遺族の方向けに葬儀屋さんが病院で亡くなってから葬儀が終わるまでの流れをこれ以上ないくらいにくわしく解説しています。
今回は「通夜の流れ」です。
いよいよお通夜の日を迎えました。
故人を、葬儀式場とは別の場所に安置している場合は、この日に式場へ移動することが多いです。
目次
お葬式の流れ
まずお通夜の日全体の流れです。
仮に18時開式のお通夜のタイムスケジュールの一例をあげます。
家を出る前に
16:00納棺
式場確認
17:00遺族親族集合・受付開始
17:30式場着席
18:00開式
焼香
18:40お寺が退席
食事
20:30解散
家を出る前に
☑家を出る前に次のことを確認しましょう。
- お葬式の装いになっていますか?もしくは式場で着替える場合はお葬式の服をちゃんと持っていますか
- 今日お坊さんにお布施を渡す場合は、お布施のお金を持っていますか
- 式場で流してほしい音楽の音源(CDなど)がある場合は、持っていますか
- 葬儀式場に飾りたい、故人ゆかりの品物がある場合は持っていますか
- 火の元・戸締りはちゃんとしましたか
このようにいろいろ書くと、忘れ物がないか心配になってしまう人もいるかもしれませんが、大丈夫です。
葬儀屋さんにとってみれば極端な話、遺族さえ時間通り来てもらえれば、もし足りないアイテムがあっても葬儀屋さんの方で何とかします。
プロですから。
↓参列者向けに書いた記事ですが、遺族の人にも役立つと思います。
遺族、親戚集合
遺族は、少し早めに式場に集まるわけですが、集まる時間も二通りあります。
納棺が始まる時間(開式の3時間ほど前が多いでしょうか) もしくは 開式の1時間ほど前 のどちらかです。
故人の家族など血縁関係の近い遺族は、納棺に同席するため納棺が始まる時間に集まります。
遠方であったり、血縁が遠い(四親等くらいでしょうか)遺族は、とりあえず通夜の開式に間に合えば良いので、開式1時間程前に集まります。
ただし納棺のタイミングもケースバイケースです。
例えばエンバーミング(遺体保全処置)をしないで安置の日にちが空いてしまう場合は、ドライアイスの保冷効果を高めるために、通夜当日より前の早い日程で納棺行うことがあります。
式場確認
☑式場を確認
葬儀式場の準備が出来次第、式場を確認します。
お葬式に不慣れな遺族が見て判断できるところは少ないですが、自分が見て、遺影写真とお花はきれいかどうか、ちゃんと確認しましょう。
事前に細かく打ち合わせていると思いますが、お花の色など自分のイメージと違っていたら率直に葬儀屋さんに伝えてください。
あまり時間的に余裕がないかもしれませんが、お花のストックがあれば対応してくれるかもしれません。
それから供花の札を飾ってる場合は御札の名前に間違いがないか御札の順番をどうするかを確認してください
詳しくはこちら(供花に挿すお札の飾り方)
☑通夜の流れの説明を受ける
式場の確認が済んだら、葬儀屋さんから今日のお通夜の流れの説明を受けましょう。
これから時系列で何をするかをもう一度説明してもらってください。
特にお参り(焼香)は、喪主が最初に行います。
そのため参列者のお手本になる可能性があります。
作法に関しては
・開式後何分ぐらいで焼香を行うのか
・どのタイミングでどちらに向かって頭を下げるのか
・焼香は何回行うのか
・立礼を行う場合は、どのタイミング(遺族焼香が終わってからのことが多い)で案内されてどこに立つのか
まだ参列者が来ていない状態なので、実際に練習した方が良いでしょう。
実際にその動きをしてみて、葬儀屋さんにチェックさせてください。
焼香のマナーを葬儀屋さんが教えます | 考える葬儀屋さんのブログ
☑葬儀のお手伝いの方集合業務
参列者が多くて、葬儀のお手伝いを知り合いに依頼している場合
開式時間1時間前くらいから、業務を始めるはずです。
業務内容の説明は、葬儀屋さんが行ってくれます。
