以前
大前研一氏の葬儀業界の分析が非常にいい加減な件
という記事を書きました。
今回も、相変わらず大前研一氏の葬儀業界と葬儀屋に対する評価が間違っているという話です。
まずはこの本。
超訳・速習・図解 企業参謀ノート[入門編] 大前研一 プレジデント社 2012-07-28
|
ベストセラーになった
を初心者向けに書き直したものです。以前この2冊は読んでいたので、
この「超訳・速習・図解 企業参謀ノート[入門編] 」はスルーしていたのですが
最近手に取ってみるとこんな記述が・・・
私は日本国内で唯一の成長産業は葬式産業ぐらいだと常々言っているが(P25)
いや、ほめて頂いて恐縮なんですが、間違ってます。
葬儀業界って衰退産業なんですって。
(参考記事: 佐々木俊尚氏ですら間違う、インターネットの葬儀情報)
成長している国に行ったっていい。葬式産業が国内でも伸びると思ったら、身を投じてもいい。
(中略)
そんなときこそ、「人と違ってもかまわない」という自由な心から生み出される発想が大切なのだ。
(P185あとがき)
なんか葬儀屋のこと評価しているようで
葬儀屋になるには海外で就職したり普通の人がやらないことをするほどの覚悟が必要
と言っているわけで、ある意味失礼ではないかと(^^;)
いやそれって、考えすぎとか被害妄想とかおっしゃる方には
この本をどうぞ。
「好き嫌い」と経営 楠木 建 東洋経済新報社 2014-06-27
|
この楠木教授との対談で、大前氏が
結婚式には出ないが葬式には出る、と言っているところまではいいのですが
わけのわからない坊さんがグジュグジュグジュグジュ言って、葬儀社の人が立てだの座れだの、横から命令するでしょう。「なんてイヤな野郎だ」と思いますよ。みんなが同じように一礼して、香をつまんで手を合わせるとか、しょうがないから言われたとおりにやるけど(笑)、ああいうことは全部イヤですね。
冗談交じりに言っているとはいえ
大前氏は葬祭業に対する敬意はお持ちでないようです。
大前氏自身はこの対談で述べているように
実質重視で、形式はどうでもいい。
という主義だから葬儀という「形式」に我慢がならないのでしょう。
しかし多くの人は最愛の人を亡くしたとき
その悲しみや弔いたいという気持ちを癒(いや)すために
どうすべきなのかがわからないのです。
だから人類は宗教や葬式という「形式」を作ったのです。
人類は葬式という形式によってみんなが弔意を表せるようにした、
つまり大切な人を失ったときに何をしたらよいか?
に対する答えを用意したのです。
大前氏は数々の著書を世に送り出していますが
戦略を考えるときに個々が勝手に思いつきで考えろとは言っていないですよね。
ちゃんとフレームワークという「形式」を推奨しているじゃないですか?
それと同じ。
葬式に対する大前氏の意見は少数派。
御本人にもその自覚がおありだと思います。
パーソナルな意見を表明するのは別に構わないのですが
多数派の内面が読めていない状態でその産業を語るのは危険です。
ましてや葬祭業なんて人の内面に大きく関わっている産業なんですし。
下戸がアルコール業界語っている状態だと思います。
分かっていないから
サイバー墓参り(-_-)
なんてことを提案してしまうわけです。
複数筋の情報によると大前氏に葬儀のことをレクチャーしているのは
お仏壇のH社のトップらしいです。
(もしかすると大前氏が葬儀より墓参りが好きって言うのはこのラインでのプロモーションなのか?)
