大西氏は1947年生まれ、葬儀歴40年。葬儀社の役員。ベテラン。
木塚氏は1967年生まれ、葬儀歴10年。葬儀屋歴はおそらく私より短いが年齢は上。
この2冊を読んだ印象としては
大西氏も木塚氏も葬儀屋として良心的な部類に入ると思う。
でも、2人とも何か、引っかかる。
その原因を考えてみた。
大西 秀昌 氏
まず大西氏。
この著書の内容を、成功した葬儀屋役員の自慢話と取る人もいるかもしれない。
確かにそういう面はあるが、私はこういう熱い人は嫌いじゃない。
では土地柄や時代のせいもあるものの泥臭い感じが、ダメなのか
それとも、失敗のエピソードのレベルがちょっと低いからか?
んー、そのどちらでもない。
おそらく、「今の葬儀屋はもっと勉強して葬儀文化を継承しろ」という発言に代表される
現役の葬儀屋に対するメッセージが
自分には受けいれられないのだと思う。
「葬儀と落語2」という記事で書いたように、
たしかに葬儀の伝統を勉強することは大切だ。
でもそれは原点回帰するためじゃない。
そもそも原点など存在しない。
その時代時代の正しさがあるだけ。
ではなぜ伝統を勉強することが大切なのかというと
葬儀の伝統と言われるものが
時代時代でいつもその姿を変えていることを知るためだ。
我々次世代の葬儀屋が求める最適解は大西氏のキャリアの中にはない。
木塚 たかし 氏
次に木塚氏。
だめな病院や警察や寺を強く批判する。
気持ちは分かる。
でも犬に吠えられたからと言って四つん這いになって吠え返す必要は無いと思う。
コンプレックスの裏返しなのかもしれない。
うーん、でも引っかかるのはそれだけじゃないな。
多分、同じレベルでケンカするだけ、自分を卑下するだけで
そんな現状を改革しようという意志が感じられないところが、
自分には受けいれられないのだと思う。
次世代の葬儀屋
大西氏は次の時代を拒絶している。
木塚氏は今の時代に流されている。
だから我々次世代の葬儀屋は
時代を作り出すべき。
どなったり、うつむいたりしない。
自分を卑しくしない。マイナスの感情で汚れない。
我々の戦いはそうありたい。
世間の認識はともかく、
自分が葬儀屋という崇高な職業に就いていると信じているならば。
葬儀文化の継承や情報開示など近年の葬祭業の考え方は、この5年以内でものすごいスピードで進化をしていったと思います。私の会社でもこのスピード感についていけない、ついていきたくないと考える人間もいます。葬祭業を通じ生きてきた時代背景やこれから変化していく流れは、柔軟に対応していかなければなりませんが、我々の根本的な考えとしては「人との繋がりを大切にする場」として葬儀というあり方を見つめていかないと世間のごく一部の批判や言動に惑わされてしまい方向性を見失ってしまうのではないでしょうか。家族葬には家族葬という故人との関係を見つめ直す場として、一般葬なら一般葬という故人との関係を見つめ直す場として、一つ一つのニーズを読み解き、満足頂けるサービスの提供をしていかなければなりません。
かなり抽象的な言葉でしか言い表せれないですが、「お葬式をやって良かった」と思えるような話がネットや雑誌に掲載されるようになると葬祭業という職種が本当の意味で注目されるようになるのではないかと思っております。
野々村様、丁重なコメントありがとうございます。
>我々の根本的な考えとしては「人との繋がりを大切にする場」として葬儀というあり方を見つめていかないと世間のごく一部の批判や言動に惑わされてしまい方向性を見失ってしまうのではないでしょうか。
おっしゃるとおりだと思います。
お手軽や低価格という言葉に軽々しく迎合するのではなく
お葬式の価値を伝えていくべきだと思います。
私の考える「価値」とは例えばこんな感じです。
http://kangaerusougiyasan.com/archives/907208.html
http://kangaerusougiyasan.com/archives/1172195.html
http://kangaerusougiyasan.com/archives/1447467.html
大西氏のように棺の向きはこっちが正しい、ってことを勉強しろっていうのは
自分にとってはあまり意味がないと思うのです。
「我々次世代の葬儀屋は時代を作り出すべき。
どなったり、うつむいたりしない。
自分を卑しくしない。マイナスの感情で汚れない。
我々の戦いはそうありたい。
世間の認識はともかく、自分が葬儀屋という崇高な職業に就いていると信じているならば。」
この言葉は、葬儀屋さんだけのものではないと思います。どの職業でも同じです。
批判ばかりしている自分が恥ずかしくなりました。
Narcissussさん、
コメントありがとうございます。
> 批判ばかりしている自分が恥ずかしくなりました。
すいません、現在
結構批判系のブログ記事のストックが結構たまっていまして・・・(^^;)
あくまで追い求めている理想ってことで、ここはひとつ。