取引先や同僚にお手伝いの業務を依頼している場合は、丁寧にお礼を申し上げてください。
この後、断続的に参列の方が見えるはずです。ここから少し慌ただしくなります。家族葬ならともかく、人が多い場合はいちいち対応するのは大変です。
常識のある参列者はそのへんを心得ていますから、対応できなくても失礼には当たりません。
強いてコツを挙げるなら、一人の人と長時間話し混まないように、そこそこの段階で話を切り上げるようにしましょう。話し足りない場合は、お通夜が終わった後、帰らずにしばらく残っておいてもらうようにお願いしてみましょう。
寺院到着
☑寺院挨拶・御布施準備
お坊さんが到着したら、挨拶を行います。
今日お布施を渡す予定なら、葬儀屋さんが用意してくれたお布施袋に現金を入れて事前に準備をしておきましょう。
葬儀屋さんに案内してもらって、お坊さんの控え室に向かいましょう。
普段からお付き合いのある親しい菩提寺であれば、好きなタイミングで挨拶してもかまいません。
初対面であれば何を話せばいいか分からないかもしれませんが、ベテランのお坊さんであればそういう状況に慣れていますので、話をリードしてくれるはずです。
故人の人柄とか、経歴を話すことが多いです。
戒名がある場合は、文字の間違いがないかの確認、その戒名にした理由の説明があるはずです。
話が長時間になったり、これ以上続かないと思ったら「こちらをお納めください」とお布施を渡しましょう。このとき、葬儀屋さんから借りたお盆に載せて差し出すのが、正式なマナーです。
おそらく葬儀屋さんがお通夜の打ち合わせをしたがってるはずなので、この場合は5分から長くても10分くらいで話を切り上げるのがいいでしょう。
☑遺族、親戚式場に入場後待機
参列者がそれなりに来る場合、喪主は開式1時間くらい前には受け付け周りや式場にいた方がいいと思います。
久しぶりに会う人や大切な人はついつい話し込みがちですが、参列の方が多い場合は、他の方をなおざりにしがちなので注意してください。
親戚の方は開式30分くらい前に、控室から式場に移動してください。
親族の席は関東圏なら祭壇に向かって右側のブロックの席のことが多いです。
喪主は最前列の祭壇寄り、つまり右ブロック最前列の左端に座ります。
そこから順番に血縁関係の近い人から座っていくわけです。
ただし故人の子供たちがそれぞれ家庭を持っている場合は、家族単位で座る場合もあります。その辺りは厳密なルールというものは存在しません。大体親族間で、納得できる席順で良いでしょう。
またこのとき、血縁の遠い親戚は自分がどの位置に座っていいか迷うことが多いようです。
親族に顔が利く人、もしくは一族の年長者の人にさりげなく誘導して仕切ってもらうようにしましょう。
参列者 式場入場
おそらく開式30分前から、参列の方が式場内にポツポツと現れるはずです。
参列者がほとんど身内の家族葬の場合は、こちらから参列者に対して話しかけてもいいでしょう。
ただ外部から100名以上の参列者が来そうな場合は、喪主は動き回らずに喪主の席に座っていた方がいいと思います。
参列者が喪主を認識しやすいからです。
中には久しぶりの対面で、喪主の顔を忘れてる人もいます。
そういう場合、前列の内側にという目立つ席に座っていれば、誰が喪主かを簡単に認識することができます。
また他の参列者も挨拶にそろそろ集まってくるので、先に話しかけた人が察してくれる人なら、適切なところで話を切り上げてくれるという効果もあります。
また喪主リボンと言って腰の辺りに「喪主」と書いた札をたらした造花を、腰のあたりにつけることもあります。
開式10分くらい前に標準以上のレベルの葬儀屋さんであれば、本日の通夜の流れを、焼香の作法を交えながら説明してくれるはずです。
僧侶 入場
開式時間になると僧侶が入場します。首都圏は18時開式のことが多いです。
