日経新聞のおかしなお葬式の記事をまとめてみました

私がいつも読んでいる新聞は日経新聞です。経済記事は為になるのですが、なぜかお葬式がテーマになると、「やらかして」いることが多いです。
その都度このブログで指摘してきたのですが、そんな記事をまとめてみました。

日経新聞の特集「亡くなるといくらかかる」へのツッコミ

昨日(2013年6月12日)の日経新聞の特集
「亡くなるといくらかかる」へのツッコミをつらつらと。

冒頭は某葬儀相談員の葬儀費用の話。
島田裕巳のお葬式の話と同じくらい、
個人的にはもうどうでもいい話なのですが(^^;)

その後日本消費者協会の葬儀費用のアンケート数値の話が続きます。
(統計とは言えないような、いい加減なアンケートです。
わざわざ地方別の最高価格最低価格まで載せてしまって・・・ ご苦労様です)

それにしてもこの記事で採り上げている某葬儀相談員が、かつて自分のサイトに、
日本消費者協会のアンケート数値をねつ造してアップしてたことを
日経新聞の記者は恐らく知るまい。

次はある消費者の体験記です。

夫の容体が悪化し、葬儀会社に見積りを頼むと総額は310万円。
「祭壇150万円、棺30万円など豪華すぎるものばかりりだった」という。
写真を見せてもらい、各項目をチェックして180万円まで下げた。

「写真を見せてもらい」って、その前の見積もりは写真も見ないで作ったってことでしょうか。
その時点でその葬儀社に頼んではいけないのでは・・・

「180万円まで下げた」っていってもそんなに安くないですよ・・・

最後の方で少額短期保険を紹介していますが
保険に詳しい人ならあまり良くない商品だと気付くはず。

本当に保険が必要なのは、
生活が続けられないくらい「多額」のお金が必要なときなのだから。
(参考ページ:少額短期保険は「買い」か?

日経新聞の記事がポジショントークな件

先日(2014年2月21日)の日経新聞デジタル版の葬儀に関する記事が
かなり業界寄りのポジショントークだったという話です。

葬儀、簡素化でも重い負担 保険や信託で備え その1

相変わらず日本消費者協会の間違った「葬儀費用の平均値」を取り上げてますね。
しかし

そのため、個々の金額のばらつきが大きく、関係者の間では平均額は「やや高い」との見方がある。

という記載があるのは、日頃私が指摘している内容が
世間にも認識されてきたのかな、という気がします。

ただ「個々の金額のばらつきが大きく」と書いてますけど、
別に給与の中央値に関する話のレベルではなく、
日本消費者協会の調査が単に統計の体をなしていない、
っていうそれだけの話なんですが・・・
(参考記事:日本消費者協会の「第10回葬儀のアンケート調査」が相変わらずいい加減な件
新聞
今回の記事で一番ひどいのはここ。

葬儀費用の原資としては、預貯金を想定する人が多いようだ。
だが、銀行口座は名義人が死亡すると
一時的に凍結されて現金が引き出せなくなる。
そこで最近注目を集めているのは、万が一の時に迅速に資金を確保できる保険商品だ。

でここから保険商品の紹介が続きます。

この記述は間違っています。
基本的に葬儀費用に限り、故人の口座から引き出せるケースが多いのです。
(参考記事:プレジデント「介護・葬式・墓 賢い選択50」の問題記事

そのあと勧めている少額短期保険は、
「ちゃんとした」ファイナンシャルプランナーなら勧めないたぐいの商品です。
(参考記事:FPが葬儀のために少額短期保険を勧めるのはいかがなものか(日経新聞から)

ちょっと今回の記事は業界べったりの内容だと思います。

日経新聞の記事は間違っている

先日、日経新聞に葬儀に関する記事が掲載されましたが、間違っているところがあるので指摘します。

それにしても「間違ってるから指摘する」系の記事が近頃たまたま集中してしまいました。
そのため最近このブログに来られた方は私のことを
何にでも噛みついている狂犬みたいな人だとお思いかもしれませんが
誤解です(^^;)

(余談ですが3大紙と比較して日経は、
葬儀関係に関する記述に間違いもしくは偏りが多いです。
企業のヨイショ的なポジションを取るためでしょうか。
ちなみに一番調べてる感があるのは朝日かな。)