これが大前氏の判断を歪ませている原因ではないでしょうか。
申し訳ないですがH社は本業の仏壇墓地関係は優秀だと思いますが
H社からみて周辺業務に当たる葬祭業そのものへのかかわり方は
センスがいいとは言い難いです。
過去に立ち上げた葬儀紹介業のマーケティングやオペレーションは?という感じでした。
そんなわけで大前氏は今の状態で葬儀業界に言及しない方が良いと思います。
とはいえ大前氏はコンサルタントとしては非常に優秀なので
(基本的に濃くて頭が良くておかしな人が私は好きなので
大前氏に対しても実は好意的なのです。)
企業参謀ノートに書かれた手順で葬儀業界の今後の戦略を
さわりだけ考えてみたいと思います。
この「超訳・速習・図解 企業参謀ノート[入門編]」ではその産業のKFSは何かを考えろとおっしゃっています(P139)
(KFSとは、キー・ファクター・フォー・サクセスの略で、最も重要視すべき成功要因のこと)
15年くらい前までは葬祭業のKFSって缶コーヒーのKFSと一緒だったと思うのです。
缶コーヒーの売上げってイコール自販機の設置台数だったわけですね。
同じく葬祭業の場合も会館設立であったわけです。
ホテル産業の創始者であるスタットラー氏が、
ホテル経営で重要なのは
「ロケーション、ロケーション、ロケーションである」と唱えたのとも同じと言えるでしょう。
しかしいま葬儀式場は飽和状態。
詳しい説明は過去の他の記事に譲りますが
お葬式の施行業って完全に衰退期のサイクルに入っています。
総論で言えばお葬式の施行業を主戦場にするのは危険です。
さてここで登場するのはドラッカー。
彼は
「企業とは何かを決めるのは顧客である。」
と言いいました。
我々葬祭業の仕事を再定義してみましょう。
葬祭業とは
「人が亡くなることで生じる問題を解決する仕事」
だと私は定義しています。
葬儀を起点に時間軸を前後に伸ばすことで
エンディング産業(介護、不動産、士業、保険など)全般をフォローできるのが
葬祭業の強みだと思います。
他業種に比べ顧客からの信頼関係も作りやすいと思います。
(もちろんちゃんとした葬儀屋であることが前提)
要は多角化経営ですね。
ただこれを実行する際は一部外注化するとしても社員のケーパビリティと頭数は不可欠で
ある程度の企業規模が必要になります。
(ここなんかは好例)
さて
ここから先の話は・・・
読者の方にお任せします。
えーと、最後どうまとめようかな?
来たれ若人(わこうど)、大前研一氏もイチオシの葬儀業界へ
こんな感じで(^^;)
3/21、東京新聞に「薄葬を考える」という記事が掲載されました。
すでにご覧になっているかも知れませんが、ご参考まで。
未読の場合、記事をそのまま貼り付けているHPもありましたので、
検索すれば見つかるかと思います。
個人的には、”この気持ち、よく分かります””こっそりお教えしますね””理解を深めておきましょうね”という文体が、何やら上から目線な感じがして、ちょっと苛つきます。
内容も微妙かも。
はっちゃん様、
情報ありがとうございます。
あー、これはかなり適当な文章ですね。
そうでしたか、違和感のある内容でしたが、そもそも適当な文章なんですね。
まだ後編があるようなので、突っ込みどころでも探してみます。
はっちゃん 様
東京新聞はとっていないので(コンビニで売ってる?)
よろしくお願いします。
通りすがりに拝見させて頂きました。よく分からない点が2点出てきましたので記載してみます。
1.大前氏が成長産業と言ってるのは、まさに主様が定義している「葬祭業」全体での事ではないですか(定量的に単純に死亡者が大幅に増えることからの安直なコメントでしょうが)?葬祭”施工”業の事だとどの記載から認識されているのでしょう?
2.衰退産業なんですか(無知&log調べもせずですいませんが)?”施工”業者個々の経営の激化はわかるのですが、死亡者数は40年程で倍ほどになってるし、通年通りの料金・形態で葬儀を行わない人が増えていても全体としては所謂成長産業と表現できる推移を見せているように思いますが。
あらゆる儀式は社会性で相対的なものです。大前氏の葬儀へのコメントが主様には不快な考えであったからといって、氏への中傷とも言える”怪しい人物と同レベル”的な記載(おまけ、のタイトル記事参照)は、主様の品位を損ねるものだと思います。
通りすがり 様
コメントありがとうございます。
1の
>葬祭”施工”業の事だと
に関しては
施行業に限定して申し上げたわけではありませんが
(そもそも”施工”業の定義が業界内にないので、どこまでを指すか私には分かりませんが)
いわゆる葬儀屋さんの業務以外の部分という意味で申し上げると
参列者の減少や寺院崩壊で
施行業以外の分野はさらに衰退が加速しています。
2ですが
葬儀産業全体のパイは単価×件数で表されますが
件数の増加を単価の減少が上回っており
マーケット自体が縮小傾向です。
労働人口の減少や医療費の増加、信仰心の衰退等
右肩上がりに転ずる兆しは見えません。
以前マッキンゼー出身の喪主さんと話したときも
意見が一致しました。
>大前氏の葬儀へのコメントが主様には不快な考え
いや別に不快ではないです。葬儀業界分析は間違っていると思っていますが本文に書いている通り
「大前氏はコンサルタントとしては非常に優秀なので
(基本的に濃くて頭が良くておかしな人が私は好きなので
大前氏に対しても実は好意的なのです。)」
というのが私の気持ちです。
>怪しい人物と同レベル”的な記載
これはどの部分を指しておっしゃっているのかが
分からなかったのですが・・・
https://diamond.jp/articles/-/150552 大前さん適当です。強気を助け弱きをくじくのはコンサルタントとの本文ですから仕方ありませんね。
atsushi sakahara 様
コメントありがとうございます。