司会の指示に従って、起立もしくは着座で迎えてください。
読経 開始
お経が始まります。
お経の意味はわからないかもしれませんが、故人の冥福を祈りましょう。
遺族焼香
☑焼香
関東圏の場合は開式して約10分ほどすると遺族の焼香です。
(参列者が多い場合は 開式してすぐの場合もあります)
司会者が、喪主の名前を読み上げたら、焼香に進みます。
基本的な焼香の流れです。
ざっくり
礼→抹香を灰にまぶす→手を合わせる
と覚えておいてください。
- 起立する。数珠を使用する場合は、左手で持つ。
- 一般参列者席に振り向き、一礼する(家族葬の場合は親族席を振り向いて一礼する)
- 香炉(焼香する道具)の前に進む。
- 遺影に向かって手を合わせ一礼する。
- 抹香を掴む。抹香を、香炉の中の火のついた灰の上にパラパラとまぶす。
- この動作を1回から3回繰り返す。
(焼香の回数について、焼香の回数が分かれなければ事前に葬儀屋さんに聞いておいてください。宗派にあった回数を教えてくれるはずです。ただしこの辺りは厳密ではないので1回から3回であれば特に気にしなくても構いません) - 祭壇に向かって手を合わせ一礼する。
- 一歩下がる参列者席に向かって一礼する。
- 自分の席に戻る。以上です。
これで喪主が通夜で行うべき山場は越えています。
この後順番に、近親者の方からご焼香に進みます。
参列者焼香
☑座礼もしくは立礼
親戚の焼香が終わると、次は一般の参列者の焼香です。
このとき喪主は「座礼」もしくは「立礼」を行います。
座礼とは、自分の席で座ったまま参列者に頭を下げる方法です。参列者はあなたが座っている横を通ってご焼香に向かうので、少し上体をねじりながら頭を下げることになるでしょう。
立礼は参列者がご焼香を終えて進むコース(動線といいます)の途中に立って、ひたすら頭を下げます。祭壇の両端のどちらかの位置に立つことが多いです。
立礼は、喪主だけではなく家族を含めて数名のケースが多いです。また30分以上立つ場合もあるので、高齢の方が混じっている場合は、後ろに椅子を用意していつでも座れるようにしておきます。
そこで大切な方が久しぶりに参列していたりすると、ついつい話し込んでしまいがちです。しかし立礼のまで話し込むと焼香の流れを止めてしまうので、好ましくありません。
☑首都圏の場合、参列者は食事の席に
首都圏の場合、一般の参列者はご焼香を終えた後、お返しの品物を受け取ってお料理の用意してある会席室へ向かいます。
どうしても話したい参列者がいたら、しばらく会席室で待っていてもらうようにして、僧侶退場後(通夜閉式後)に、話にいってください。
葬儀お手伝いの方焼香
一般の参列者のご焼香が終わると、葬儀のお手伝いの方のご焼香です。
立礼をしている場合、全ての方のご焼香が終わったら、葬儀スタッフの案内に従って自席に戻ってください。
僧侶 退場
首都圏の場合、お経の時間は30分から40分ほどです。参列者が多い場合は、お経の時間を伸ばす場合があります。またお経を終えた後、法話といって仏教にまつわる話を10分ほどされる場合もあります。
僧侶が退席された後、家族葬の場合はすぐ会席室に移動して、お通夜の料理を召し上がっていただきます。
参列者の多いお葬式の場合は遅れて到着する方もいらっしゃるので、親族はしばらく式場で待っていることもあります。
また会席室が一般の参列者でいっぱいで親族が食事できないという場合も、しばらく式場で待ってもらう場合があります。
この場合お手洗いに行きたい親族は、席を立ってもらって構いません。
また先ほど申し上げた通り、会席室で話をしたい参列者を待たせている場合も、先に挨拶に向かっても構いません。
☑遺族も会席室へ 参列者に挨拶
会席室に移動したら、故人を偲びつつ話をしましょう。
(参考記事:通夜の時間)
☑会計係から香典を受け取る
通夜が終わってしばらくすると、会計係の人が頂いたお香典をまとめて持参するはずです。