さて日経の記事はこちら

葬儀の負担軽く 低価格競争やカード払い広がる

まず冒頭の部分ですが
日本消費者協会のデータを持ち出すのは
経済紙としては恥ずかしいことです。
統計というものをどうお考えなのでしょうか。
(参考記事: 日本消費者協会の「第10回葬儀のアンケート調査」が相変わらずいい加減な件

次にここ。

葬儀業は許認可制ではなく、新規参入は自由だ。

異業種からの参入が増えた

競争原理が働いた

費用の低下が進んでいる。

因果関係を読み違えていると思います。
結論の「費用の低下」が進んだのは以下の要因によるものです。

・長期の経済不況による所得の低下
・高齢化社会による終末医療費の増大
・葬儀件数増加による単価の下落
・施主の老後不安による親の葬儀費用の抑制
・地縁、社縁の希薄化による葬儀規模の縮小
・信仰心の希薄化による葬儀の簡素化
・情報の非対称性の解消

つまり異業種からの参入が増えたせいではありません。
あったとしてもかなり限定的です。

そもそも異業種からの参入は最近の話ではなく、数十年前からありました。
JAや電鉄系がそうです。
しかし参入した当時からしばらくは
費用の低下は起こっていません。

一方最近になってイオンが参入する以前から
既に上記の要因により葬儀の低価格化は起こっていました。

そもそもイオンが始めたのは葬祭業ではなく「葬祭業の紹介業」です。

最近の異業種参入の多くは葬祭業ではなく「葬祭業の紹介業」です。
集客力が無い一部の葬儀業者の代わりに
集客を請負うビジネスモデルです。
この場合葬祭業の集客コストが、紹介業社の紹介手数料収入に代わるだけなので
理論上葬儀費用の低下にはつながりません。

一見、低価格の葬儀を紹介しているため葬儀の「費用の低下」を
起こしているように見えますが、
「集客力がない葬儀社≒そもそも葬祭業としての魅力が無い」
という相関関係が考えられます。

低いレベルの葬儀社を低価格で紹介するというのは
費用の低下を起こしたことにはなりません。
自動車業界に例えるなら、プリウスを値下げしたのではなく軽自動車を売り始めただけ、ということです。
新聞
そもそもこういう日経新聞の間違った論調がまかり通るのは
葬儀業界は歪んだ産業構造という偏見があるせいだと思うのです。

しかし実は葬儀業界ほど自由競争な業界も珍しいのです。
なぜなら規制が全く存在しないからです。
(記事中に書かれている「葬儀業は許認可制ではなく、新規参入は自由だ。」というのもその一例です)

これまで自由競争がうまく働かなかったのは
情報の非対称性(≒消費者側の知識不足)が一番の原因です。
それがインターネットの台頭などで解消されはじめた、ということです。
異業種が参入したから競争原理が働いたわけではありません。
(参考記事:葬儀業界と葬式仏教界の競争原理の違い

低下が進んでいるとはいえ葬儀費用はまだ高額だ。

ところで、何をもって高額だとおっしゃっているのでしょうか?
配達コストのかからない日経新聞の電子版は紙媒体とほとんど変らない値段だなんて、まだ高額だ」と
私は思っていますが・・・

それからローンを組まなければいけない予算でお葬式を行なうのはどうかなと思います。
未回収債権発生のリスク考えると、金利も高めだと思いますし。
最後は個人の価値観の問題ですが・・・

日経新聞が違法行為を見逃している件

また日経新聞がやっちゃいました。

今日(2016年4月30日)の日経新聞土曜版の近藤正臣氏のインタビュー記事から。

川の土手 に 念願の別荘を建てた。 晩年、母がこんなことを 口にする。 「私 は本家の墓 には入れないから、墓はい らないよ。焼いたお骨を比 叡山から琵琶湖に向けてま き、残りは山桜の見えると ころに埋めておくれ」 その夢をかなえようと思 った。遺言通り、比叡山の 中腹で散骨し、残りのかけ らを郡上八幡の別荘の土手に山桜を植えて埋葬した 。(中略)
母が亡くなって早十年。 大きく枝を広げた土手の 山 桜は、今年も薄紅色の見事 な花を咲かせたという。

