ますますのご活躍を期待しています。




5件のコメント

こんにちは。
私は、まったく葬儀業界には関係ないのですが、ネットでたまたまこのブログに遭遇し、言葉を真摯に使われる方で、勉強になるなとの印象を受けました。

私は、言葉には常に正直でありたいというか、正しく(できれば)美しく、相手に届く日本語を使いたいと思っています。

貴殿のブログで勉強させていただきますね。

かな 様、
>貴殿のブログで勉強させていただきますね。
いやー、プレッシャーなんですが・・・
あっ、正確には「プレッシャーを感じる」ですね(^^;)
でも大変うれしいです。
とてもそんなレベルではないと思いますが
できるだけがんばります。

TVのインタビュー?ガイアの夜明けでしたか同じ発言を見ました。ティアさんの価格帯は確かにその時代では魅力的だったのでしょうが葬儀業界が隠してきたものではないと思うのですよね。思考停止していた業界の価格帯にメスを入れただけで…業界が隠してきたってものではないように思います。うちも始めた頃は安さだけで勝負するしかなかったので地元大手には一業者の流通のストップや霊柩車を貸してもらえないなどはありましたが、それは全葬連の仕業ではなく一会社のアホな考え方なだけなような・・・。

誇大広告による洗脳式広告に聞こえました。

かかし様、
ティアさんがマスコミで扱われるとき
業界で初めて明朗会計、的な扱い扱いをされるんですけど
東京じゃ別に珍しくなかったんですよね。

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