45年前の葬儀屋さんの映画が教えてくれるもの




今日ご紹介するのはこの映画です。
「とむらい師たち」

by カエレバ

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公開されたのは大阪万国博覧会が行われた1970年。
この映画が作られた時代背景としては、戦争を経験した人が老いてきて自分の人生の終わりを考え始めた時期だからではないでしょうか。
ちなみに1970年の男性の平均寿命は69歳でした。

お葬式映画といえば伊丹十三の「お葬式」が有名ですが、実はそのずっと前にあったんですね。
主人公は勝新太郎が演じる葬儀屋です。
勝新太郎はやってることがめちゃくちゃなのに言っているセリフが非常にまっとう。
ちなみに原作は野坂昭如、脚本は藤本義一です。

ジャンルは何と言えばいいんでしょうか、ブラックコメディとでも言うんでしょうか。
ただ全然笑えないのは私が葬儀屋さんだからという理由だけではない気がします。

とむらい師たち
(↑映画のワンシーンより)

葬儀屋さんの突拍子もない発想のビジネスモデルの不謹慎さを笑うというのがそもそもこの映画の演出意図だったのでしょう。
しかし2016年の今、その当時映画の中で不謹慎で突拍子もないこととして描かれているビジネスモデルの数々が、今は普通におこなわれています。

例えば
・亡くなった人に対する美容整形(エンバーミング?)
・その人らしいお葬式の事前相談
・葬儀の企画演出
・葬儀会館の建設
・葬儀屋と宗教者の癒着
・フューネラルディレクターという呼称もすでに登場しています。
(映画の中で当時から普通に存在したように描かれているデスマスクの製作は現在でも行われていないのが皮肉ですね。)

つまりこの映画を見ると、この程度のことを昔の人はタブーだと思っていたんだなということがわかるのです。
半世紀経てば葬儀に対する感覚はいともたやすく変化するということなのでしょう。

当時の葬儀に対する一般人の意識を記録した映画として非常に貴重だと思います。











8 件のコメント

  • 医学や医療は日進月歩の進化で、5年前の考えや方法は「時代遅れ」です。
    しかし、医学の中でも「基礎系はほとんど変化がない」(100年前と骨の数は変わらない)
    のと同じで、葬儀自体が大きく変化する物ではありません。
    エンバーミングの落差(重力)で点滴方式で薬剤を入れたのが、電動ポンプ等の
    方法の変化はありますが基本は同じであり、葬儀ではサービス方法の変化しか
    見当たりません。(商品の変化であり、葬儀自体は変わらない、変われない)
    その意味では「45年前と同じ」なのは、頷けます。

    台湾では法律によりエンバーミングは医療従事者の仕事で、10年ほど前からは
    葬儀場解剖室で法医学の医師が行っており、ベトナムでは形成外科の元軍医が
    担当をしています。(映画の永久に美しくでも、整形外科医だった)
    デスマスクも私は「シリコン」を使いますので、より「肌感が出ます」が基本は同じ。
    数年前からは、「3Dプリンター」(中国では主流)が利用されたいます。

    その中でも、法令や通知・通達により変化した物はあります。(葬儀は法令がないが)
    例えば、宮型霊柩車は「平成29年3月31日以降は走行禁止」でしたが、特別措置が。
    また、搬送車(病院等へ迎えに行くクラウンやエステマ)にも大きな変化があります。
    葬儀担当者なら当然知っていましたよね?、(改)物理教師さん。

  • prof様
    >葬儀担当者なら当然知っていましたよね?
    え・・・ええ。と、当然じゃないですか。

  • では、質問です。
    この程度の事は、学部新卒者であれば常識ですので分かりますよね?

    下記の問題に対して、論理的かつ整合性を持った答えを示しなさい。
    これは、関係法規の授業で教わる2回生クラスのテストです。

    「宮型霊柩車の使用禁止」の主たる理由と、平成29年4月1日以降の走行を
    特例的に認めた、2条件に付いて延べよ。
    (赤い霊柩車は理論的には問題であり、宮型が無くなった原因の一端も分かる)

    搬送車(出棺に使用する車両ではなく、病院等へ迎えに行く車両等)における法令上の
    規制に付いて、絶対的理由と相対的理由を述べよ。
    また、「既存不適格搬送車両」について説明せよ。

    さて、葬儀専門家の皆さん、実力発揮のチャンスです。

  • ご無沙汰しております。

    ワシも先日、この映画のDVDを視て、さすがに故野坂御大の原作らしく、
    例によって、最後は破綻する話で、それなりに娯しめました。

    確かに当時はタブーとされていたモノに、果敢に挑戦する姿を笑いのネタに
    しとったのですが、それらが半世紀を経て、笑えん現実となってることには、
    正直、驚かされます。

    ただ、代々、葬儀にかかわってきた勝新演じるデスマスク屋のガンメンが
    拡大路線に立ち止まるのに対し、ドンガバチョ氏演じる元戸籍係役人の
    ジャッカンが「葬儀はレジャーだ!」とぶちあげ、拡大路線に邁進してゆく姿こそ、
    現在の行政主導の状況を予言しとった気がしています。

  • prof様
    >さて、葬儀専門家の皆さん、実力発揮のチャンスです。
    どうも挑戦者はいなかったようですね。
    も、もちろん私には分かりますよ。Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)

  • uhodoji 様
    お久しぶりです。
    あ、そういえば「葬儀博覧会」ってフューネラルビジネスフェアですよね。

  • わたしは映画は観てないのですが、原作読んであまりにも面白いので卒倒したのを昨日ことのように覚えています。私が葬儀屋に入る前年、23歳の時のことです。

    たしか、ジャッカンとガンメンの話でしたよね。勝新はガンメン?

    葬儀屋としてではなく、文学ファンとして、野坂昭如という才能にほれ込んでいますので、今日はそっち方面からのコメントになってしまいます。

    野坂は終生常に「戦争が生んだ死と弔い」を背負っていますから、『とむらい師たち』はその真骨頂だと思います。
    もしも葬儀屋さんが原作読んでないのなら、ぜひともお勧めします。野坂節で語られると、とむらい師たちの、笑いと悲哀の陰影はより色濃く描かれて、きっと映画では味わえない面白さがあるでしょう。あの語り口は誰もまねできず、言葉で説明できない。

    また、このブログを読んで改めて、野坂昭如の先見性のすさまじさに気づかせていただいたのですが、原発問題を死とエロスとギャグで描いたという点で『乱離骨灰鬼胎草(らんりこつはいおにばらみ)』をお勧めします。葬儀と関係ありませんが・・・。

    私も映画観てみます。ありがとうございます。

  • 十村井満 様
    >勝新はガンメン?
    はい、そうです。
    >私も映画観てみます。
    私も今度小説読んでみます。情報ありがとうございます!

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