葬儀漫画「おわるうございます」の書評

葬儀漫画「おわるうございます」の書評です。

「おわるうございます」第1巻の書評

最近出版された葬儀をテーマにした漫画の書評です。
「おわるうございます」

おわるうございます~葬儀社人情物語~(1)(A.L.C.DX)

小塚敦子 秋田書店 2015-11-16
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掲載誌から判断するとレディースコミックの部類になるのかな。
ちなみにタイトルの「お悪うございます」は
静岡地方で「ご愁傷様でございます」を意味するらしいです。
私は全然知らなくて、裏は取っていないのですが、
いくらなんでもウソは書かないだろう、ということで。

定期的に職業ものの一ジャンルとして葬儀屋ネタって出てきますよね。
レディースコミックのジャンルでも
かつては
「モーニン!」

モーニン! (クイーンズコミックス―ユー)

川富士 立夏,黒沢 明世 集英社 2004-12
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というのがありましたし
最近では
Kissで六多いくみが描く葬儀屋ストーリー開幕
という連載がはじまったみたいです。

物語のフォーマットは大体いつもと同じ。
新米の女の子が、不本意ながら就職した葬儀屋で
いろんな人に出会って成長していくという話。
同僚が厳しい年上の女先輩と2枚目男性っていうのも
「モーニン」 といっしょ。

職業ものとしては良く書けていると思います。
もし仮に私が編集者だったとしても、 一般読者向けを前提としたら
こんな話にすると思いますし。

一般論として葬儀ものって、
小説よりも漫画の方がちゃんと調べられていて、あくまで相対的な話ですが、
リアリティがあると感じます。
一般的なリアリティラインを考えると本当は逆のはずなんですが・・・
そうなる理由としてはおそらくヴィジュアル化せねばならず、
小説のように読者イメージに逃げることができないため取材が丹念になるからかもしれません。

ただ私が葬儀屋さんであることを断った上での感想としては、
やっぱりノれない。

これはこの漫画に限らず、葬儀を扱ったあらゆる 創作媒体がそうなんですけど。

理由は
この記事に書いたとおり。
(参考記事:全葬蓮よ、覚悟はあるのか?
葬儀屋さんの現実 )

要約すると
・人が死ぬシチュエーションは表現を安易にしてしまう
・創作された物語よりも葬儀屋さんの日常の方が劇的
だから、ということになります。

さらに漫画の場合は(仕方ないんだけど)
分かりやすく単純化した構成のためどうしても上っ面感
が出てきてしまうというのも、ノれない理由かも。

とはいえ、もちろんこれは特殊な立場の私の意見。

葬儀漫画のなかでは上質な部類に入ると思いますので
葬儀業界の外の方はお読みになってはいかがでしょうか。
おわるうございます

「おわるうございます」第2巻の書評

「おわるうございます」
第二巻がでました。

 

おわるうございます~葬儀社人情物語~ 2 (A.L.C. DX)[Kindle版]

小塚敦子 秋田書店 2016-06-16
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ちなみにこのあと

 

おとむらいさん(2) (BE・LOVEコミックス)[Kindle版]

大谷紀子 講談社 2016-06-24
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はじめまして さようなら(1) (KC KISS)

六多 いくみ 講談社 2016-07-13
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の出版が控えておりまして先日の「モズ葬儀屋探偵」の流れから
どういうわけか葬儀屋さん漫画ラッシュです。

さてこの「おわるうございます」
の読後感がなんだか不愉快なのですね。

しかしなんで不愉快なのか自分でもハッキリ分からないという不思議な気分なのです。

葬儀と葬儀業界に対する敬意はちゃんとあって、前作よりストーリーもよく練られています。

にもかかわらず・・・

漫画としての品質は高いのに
評価できないのはなぜなのだろう?
カタルシスを得るために泣かせようとしているのが作為的だとか
葬儀のスタイルが田舎っぽくて仰々しいだとかそれらしい理由はあるのですが、本質的ではないような気がします。
おわるうございます2
2,3日寝かして深く自分の気持ちを探ってみたのですが
この漫画を読んだのがきっかけで採用面接来た人がいたら、おそらく落とすな
と思ったところにヒントがありそう。

多分自分は葬儀をネタにした「創作」自体をあまり快く思っていないのに加えて
2作目が1作目よりさらに一般的な漫画としての意味において
品質を上げてきたのがむしろ不愉快の原因ではないのかと。

作品世界が荒唐無稽であればむしろ作り物として大目に見ます。
葬式探偵モズに対して温かい目で見てるのはおそらくそのせい)

しかしある一定以上のクオリティ、つまりリアリティラインを現実に近づけてくると
現実の葬儀の都合のいいところだけをすくい取らないでくれ、という気持ちが強くなってしまうのでは?

多少なりともハッピーエンドにもっていくのは売り物の漫画としての宿命なのですが
実際の現場では、よっぽど感受性の鈍い葬儀屋さんではない限り、ハッピーエンドだなんて思えないため
拒否反応が自分の中で起こるのでは?

だから作者が漫画家としてがんばればがんばるほど私が不愉快になってしまっているのでは・・・
というのが現段階での仮説です。

3巻目読んだときにもう少しハッキリ分かるかもしれません。
なんか作品の方向性とは全く関係無く、自分にとって
内面の読み解きをする漫画になってしまいました。