これ、違法行為です。

どこが違法行為かというと

比叡山の中腹で散骨し、残りのかけ らを郡上八幡の別荘の土手に山桜を植えて埋葬した

という部分。
新聞
日本には墓地、埋葬等に関する法律(通称 墓埋法)という法律があります。
ざっくり言うと遺骨を埋める場所は墓地でないとダメ、という法律です。
散骨の場合、法務省の見解は「節度を持って行うならOK」というものです。
遺骨をパウダー状にして迷惑にならないところ(海上など)でまけ、ということですね。

比叡山の件は、比叡山延暦寺の墓地内ということは無さそうですし、
管理者(おそらく延暦寺)の許可も取っていないと思われますのでアウト。
別荘の土手も明らかに墓地ではないのでアウトです。

とはいえ近藤正臣氏を非難する気にはなれません。

全文読めば分かりますがこのインタビューから氏の母への想いが良く伝わってきましたし
法を犯す気は全くなかったと思われます。

問題はこの違法行為を見逃して載せてしまった日経新聞の脇の甘さです。

新聞に載ってしまうと、コレやってもいいんだ、と思い込んでマネをする人が出てきます。
このケースが増えて問題化すると、
散骨においてこれまで大目に見てもらえていたことも
見逃してもらえなくなることを危惧します。

葬儀分野に関する報道において、日経は読売、朝日に比べて弱いという印象です。
もうちょっとがんばってください。

やっぱり日経新聞の記事はヘン

過去何度か日経新聞のお葬式関係の記事は、どういうわけだかクオリティが低いと言ってきました。

4月22日の朝刊の記事も相変わらずの日経クオリティでした。

(クローズアップ)葬儀費用どう工面? 生命保険の当日払い 受取額、引き上げも :日本経済新聞

記事の要旨は
「葬儀費用は結構かかるにもかかわらず、亡くなると故人の口座が凍結されてしまう。
そんな方にはすぐお金を支払ってくれる生命保険があります。」

というもの。

新聞

書き出しから

日本消費者協会の最新の調査によると、2016年時点の葬儀費用の全国平均は195万7000円。ピーク時(03年)より約2割減ったものの、13年の前回調査より約7万円増えた。 身内中心の「家族葬」が増えるなど葬儀の簡素化がトレンドだが、金額は個人差や地域差が大きい。中には400万~500万円かけた例もあった。

葬儀業界寄りの言説から始めていただいてどうもありがとうございます。
でもこの統計データはウソなんですけどね。
(参考記事:第11回「葬儀についてのアンケート調査」の結果が報道されない理由 )

預貯金は名義人が死亡すると一般的に口座が凍結され、引き出せなくなる。

「一般的に」と書いてはあるので完全に間違いとまでは言えないのですが、実務上は亡くなったことを銀行に言わない限り口座は凍結されません。また仮に凍結されても葬儀費用に使うと言えば、引き出せることが多いです。

こういう前振りの書き出しの後、亡くなってすぐにお金を出してもらえる保険の紹介なのですが

担当社員を介して必要書類や請求書を本社に送る。

これがファックスなのか原本なのか分からないのですが
実際問題として亡くなった直後に書かれる死亡診断書は通常一通です。
そしてその1通の死亡診断書は火葬許可書発行と戸籍の抹消目的で役所に提出されます。
もし手続きに必要なのが原本なら、亡くなった直後に死亡診断書発行を2通にしてくれと担当医にお願いしなければいけません。
果たして遺族がそんな状況でそこまで気が回るのかな。
回ったら回ったで亡くなった直後で保険て・・・と
周りから思われるのを遺族は嫌がるのではないのか。

被保険者の死亡が記載された住民票など必要書類をそろえて請求手続きを済ませれば

役所の業務フローにはそこまで詳しくありませんが、
これなんか死亡診断書を提出してからすぐに発行するのは無理なのではないでしょうか。

結局今回の記事は消費者不安をあおって保険の宣伝をしているだけのような・・・

もっとがんばれ!日経新聞




2件のコメント

日経さん、お前もか!!
3年ほど前に日経取材を受けましたが、2日に渡り「まともな取材と記事」でしたので”唯一信じていた新聞”だったのですが、盛記事は頂けません。

コメントを残す