お葬式を成功させるのに、いちばん大事なのは「葬儀社選び」です。
それにもかかわらず、ちまたの新聞・雑誌・書籍等に掲載されている葬儀社の選び方には、正直ロクなものがないです。
よくおすすめされている葬儀社の選び方が、いかに使えないか
「間違った葬儀社の選び方」を指摘していきましょう。
目次
✗近所の葬儀社を選ぶ
まず1つ目は「近所の葬儀社を選ぶ」です。
確かに、葬儀社を探し始めるきっかけとしては悪くありません。電話帳やインターネットで近所の葬儀社を調べることで、どんな葬儀社があるのか知ることができますよね。
でも、都市部なら半径3キロメートルの範囲に10社以上あることも珍しくありません。もしこれがクリーニング店だったら簡単です。全部の店を一度ずつ使ってみて、一番気に入ったところに決めればいいんです。でも、葬儀社の場合はそうはいきません。
最初から最適な葬儀社を選ばないといけないんです。
だからこの選び方は、「たしかにそうなんだけど絞りきれていない」ということになります。
✗長年営業している葬儀社を選ぶ
2つ目は「長年営業している葬儀社を選ぶ」です。
「長年営業している葬儀社は、ある程度のレベルに達しているから長く続いてきたはずだ、だから信用できる」
と考える人が多いですよね。
でも実は、昔の葬儀業界というのは、ほとんど競争がなかったんです。
そんなに高いレベルでなくても、町会や寺院とのつながりがあれば、なんとかやっていける、そんな時代が長く続いていたんです。
今は葬儀業界も競争が激しくなってきて、昔のレベルでは通用しなくなってきている葬儀社も多いんです。だから、長年営業しているからといって、必ずしも高いレベルとは言えないんですね。
✗豊富な経験と実績を持つ葬儀社を選ぶ
3つ目は「豊富な経験と実績を持つ葬儀社を選ぶ」です。
確かにその通りなんですが、問題は、その「豊富な経験と実績」を私たち消費者がどうやって判断すればいいのかということです。
葬儀社自身が「うちは経験豊富です」と言っても、それだけでは信用できませんよね。
✗1級葬祭ディレクターが多い葬儀社を選ぶ
4つ目は「1級葬祭ディレクターが多い葬儀社を選ぶ」です。
これは1996年にスタートした資格で、現在の1級の合格率は平均して50%くらいです。
試験は学科試験と実技試験で構成されています。
私も葬祭ディレクター1級の資格を持っていますが、まったくの一般の方でも、1ヶ月勉強すれば合格できる程度のレベルです。(実際は、1級なら5年などの勤続年数が受験資格に含まれるので、いきなり受験することは不可能ですが。)
この資格は基本的な知識があるという目安にはなりますが、良い葬儀担当者に欠かせない「ホスピタリティ」、つまり相手を思いやる気遣いや、仕事に対する意識の高さがあるかどうかの目安にはならないんです。
確かに、葬祭ディレクターが一人もいない葬儀社は問題があるでしょう。でも、1級葬祭ディレクターの数が多いからといって、必ずしも良い葬儀社だとは言えないんです。
✗小さい葬儀社を選ぶ
5つ目は「小さい葬儀社を選ぶ」です。
零細葬儀社の社長がセールストークで言うことが多いです。
「大きい葬儀社はあくどく稼いでいるから大きくなった。小さい葬儀社は親身になって対応してくれるから良い」
という根拠を言いがちですが、これには全く根拠がありません。
また、「大手は自社会館の運営費が上乗せされるから価格が高くなる。会館を持っていない零細葬儀社は、その分コストが低い」
とも言います。
しかし、遺族としては、どこかの式場を借りる必要があり、結局そのコストは発生します。
自宅で葬儀をやったとしても、設営の費用が発生します。
実際、自社会館には以下のような利点があります
- 運営の自由度が高い(予約が取りやすい、時間延長がしやすい、通夜の後もゆっくりできる)
- 質の管理がしやすい(いつでもメンテナンスや清掃ができる、スタッフが使いやすい)
- 設営時間をサービスに回せる。
私が働いている葬儀社のアンケート結果でも、貸し式場より自社会館での葬儀の方が、お客様の満足度が高くなっています。
関連する記事を2本、挙げておきます。
中小葬儀社は大手葬儀社より優れているのか? – 考える葬儀屋さんのブログ
なぜ大手葬儀社は零細葬儀社より生産性が高いのか – 考える葬儀屋さんのブログ
✗業界団体に加盟している葬儀社を選ぶ
6つ目は「業界団体に加盟している葬儀社を選ぶ」です。
葬儀業界にはいくつかの業界団体がありますが、加盟審査があるわけではないので、誰でも加盟できます。
団体に加盟しているから良い葬儀社とは言えません。
✗評判が良い葬儀社を選ぶ
7つ目は「実際に葬儀をした方々の評判が良い葬儀社を選ぶ」です。
これは説得力がありそうですが、そもそも「あの葬儀社が良いよ」という会話は日常的にはしないですよね。特に都市部では、そういった情報を得る機会も限られています。
また、一般の方は葬儀を何度も経験するわけではないので、比較検討した上での評価というより、その人自身の一回限りの経験に基づく評価になりがちです。
インターネット上にも、アマゾンの購入者レビューのような体系的な葬儀社のレビューはありません。このように、本当に信頼できる「評判」を得ることは難しいのが現状です。
以上が、よく新聞雑誌テレビで見かけるけど、実際は役に立たない葬儀社の選び方です。
これまで見てきたように、一般的に言われている葬儀社の選び方には、様々な課題があります。
「じゃあ葬儀社選びはどうすればいい?」と不安になられたと思いますが、
この記事をお読みください。実務経験に基づいた、具体的で実践的な選び方をご紹介します。
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