お礼を申し上げて、受け取ってください。
ただお香典をずっと持ち歩くのは不安でしょう。
身内の信頼できる人を事前に選んでおいて、預けることをお勧めします。
できれば全くお酒が飲めない人がベストです。
式場の控え室に、金庫をおいているところもあるようですが、葬儀式場は不特定多数の人が出入りします。
ずっと控え室に誰かいるなら別ですが、金庫を利用するのはお勧めしません。
僧侶接待
お経を終えられたお坊さんが食事の席に同席するのであれば、その相手を喪主もしくは近親者が相手をすべきです。
もしその僧侶が葬儀社の紹介されたそれまで付き合いのない寺であったり、菩提寺ではあるが日頃の付き合いがない場合、話す話題に困ることもあるかもしれません。
僧侶もそういう状況に慣れているので、おそらく向こうがリードしてくれるはずです。
もし話題に困ったら
・故人の思い出
・その宗派の特徴
・明日のお葬式の流れ
・お葬式後の法事の流れ
などについて話せば良いでしょう。
明日のお葬式の打合せ
ちゃんとしたレベルの葬儀屋さんなら、明日の葬儀告別式の打ち合わせを行うはずです。
打ち合わせる内容は、大体下記の通りです。
- 明日の来場時間
- 写真など預けたものは、返してもらったか
- 予定よりたくさんの参列者が来た場合、お返しものを追加する必要はないか
- 弔電を代読する場合
どれを読むか
順番はどうするか
名前の読み方のわからない人はいないか
また、明日の葬儀当日の朝、追加の弔電が届く可能性があります。 - 明日お手伝いの方がくる場合は、出棺後持ち帰り用の折り詰めの食事を用意するべきか。
お手伝いの方は、基本的に出棺後はお帰りになります。 - 明日の出棺車両は変更がないか。
火葬場に行く人が増えそうなら、マイクロバスを追加する場合もあります。 - 火葬場での支払い料金の確認
- 明日の火葬後の、お料理の数の確認
状況にもよりますが、明日追加ができる場合もあります。 - お供え物の処理方法について。
地方によっては缶詰や果物を飾る習慣があります。これを自宅に持って帰るか親戚に配るかの判断。
また祭壇のお花が大量に余りそうであれば、花束にして持って帰る親族もいます。 お葬式のお花を、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが最近は綺麗な洋風のお花を飾ることもあり、また穢(けが)れに対する意識もかつてほどではなくなってきているのであまり抵抗がないようです。 - 明日の一通りの流れ
特に収骨をした後の、お食事の際の挨拶を誰にするか。
遺骨はどこに持って帰るのか。
安置するスペースは確保できているか。
以上を確認しておきましょう。
解散
厳密に言うと通夜には閉式がありません。
もともとお通夜は一晩中故人につきっきりで過ごすという習慣でしたから、この時間をもって終わりということがありません。
実際には遠方の方から帰り出して、自然解散というケースが多いです。泊まる人がいれば式場の宿泊施設を使います。
近所の式場を借りている場合は、自宅で眠った方が疲れが取れるという場合もあるでしょう。
絶対泊まらなければいけないというルールではありませんので(まれに地方の公営式場では誰か泊まらなければいけないというルールがあります)夜間は式場に誰もいないというケースもあります。
体調や、故人への思い入れで決めてください。
帰る際は、御霊前にお線香をあげてから帰るようにしましょう。
式場に宿泊する人はそのまま残ります。
以上で通夜の日の流れは終了です。
この後はお葬式の流れを解説します。
こんにちは。
割と重要なところに脱字があったのでお知らせします。
「葬儀のお手伝いの方集合業務」
開式時間前くらいからお手伝いの方が到着して←1時間の1が抜けておるようです。ご確認をば。
齋藤 様
ご指摘ありがとうございました!